第一次提言素案で人材育成の諸策盛り込む 教育未来創造会議WG

 未来を担う人材の育成や高等教育をはじめとする教育の在り方について、政府の教育未来創造会議は4月18日、専門的、多角的な検討を行うワーキンググループ(WG)の第4回会合を開き、これまでの議論内容を踏まえた第一次提言素案「我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について」を示した。世界各国との比較で、これまで取り組みの遅れていた諸課題について、高等教育を中心に手を付けるべき方策をまとめた。

教育未来創造会議WGであいさつする末松文科相

 素案では、少子化が進み、国内総生産(GDP)や実質賃金、労働生産性などの数値が鈍化している日本の現状を指摘。人材育成を巡る課題について諸外国と比べ、デジタル・グリーン人材の不足、理工系分野への入学者の低さ、少ない修士・博士号取得者、低調な人材投資・自己啓発などを挙げた。

 そこで、少子高齢化やグローバル競争の激化、地球温暖化などの課題に向き合い、新たな価値を創造しながら豊かな未来を切り開いていくためには一人一人の生産性を高め、生きていく力、柔軟な知を育むことが必要と分析。人への投資を通じた「成長と分配の好循環」を教育・人材育成においても実現し、「新しい資本主義」の実現に資するとした。

 その上で、多様な人材が能力を最大限発揮でき、適切に評価されるとともに、デジタルリテラシーをはじめとした社会課題の対応や地球規模の問題への貢献、生産性の向上と産業経済の活性化、全世代学習社会の構築などを、目指す社会像とした。

 人材育成の在り方としては、高い専門性や技術力を身に付け、自分自身で課題を設定して考えを深く掘り下げ、多様な人とコミュニケーションをとりながら新たな価値やビジョンを創造し、社会問題の解決を図れることを目指す人材像として設定。必要な資質・能力として、論理的思考力・規範的判断力、課題発見・解決能力、未来社会を構想・設計する力などを挙げている。

 特に、▽文理の壁を超えた普遍的知識・能力を備えた人材育成▽デジタルや人工知能・脱炭素などの分野をけん引する高度専門人材の育成▽理工農系を専攻する女性の増加▽高い付加価値を生み出す修士・博士人材の増加▽全ての子供が努力する意思があれば学ぶことができる環境整備▽生涯学び続ける意識、学びのモチベーションの涵養▽年齢、性別、地域等にかかわらず誰もが学び活躍できる環境整備▽幼児期・義務教育段階から企業内までを通じた人材育成・教育への投資の強化――を重視する点として挙げた。

 その上で具体的方策として、▽大学などの再編促進と産官学の強化▽学部・大学院を通じた文理横断教育の推進と卒業後の人材受け入れ強化▽理工農系をはじめとした女性の活躍推進▽グローバル人材の育成・活躍推進▽デジタル技術を駆使したハイブリッド型教育への転換▽大学法人のガバナンス強化▽知識と知恵を得る初等中等教育の充実――を掲げた。

 また、新たな時代に対応する学びの支援に関しては「奨学金」に焦点を当て、大学卒業後の所得に応じた「出世払い」など奨学金返還の仕組みの見直しのほか、博士課程学生に対する生活費相当額の受給支援、地方自治体や企業による取り組みの推進についても盛り込んだ。

 学び直し(リカレント教育)を促進するための環境整備については、個人の学び直しやその成果などを可視化するとともに、企業内での適切な評価、さらに成果を活用した就転職の促進につなげるような仕組み作りを促進するよう求めた。かかる費用と時間の問題を解決するための支援や、特に女性向けのプログラムの充実などを提言している。

 この日出席した委員からは、素案に対して「教育と社会との接続というコンセプトが大事なので、これを強めるべきではないか」「女性の理工農系分野の進学については、世界との比較でアンバランスだからという書き方ではなく、日本の問題そのものと捉えて、少子化でも性別に関係なく、日本人全員が学ぶことができて、課題解決できるようにする必要性があるという文脈から書くべきではないか」「トップレベルの大学にトップレベルの人材が集まるというのは間違いないので、圧倒的に勝てる可能性のある大学を重点的に支援して世界最高レベルのものを作っていくべきではないか」といった意見がでていた。

 このほか、「デジタル人材の育成に向けては、大学だけではなくて、初等中等教育段階からコンピューターサイエンスなどを教える必要がある」「学部学科の再編に向けては、大学側のサプライサイドだけではなくて、学生の目線に立ったデマンドサイドからの視点も必要ではないか」「大学がリカレント教育を行うためには、教職員の確保というのが課題になってくるのではないか」などの指摘もあった。

あなたへのお薦め

 
特集