不登校「公的支援足りない」 カタリバがオンライン事業報告

 認定NPO法人カタリバは4月18日、昨年度からスタートした不登校児童生徒への支援事業「オンライン教育支援センター room-K」についての報告会をオンラインで行った。今村久美代表理事は「現状では不登校の支援はほぼ家庭にあり、不登校が家庭の貧困につながることもある。公的支援が足りない」と指摘。今後は自治体との連携を広げ、全ての子どもの学びの保障に向けて取り組みを強化したいと展望を述べた。

 文科省が昨年10月に発表した「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(2020年度)」によると、小中学校の不登校の児童生徒数は19万6127人に上り、過去最多となっている。今村代表理事は不登校の現状について「例えば、ずっと保健室登校や、出席扱いを受けるために校門まで来て帰る子など、そうした不登校傾向の子を入れると、さらに多くの子どもたちが学校で学べていない」と説明。また、不登校の要因について同事業利用者に聞いたところ、「先生の一方的な指導になじめなかった」(67.6%)、「校則やルールになじめなかった」(32.4%)など、同省の調査結果とは異なる理由が多く見られたことも報告した。

 現状の課題として今村代表理事は「不登校の支援はほぼ家庭にあり、公的支援が足りていない」と指摘。例えば、不登校特例校(一条校)は全国で公立・私立を合わせても21校のみで、教育支援センターを設置している自治体は全国の63%ほどと十分ではない。フリースクールなどの費用も負担が大きく、家庭の経済状況によって学びの機会格差が広がっている。カタリバが実施したアンケートによると、不登校になる前と不登校中の現在とで、保護者のうち32%の就労形態が変化し、25%の年収が下降している。

 そうした現状から、カタリバでは昨年度から経産省の「未来の教室実証事業」として「オンライン教育支援センター room-K」を開設し、不登校の児童生徒に無料でさまざまなサポートを行っている。具体的には▽オンラインで安心安全な学び場と学習ツールを提供▽専門スタッフが個別支援計画などを作成▽専門研修を受けたメンターが子どもに伴走――の3つの特徴がある。

 この事業を利用したユーザーのうち、54%が1年以上の不登校の状態でサービスを開始したが、オンライン支援で週1回以上、学びの場に参加している児童生徒が平均83%と、高い水準を保っている。

 実際の利用事例も紹介された。例えば小学生の時に家族の国籍に関していじめを受けて不登校になった中学3年生は、高校進学に対しても意欲がない状態だった。同プログラムに参加し、カタリバからパソコン・Wi-Fiが貸与され、オンライン学習支援をスタート。オンライン学習の場で提供されたプログラミング学習に熱中し、「エンジニアになりたい」という将来の夢を持つようになり、当初よりも偏差値が20ほど高い地域最難関の高校を志望するようになった。

 また、これまで学校には行かず、自宅での学習や塾を中心に生活していたという小学6年生は、学習に心配はないものの、同世代とのつながりや交流、社会への適応に不安を感じていた。同プログラムに参加したことで、保護者同意のもと、カタリバが地域の教育支援センターと連携し、通所に向けて調整中だという。

広島県教委との連携について報告する今村代表

 現在、同事業は広島県や東京都世田谷区、埼玉県入間市など6自治体と連携している。中でも広島県では4月下旬から同県教育支援センター「SCHOOL“S”」を開設し、県内の不登校の小中学生を支援する予定で、カタリバの不登校支援チームと連携し、合同ケース会議なども行っていく。

 今村代表理事は「オンラインの新しいフリースクールをつくったつもりはない。いつでも学校に行けるし、学校がつらくなった時にいつでもこちらに遊びに来られる、一つのオプションとして使ってほしい。どうすればその子の多様な学びを保障していけるのか、行政とも一緒に取り組んでいきたい」と述べた。

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