【GIGA2年目】ICT担当や一斉指導で負担深刻 教育新聞調査

 GIGAスクール構想による小中学校での新たな学びが実現しつつある一方、多くの教員が負担を感じていることが、教育新聞が今年3月、全国の教諭・学校管理職を対象に行ったウェブアンケートで改めて示された。中でもICT担当教員が、端末活用の技術的な面・教育的な面の両方で対応を求められ、多くの仕事を抱えてしまう姿が浮かび上がってきた。他にも、小学校・中学校の違いや授業のスタイルによって負担感が異なることがうかがえ、とりわけ教員による一斉指導スタイルの中学校では、負担を感じている教員の割合が高いことが分かった。

ICT主担当「いつ過労死してもおかしくない」

 「他の教員は自己解決の労を厭(いと)い、ICT担当者に解決を求めてくる。ICT担当者だけが解決法を探ったり学んだりしている。ICT担当業務は専任ではなく、校内の既存の業務と兼任で行っており、過大な負担である。特に、新型コロナ感染に関わって勤務が困難となった担任の代わりに教室に入って指導することが日常的に多い状況では、1人1台端末の管理業務を兼任することは時間的にもかなり厳しい。働き方改革に逆行する業務であり、自分がいつ過労死してもおかしくないと感じている」――。北海道の公立小でICT主担当を務めているという50代の男性教諭は、教育新聞のアンケートに悲痛な声を寄せた。

 また九州・沖縄の公立小でICT主担当の30代の男性教諭も、「やる人、やらない人の差が大きかったが、徐々に進んでいるのは実感できる。活用することで子どもの力がつくことが分かれば、『やらなければ!』という人が増えてくるようだ。しかし、その時にサポートできる人材が担任以外にいなければ、ICT担当に重く影響が出る。担任しながら、他のクラスまで日常的に気を配らなければならないのはつらい」と吐露する。

 教育新聞のアンケートで、1人1台端末の導入により、授業・校務の負担がトータルでどう変わったかを尋ねたところ、「増えた」と回答した人は9.0%だった。ICT主担当とそれ以外に分けて見ると、ICT主担当では「増えた」が25.0%と高かった=グラフ1参照。一方でICT主担当であるにもかかわらず「変わらない」「減った」という回答も一定数あり、その他の教員と比べ、負担感が分かれる結果となった。

【グラフ1】1人1台端末導入に伴う負担感の変化(ICT担当有無別)

 ICT主担当ではあるが、負担が減ったと回答した教員からは「全校で一気に進めた結果、定着しだした」(中国/公立小教諭・30代)といった、学校全体での取り組みを評価する声や、「来年度は端末利用に関して、次のフェーズに入ると思う。先生方の授業デザインをどのように変えていけるか、仕掛けを考えている」(南関東/公立中教諭・30代)という、端末活用が順調に進んでいることがうかがえる、前向きな意見が聞かれた。

技術面も教育面もICT担当に相談

 教育新聞のアンケートからは、端末活用の技術的な面、教育的な面の双方において、ICT担当が他の教員から頼られがちな現状が垣間見えた。技術的な面について最も相談しやすい人を尋ねると、「同じ学校のICT担当教員」が57.3%。「同じ学校の教員(ICT担当以外)」(13.4%)、「ICT支援員」(10.2%)を大きく上回り、トップだった=グラフ2参照

【グラフ2】技術面の相談相手

 同じく教育的な面についても「同じ学校のICT担当教員」が52.6%と最多で、次いで「同じ学校の教員(ICT担当以外)」(19.2%)、「同じ学校の管理職」「別の学校の教員・管理職」(ともに6.1%)だった=グラフ3参照

【グラフ3】教育面の相談相手

 校内のICT担当教員ばかりが頼られてしまう背景の一つには、ICT支援員との連携体制がいまだ十分ではないことがありそうだ。教育新聞のアンケートでは、ICT支援員のサポートが「十分に得られている」と回答した教員は6.4%、「まあ得られている」が28.2%で、合計しても34.6%にすぎなかった。「ICT支援員さんには、即の対応は難しいので、現場の詳しい教員に頼る方が多くなる」(南関東/公立中教諭・50代)というのが実情のようだ。

 北海道の公立小に勤務する50代教諭は「技術的な面では業者や管理者である教育委員会に相談することが多く、ICTの持つ良さや有用性について説かれることが多い。ただ、教育面から見るとき、ICTを得手不得手で考えるのではなく、授業の狙いや学習内容を教師として押さえているかどうか、何のためにどの場面で使うかが重要だ」と記し、学校が多様な相談先を持つことの重要性を指摘する。

中学校で負担増多く 背景に「生徒指導」

 1人1台端末の導入による負担感の変化を、所属する学校種(小学校段階・中学校段階)別に見ると、負担が「増えた」(「増えた」「どちらかといえば増えた」の合計)と回答した割合は、小学校で51.8%だったのに対し、中学校では69.0%と、17.2ポイントもの開きがあり、負担を感じている中学校の教員が多いことがうかがえた=グラフ4

【グラフ4】1人1台端末導入に伴う負担感の変化(校種別)

 負担が増えた内容を校種別に見ると、「授業準備・教材研究」「生徒指導」「会議・打ち合わせ」など上位の項目は共通しているものの、負担が増えたと答えた教員の割合は、中学校の方が全て20ポイント近く高かった。特に差が大きかったのは「生徒指導」(25.1ポイント差)だった。

 さらに1人1台端末を使うとき、「教員の指示のもと、一斉に使う(教師主導)」か、「児童生徒が判断して、個別に使う(児童生徒主導)」かといったスタイルによって、負担感が異なるかを確認したところ、小学校・中学校とも、教師主導のスタイルに近い教員では負担が「増えた」(「増えた」「どちらかといえば増えた」の合計)の割合が高く、特に中学校で教師主導スタイルを取っている人は、8割近くが負担感を感じていた=グラフ5

【グラフ5】1人1台端末導入に伴う負担感の変化(授業スタイル別)

 児童生徒主導のスタイルを取り、負担感が減ったと回答した教員からは「特別支援学級を担任している。個人の差が大きく、進度も異なるため同時に教師が付くことができない。そのため1人で取り組めるドリルが、教師が付く時間の調整の意味でも役に立った」(東海/公立小教諭・40代)、「グーグルフォームを活用し、知識・技能の単元テストを実施。また生徒の成果物の提出から返却、評価までを一括で行っている」(近畿/中等教育学校前期課程教諭・30代)といった事例が寄せられている。

 同時に「私は日々(個人の特性や習熟度に合わせた学びに)取り組んでいる。しかし児童の端末使用自由度を上げれば、問題を起こす児童も一定数現れることも分かってきた。そのため児童の端末を教師が一斉に管理するツールが必要」(九州・沖縄/公立小教諭・50代)といった意見もあり、端末活用の最適なスタイルについて、試行錯誤が続いている状況がうかがえた。

今回のウェブアンケートは今年3月18~24日に、教育新聞の購読者のほか、教育新聞の公式SNSなどで回答を募り、全国の小学校・中学校・義務教育学校・高校・中等教育学校・特別支援学校の教諭・学校管理職460人から有効回答を得た。

●アンケート回答者の基本属性は次の通り。

 【学校種】小学校33.3%、中学校36.7%、義務教育学校7.8%、高校15.9%、中等教育学校・中高一貫校3.9%、特別支援学校2.0%、その他0.4%
 【学校設置者】国立3.0%、公立67.0%、私立30.0%
 【職位】教諭93.7%、教頭・副校長3.5%、校長2.4%、その他0.4%
 【学校所在地】北海道10.4%、東北8.1%、北関東5.5%、東京都内17.2%、南関東18.2%、甲信越2.9%、北陸13.0%、東海2.3%、近畿6.8%、中国4.2%、四国1.6%、九州・沖縄9.7%
 【性別】男性54.3%、女性43.3%、その他・答えたくない2.4%
 【年代】20代23.5%、30代28.3%、40代34.8%、50代12.4%、60歳以上1.1%

●学校教員統計調査などの公的統計と比較すると、今回の回答者には以下のような特徴があることに留意(5ポイント以上の差がある項目を記載)。

 【学校種】中学校、義務教育学校の割合が高く、小学校、高校、特別支援学校の割合が低い
 【学校所在地】北海道、東京都内、北陸の割合が高く、東海、近畿の割合が低い
 【性別】女性の割合が低い
 【年代】20代、40代の割合が高く、50代の割合が低い

あなたへのお薦め

 
特集