【GIGA2年目】1人1台で「負担増」6割 教育新聞調査

 GIGAスクール構想が昨年4月に本格始動してから約1年。教員の働き方改革にもつながることが期待されているが、学校現場の苦労はまだまだ多い。教育新聞が今年3月、全国の教諭・学校管理職を対象にウェブアンケートを行ったところ、1人1台端末が導入されたことにより、授業・校務の負担がトータルで「増えた」「どちらかといえば増えた」と回答した小中学校の教員・管理職の割合は60.5%に上った。とりわけ負担が増えたのは「授業準備・教材研究」と「生徒指導」。自由回答では、紙とデジタルが併存する過渡期ならではの苦労や、不便な活用体制から生じる負担などを訴える意見が寄せられた。

負担増の理由、トップは「授業準備・教材研究」

 教育新聞は今回のアンケートで、GIGAスクール構想による1人1台端末導入に伴う学校現場の負担感に注目した。前提として普段の多忙感を聞いたところ、「感じる」が42.7%、「どちらかといえば感じる」が53.8%と合計96.5%にもなり、「どちらかといえば感じない」(2.9%)、「感じない」(0.6%)をはるかに上回った。学校現場の多忙感は、まだまだ解消されていない実態がうかがえる。

 その上で1人1台端末の導入により、授業・校務の負担がトータルでどう変わったかを尋ねたところ、「増えた」(9.0%)、「どちらかといえば増えた」(51.5%)の合計は6割に上った=グラフ1参照。一方で「どちらかといえば減った」(15.7%)、「減った」(4.1%)も2割弱おり、働き方改革につながっていると感じている教員もいることが分かった。

【グラフ1】1人1台端末導入に伴う負担感の変化

 負担が増えた業務を尋ねると、トップは「授業準備・教材研究」で56.4%、次いで「生徒指導」で45.6%だった。デジタルの導入による効率化が期待されるはずの「会議・打ち合わせ」や「家庭との連絡」「成績処理」も、現時点では負担が大きいようだ=グラフ2参照

【グラフ2】負担の増えた業務

 一方、負担が減った業務を尋ねると「特になし」が半数を超え、いまだ業務改善の効果を実感できていない教員が多いことがうかがえた=グラフ3参照。ただ同時に、回答者の約2割は「授業準備・教材研究」や「授業」で負担が減ったと回答しており、1人1台環境が軌道に乗っている教員とそうでない教員では、負担感に差が生じていることが分かる。

【グラフ3】負担の減った業務

 加えて本格導入2年目の今年度は、多くの学校で児童生徒の入学・卒業・進級などに伴う端末の年度更新作業もあった。その負担感について尋ねたところ、「大いに負担がある(あった)」(17.2%)、「まあ負担がある(あった)」(22.7%)を合わせて約4割が負担を感じており、「それほど負担はない(なかった)」(5.8%)、「ほとんど負担はない(なかった)」(1.2%)、「自分では担当していない(9.6%)」は少数派だった=グラフ4参照

【グラフ4】年度更新作業の負担感
「ICT活用で、逆に手間や時間がかかる」

 自由回答では、1人1台端末の導入や運用、校務のデジタル化に伴う負担感について、さまざまな意見が寄せられた。デジタル化が順調に進んでいる教員からは「学校評価はグーグルフォームを使うことで、負担がだいぶ減った。研修もZoomで行うようになってから、移動時間が必要ないので、時間が効果的に使えてよい」(甲信越・公立中教諭/30代)と評価の声が上がる。

 一方で「むしろ負担が増えたように感じる。特に事務作業」(東京都内/公立小教諭・30代)、「ICTを活用することで、逆に手間や時間がかかることがある。例えば出退勤に時間がかかる。ペーパーレスになったが、タブレット端末ではないため、資料に書き込みができないなど」(南関東/公立小教諭・30代)、「ICT導入で教師の労働内容が改善するわけがない。むしろ、やることが増えて仕事の密度が上がっている」(北海道/公立小教諭・50代)など、負担の増加を訴える教員もいた。

 端末活用の体制が負担を生んでいる様子もうかがえた。「学校ごとに使用しているアプリが違うため、異動するごとに新しく覚えることが多くなるのではないかという懸念がある。また校務支援システムについては、使い方を理解するまでに時間がかかるため、今年度は特に、通知表や調査書、要録などの作成に普段の何十倍も時間がかかってしまい、負担を大きく感じた」(北海道/公立中教諭・40代)。また「成績処理を行う校務機から、グーグル・フォー・エデュケーションのドライブへのアクセスが制限されており、手間が掛かっている」(北海道/公立中教諭・30代)と、機能制限が負担につながっているケースもあった。

 さらにICT支援員のサポートが十分に得られていない現状を訴える声もあった。「支援員が常にいるわけではないから、負担感はある。特に年度の更新には時間が取られそうできつい」(東海/公立小教諭・30代)、「ICT支援員の活用方法についても手探りで、誰も活用できていない日には(支援員が)職員室でスマホをいじっている姿を見かける」(南関東・公立小教諭/20代)。

 「ICT活用が日常化していくことで授業が変容してきている。子どもが主体的に授業をしている。そのような授業を行っていくための準備時間が足りない」(甲信越・公立小教諭/40代)と、新たな学びの実現に意欲を見せながらも、十分に手が回らないことを嘆く教員もいた。教育新聞では引き続き、今回の読者アンケートの結果からこうした負担感の背景を考えていく。

今回のウェブアンケートは今年3月18~24日に、教育新聞の購読者のほか、教育新聞の公式SNSなどで回答を募り、全国の小学校・中学校・義務教育学校・高校・中等教育学校・特別支援学校の教諭・学校管理職460人から有効回答を得た。

●アンケート回答者の基本属性は次の通り。

 【学校種】小学校33.3%、中学校36.7%、義務教育学校7.8%、高校15.9%、中等教育学校・中高一貫校3.9%、特別支援学校2.0%、その他0.4%
 【学校設置者】国立3.0%、公立67.0%、私立30.0%
 【職位】教諭93.7%、教頭・副校長3.5%、校長2.4%、その他0.4%
 【学校所在地】北海道10.4%、東北8.1%、北関東5.5%、東京都内17.2%、南関東18.2%、甲信越2.9%、北陸13.0%、東海2.3%、近畿6.8%、中国4.2%、四国1.6%、九州・沖縄9.7%
 【性別】男性54.3%、女性43.3%、その他・答えたくない2.4%
 【年代】20代23.5%、30代28.3%、40代34.8%、50代12.4%、60歳以上1.1%

●学校教員統計調査などの公的統計と比較すると、今回の回答者には以下のような特徴があることに留意(5ポイント以上の差がある項目を記載)。

 【学校種】中学校、義務教育学校の割合が高く、小学校、高校、特別支援学校の割合が低い
 【学校所在地】北海道、東京都内、北陸の割合が高く、東海、近畿の割合が低い
 【性別】女性の割合が低い
 【年代】20代、40代の割合が高く、50代の割合が低い

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