【全国学力調査】ICT活用場面目立つ 22年度の問題の特徴

 4月19日に行われた全国学力・学習状況調査では、小学6年生の国語、算数、理科、中学3年生の国語、数学、理科が出題された。新学習指導要領の全面実施やGIGAスクール構想によるICTの活用を想定した問題などが目立った今年の同調査。国立教育政策研究所から公表された解説資料を基に、出題された各教科の問題の特徴をまとめた。

小学校・国語小学校・算数小学校・理科
中学校・国語中学校・数学中学校・理科

小学校・国語

 小学校の国語は大問3つで構成される。

 大問1では、学校の近くの公園をきれいにすることについて、互いの立場を明確にしながら話し合う場面を設定。「岡さん」の立場を通して、自分の考えを広げたりまとめたりすることが求められた。設問二では、新学習指導要領で新設された〔知識及び技能〕の(1)「ア 言葉には、相手とのつながりをつくる働きがあることに気付くこと」を取り上げており、全国学力調査でも初めて取り上げた。設問四はこれまでの小学校国語の問題で「立場を明確にして、質問や意見を述べること」「話し手の意図を捉えながら聞き、自分の意見と比べるなどして考えをまとめること」に課題がみられたことから出題した。

 大問2は物語文を読んで友達と推薦し合うために、「銀色の幻想」という題名の物語を読んだ上で、推薦する内容をまとめる場面を設定。複数の叙述を基に、登場人物の気持ちや相互関係を捉え、物語全体から伝わってくることや、表現の効果に着目して物語を読んでいる「山村さん」の視点を通じて、最後の一文の効果を考えることが求められた。過去の調査で「物語を読み、具体的な叙述を基に理由を明確にして、自分の考えをまとめること」に課題がみられたことを踏まえて出題した。

経験を基に考えたことを書く、小学校国語の大問3の二

 大問3では6年生として頑張りたいことを書く場面を設定。文章全体の構成に着目して文章を整えたり、伝え合った感想や意見を基に、自分の文章の良いところを書いてまとめたりすることが求められた。設問二では、新学習指導要領の〔思考力、判断力、表現力等〕の「B書くこと」の「共有」に関する指導事項を初めて取り上げた。

【上部に戻る】


小学校・算数

 小学校の算数は大問4つで構成。大問1では、日常生活の問題を解決するため、算数で学習したことを基に、目的に応じて数量の関係に着目し、数の処理の仕方を考えることができるかをみる。そこで、カップケーキの値段を比べる際に個数をそろえたり、1列分の値段に着目したり、値段を見積ったりして、お得に買うことができる方法を考える文脈を設定した。

 大問2では、果汁入りの飲み物を2人で等しく分けたときの果汁の割合をまとめたり、比例の関係を用いて、果汁の割合と量が分かっているときの、果汁入りの飲み物の量を求めたりする文脈を設定。問題場面の数量の関係に着目し、基準量、比較量、割合の関係や、伴って変わる2つの数量の関係について考察して、数学的に表現・処理する力をみた。

 大問3では、学級活動でお楽しみ会の遊びを決めるために、アンケート調査で得たデータを整理分類して、データの特徴を捉え考察することや、1年生と6年生の交流会の遊びを決めるために、アンケート調査で得たデータを、円グラフや表を用いて多面的に考察する文脈を設定。日常生活の問題を解決するために、目的に応じて必要なデータを収集し、観点を決めて分類整理し、データの特徴や傾向に着目して考察することを問うた。

プログラミングの活動を想定した小学校算数の大問4(1)

 大問4では、コンピューターを用いて図形を作図する際に、正方形のプログラムを基に作成した正三角形のプログラムを見直し、改善することや、正方形のプログラムの一部を変えて、長方形やひし形のプログラムについて考察したり、示されたプログラムからどんな図形ができるかを判断したりする文脈を設定。図形の学習で、観察や構成などの活動を通して、図形の意味や性質について理解したり、それを基に図形の構成の仕方について考察したりすることができるかどうかをみた。

【上部に戻る】


小学校・理科

 小学校の理科は大問4つで構成。全体として学習指導要領における問題解決の視点に重きを置き、実験を想定した問題が多く出題された。

 大問1では、記録の整理の仕方を工夫して、互いの結果を比較しやすくするよう促したり、意見交換の場を設定したりして、児童が他者の考えや意見を受け入れ、さまざまな視点から自分の考えを柔軟に見直し、その妥当性を検討できるかを意識した。

 設問(1)では、ナナホシテントウを対象に、葉の裏に見つけた卵から見いだされた問題を基に、観察の記録が誰のものかを問うた。続く設問(2)では、自分の観察の記録と新たに追加された他者の記録を基に、問題に対するまとめを見直すことについて問うた。自分で行った観察で収集した情報と追加された情報から、問題に対するまとめを検討して改善し、その考えをより科学的なものに変容させるなど、自分の考えを基にその内容を記述することが求められた。また、設問(4)では、昆虫の育ち方と食べ物を対象に、資料を基にしてカブトムシの育ち方と食べ物の特徴から、二次元の表のどこに当てはまるかを問うなど、提示された情報を複数の視点で分析して解釈し、自分の考えを持つことが求められた。

問題解決における問題の発見についても問われた小学校理科の大問1(5)

 大問2の粒子に関する問題では、設問(1)と(2)でメスシリンダーの正しい使い方に関する理解を確認。続く設問(3)で、水溶液の凍り方を対象として、実験の結果から水溶液が全て凍った温度を明らかにした上で、自分で考えた予想と実験の結果を基に、問題に対するまとめを検討して改善し、より科学的なものに変容させることが求められた。さらに設問(4)では、水を凍らせた物(氷)や砂糖水を凍らせた物の現象を対象にして、凍った水溶液について試してみたいことを基に、見いだされた問題を問うた。

 エネルギーに関して取り上げた大問3では、設問(2)で、実験の結果の記録を対象に、問題の解決に必要な情報が取り出された適切な記録を問うた。問題に対するまとめを導き出せるように、実験の過程や得られた結果を適切に記録することが求められた。続く設問(3)では、鏡で反射させた日光を缶に当て続けることを目的に、鏡ではね返した日光の位置が変化していることを踏まえ、継続して同じ条件で実験を行うため、実験方法を見直し、追加した手順を書く。さらに設問(4)では、実験で得た結果を問題の視点から分析・解釈し、自分の考えを基にその内容を記述できるかを問うた。

 大問4では、地球に関する問題を出題。設問(1)では、冬の天気と気温の変化を基に、問題に対するまとめについて問うた。観察で得た結果を問題の視点で分析して解釈し、自分の考えを持つことが求められた。続く(2)では、予想が確かめられた場合に得られる結果を見通して、問題を解決するまでの道筋を構想。設問(3)では、観察などで得た結果を踏まえ、結果から言えることを分析した。

【上部に戻る】


中学校・国語

 中学校の国語は大問4つで構成している。

 「話すこと・聞くこと」を主に問うた大問1では、自分のスピーチを動画に記録して、友達から助言をもらう場面を設定。聞き手を引き付ける表現になるように内容を直したり、言葉の抑揚や強弱、間の取り方などの話し方について考えたりすることに加え、スピーチについて聞き手がどのように受け止めているかを考えることを求めている。

 主に「書くこと」について出題した大問2では、文書作成ソフトを使って意見文の下書きをまとめる場面を設定。文末を直す意図について考えたり、文脈に即して漢字を正しく書いたりするとともに、資料から必要な情報を引用して書き加えることを求めている。1人1台の学習者用端末の活用を想定した問題で、自分の考えが伝わる文章になるように、根拠を明確にして書くことができるかどうかをみる。

文書作成ソフトのコメント機能の活用場面を想定した中学校国語の大問2の三

 「読むこと」を中心に扱った大問3では、俳句から想像を広げることで生まれた「都会のビーチ」という作品を取り上げた。話の展開に沿って登場人物の行動や心情を捉えたり、場面と場面、場面と描写などを結び付けて、登場人物の心情について考えたりするとともに、文章中に用いられている表現の技法や、登場人物の心情を表す語句について考えることを求めている。

 大問4は書写から出題。行書で書いた文字について、良い点や改善点を話し合い、友達や教師からの助言を生かして修正する場面を設定した。行書の特徴を踏まえた書き方や漢字の行書と調和した仮名の書き方などについて考えることを求めている。

【上部に戻る】


中学校・数学

 中学校の数学は9つの大問で構成。大問1~5では、素因数分解や連立二元一次方程式、確率などの基本的な理解をみる。

 その上で、構想を立てて説明し、統合的・発展的に考察することをみる大問6では、2つの偶数の和がどのような場面で4の倍数になるかを考察する場面を取り上げた。同じ2つの偶数の和が4の倍数になることの説明を踏まえ、具体的な数を用いて確かめる状況を設定。その上で、差が4である2つの偶数の和について予想した事柄が成り立つことを確かめ、文字を用いた式を使って説明する状況を設けた。また、同じ2つの偶数の和や、差が4である2つの偶数の和以外に、そのような2つの偶数の和が4の倍数になるかを見いだし、数学的に表現する文脈を設定した。

 データの傾向を読み取り、批判的に考察し、判断する力を問う大問7では、コマ回し大会でどちらのコマを使うかを判断するために、それぞれのコマについて調べたことをヒストグラムや箱ひげ図にして整理し、データの傾向を捉える場面を取り上げた。この場面でコマAが回った時間とコマBが回った時間のヒストグラムから、それぞれの分布の様子を読み取り、大会ではどちらのコマを使うかを説明する状況を設定。さらに、どの高さからコマを回すと、より長い時間回るのかを考える際に、低位置、中位置、高位置で回して得られたデータを用いて作った箱ひげ図を並べてみることで、それらのデータの散らばり具合を把握し、複数のデータの分布を比較する文脈を設定した。

日常的な事象について数学的な考え方で問題解決する中学校数学の大問8(2)

 日常的な事象の数学化と問題解決の方法をテーマにした大問8では、二酸化炭素の削減量について、得られたデータを基に目標を達成するまでの日数を予測する場面を取り上げ、日数と二酸化炭素削減量の合計の関係をグラフに表すと、点の並びが一直線上にあると考えることで、その関係を比例と見なして目標を達成するまでの日数を求める方法を説明することを問うた。

 図形の性質を与えられた条件を基に考察する大問9では、長方形と正三角形によってできる図形の性質を見いだし、それが成り立つことを合同な図形の性質などを用いて考察する場面を取り上げた。具体的には、証明を読んで根拠として用いられている三角形の合同条件を見いだす状況を設け、条件を保ったまま長方形の辺の長さを変えた場合に、新たに分かることとして、ある角の大きさについて成り立つ性質を見いだし、その性質が成り立つ理由を数学的に説明する文脈を設定した。

【上部に戻る】


中学校・理科

 中学校の理科は大問8つで構成される。小学校の理科と同様、実験などを踏まえた問題解決に関する内容に重点を置いているほか、学習者用端末の活用を想定した問題が目立つ。

 エネルギーの領域から出した大問1では、タッチパネルの反応に疑問を持ち、問題を見いだして課題を設定し、条件を制御した実験を計画して科学的に探究する学習場面から、静電気に関する知識・技能を活用できるかをみる。

タッチパネルの仕組みを科学的に探究する中学校理科の大問1(2)

 地球に関する領域から出題した大問2では、校庭にある百葉箱の観測データとタブレット端末で撮影した空の様子の画像を基に、天気の変化を分析し、天気図と関連付けて、気象に関する知識・技能を活用できるかを問うた。

 粒子の領域から、水素の利用をテーマにした大問3では、東京オリンピック・パラリンピックで聖火の燃料に水素が使われたことから、水素を燃料として使う仕組みの例について学習する場面を設定し、化学変化に関する知識・技能の活用をみる。

 生命の領域から出題された大問4では、動物の体のつくりと働きについて、外部形態や生活場所と関連付け、共通点や相違点に着目して考察する場面を設け、動物の外部形態を基に科学的に探究する場面で、共通性・多様性の視点から、動物の体のつくりと働きに関する知識・技能を活用できるかを問うた。

 大問5は、エネルギーの領域から押して使うばねや磁気ばねの縮む長さと、ばねに加える力の大きさについて授業で取り上げた場面を想定し、ばねを押すときの力の大きさと、ばねが縮む長さの関係から、力の働きに関する知識・技能の活用をみる。

 大問6は地球の領域から出題。野外における露頭の観察を通して、大地の成り立ちと変化について探究する場面を設定した。観察結果とルートマップの情報を関連付けながら、時間的・空間的な見方を働かせて大地の変動を推論する場面で、大地の成り立ちと変化に関する知識・技能の活用を問うた。

 大問7は粒子の領域から出題。状態変化に関する知識・技能を活用して、水の状態変化における温度変化を探究して、グループでポスター発表する学習場面を設定。発表や対話を通して考察が妥当かどうかを検討し、改善することをみた。

 大問8は生命の領域から、ファーブル昆虫記におけるアリの行列に関する実験を参考に、問題を見いだして課題を設定する場面を想定。共通性や多様性の視点から、刺激と反応や、体のつくりに関する知識・技能の活用をみるとともに、予想や仮説と異なる結果が出た場合にどう考えるかを問うた。

【上部に戻る】

あなたへのお薦め

 
特集