大学進学率に4倍の地域格差 生活保護世帯の調査で判明

 生活保護を受給している家庭の高校生の大学進学率は、都道府県別でみると最大4倍の開きが生じていることが、民間の研究者らのグループの調査でこのほど分かった。厚労省によると、生活保護世帯の進学率は、全国全ての高校生の進学率と比べ約半分にとどまっているが、さらに地域格差があることも新たに裏付けられた。同省では今後、都道府県別のデータを公表し、格差是正に努めたいとしている。

 調査したのは、大学の研究者や生活保護のケースワーカーらで作る有志の団体「生活保護情報グループ」。厚労省が毎年発表している「子どもの貧困に関する指標」を基に、2019年3月時点と翌20年3月時点の大学等進学率(短大や専修学校を含む)の実態について、同省や文科省、各自治体から情報公開請求などを通じて資料を入手し分析した。

 厚労省は20年3月の大学等進学率について、すでに生活保護世帯が全国平均で37.3%であるのに対し、全国の世帯の平均は73.4%と約2倍の開きがあることを公表している。同グループではこれを基に、さらに同省が行った都道府県別の未公表のデータを情報公開制度で調べたところ、進学率が最も高かったのは大阪府の45.0%で、次いで新潟県43.6%、東京都43.0%などの順と分かった。

 反対に最も低かったのは長野県の11.1%で、次いで高知県13.4%、石川県16.0%の順だった。最も高かった大阪府と最も低かった長野県の格差はおよそ4倍になることが分かった。また全国の世帯の大学等進学率を下回る自治体は、20年3月時点では47都道府県中36で、19年3月時点も37とそれぞれ半数以上に上った。同グループでは「生活保護世帯の進学率を上げるとともに、地域格差も是正されなくてはならない」と訴えている。

都道府県別にみる生活保護世帯の大学進学率(「生活保護情報グループ」調べ)

 生活保護受給世帯の進学率を巡る地域格差については、同クループの資料を基に、日本共産党の田村智子参議院議員が4月7日の参議院内閣委員会で質問した。格差の原因について、厚労省は「それぞれの地域の実情に応じたものがあると考えているが、大学進学に向けた自治体の取り組みや教育環境、地域の大学の数などの要因が影響しているのではないか。今後、ヒアリングを行って原因の把握に努めたい」と答弁。

 さらに田村議員が、同省が把握する詳細なデータの公表を求めたのに対し、古賀篤副大臣は「地域差があることは認識している。自治体の了解を得た上で公表したい」と答弁した。

 生活保護世帯の高校生の大学進学を巡っては、政府が18年度に「進学準備給付金制度」を創設。大学などに進学する子どもを対象に、自宅から通学する場合は10万円、自宅外から通学する場合には30万円の一時金を支給するようになったが、支給される子どもを生活保護世帯から分離して別の世帯とみなす異例の措置をとっている。

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