【GIGA2年目】1人1台導入「満足」88% 教育新聞調査

 教育新聞が今年3月に行った、全国の小中学校教諭・学校管理職344人を対象としたウェブアンケートによれば、GIGAスクール構想による1人1台端末の導入で負担を感じている教員は多いものの、全体的な満足度を尋ねると「満足」「どちらかといえば満足」と答えた人が88.3%に上り、満足度は高いことが分かった。「児童生徒同士の協働的な学び」や「探究的な学び」など、端末活用で期待される新しい学びを実感している人の割合も、小学校・中学校で違いはあるものの、7~9割台と高かった。また約7割の教員が多忙な毎日の中、端末活用の方法について研究したり、情報収集したりするための時間を捻出していることも分かった。

1人1台の効果を実感したのは「発表・プレゼン」
グラフ1=1人1台端末が導入されたことへの、全体的な満足度

 教育新聞のアンケートでは、1人1台端末が導入されたことに満足している人が合計で9割弱に上り、「どちらかといえば不満」(9.3%)、「不満」(2.3%)を大きく上回った=グラフ1参照。1人1台端末の導入にあたっての負担感は大きいが、満足度は高いことが分かる。前年度に取り組み、特に1人1台の効果を実感したことを複数回答で尋ねると、「発表・プレゼンテーション」が73.5%でトップ、その後に「インターネットを用いた情報収集」(72.1%)、「クラウド上での課題共有」(66.0%)と続いた=グラフ2参照

グラフ2=2021年度に取り組み、効果を実感したこと(複数回答)

 自由回答では「手書きが苦手な児童がタイピングにすることで長文を書くことができた。集中力が持続するようになった」(南関東/公立小教諭・30代)、「前で話すことの苦手な子が、ノートを写真に撮って交流する方法だと積極的に考えを発信できた」(東北/公立小教諭・30代)など、効果を実感したという声が寄せられた。授業以外でも「町内で情報教育担当を各校1人決め、定期的な会議を持っている。また、グーグルのクラスルームを活用し、町内での情報共有に努めている」(東北/公立小教諭・40代)といった例があった。

 近畿地方の40代の公立小教諭は「コロナで学校に登校できない教員や児童が、オンラインにより救われる事例を多く体験した。私は家族の感染があり、10日間の自宅待機になったが、自身は発熱しなかったので、自宅からオンライン授業を行った。最初の数日は課題が多かったが、グーグルスライドのワークシートを児童と共有したり、グーグルフォームで児童の理解度を把握したりしながら、デジタル教科書を活用してオンライン授業ができるようになった」と語った。

グラフ3=2022年度に取り組んでみたいこと(複数回答、すでに取り組んでいて、来年度も継続したいことも含む)

 さらに今年度、取り組んでみたいこと(すでに取り組んでいて、来年度も継続したいことも含む)を複数回答で尋ねると、トップは個人の習熟度に応じた学びにつながることが期待される「デジタル教材(ドリル、資料など)」で、66.0%に上った=グラフ3参照。次いで「健康観察」(60.5%)や、「朝の会・帰りの会・ホームルーム」「クラウド上での課題共有」(ともに55.2%)などが並び、端末の普段使いに向けた意欲がうかがえる。

「個々の力に応じた探究が可能に」
新たな学びの実感(校種別)

 GIGAスクール構想では、個人の特性や習熟度に合わせた学びや、児童生徒同士の協働的な学び、探究的な学びといった、新しい学びの実現が期待されている。今回のアンケートでこうした新たな学びや、学習内容の深い理解、情報活用能力の向上が実現できていると思うかを尋ねたところ、いずれも「そう思う」「まあそう思う」の割合が7~9割台と高く、多くの教員が新たな学びを実感していることが分かった=グラフ4参照

 小学校と中学校の教員に分けてみると、項目によって「そう思う」の割合に差が見られた。中学校の方が小学校より割合が高かったのは、「探究的な学び」「児童生徒同士の協働的な学び」「学習内容の深い理解」の3項目。一方で、「個人の特性や習熟度に合わせた学び」「情報活用能力の向上」の2項目は、小学校の方が中学校より割合が高かった。

 自由回答では「自由進度学習を進めやすいため、個々の力に応じた探究ができるようになった。見本や参考資料を生徒に配布するシートに添付することで、生徒が自力で学べる場面が増えた」(東海/公立中教諭・20代)、「数学の問題を解く時間など、必要があれば自由に検索OKにしていた。また、生徒の進度に合わせて補習問題を送ったり、必要な解説を送ったりなど、個別対応としやすかった」(北海道/公立中教諭・40代)など、手応えを感じている様子がうかがえた。

 一方で、新しい学びの形を模索し続けている学校現場の実情も垣間見えた。「これまでの紙ベースでの学習とのバランスが難しく感じている。例えばグラフの作成にしても、横軸や縦軸の意味するところや、折れ線・直線・曲線のどれになるのかを自分で検討することも大事だと思う。表計算ソフトであらかじめグラフまでできるように準備をすると、そのような面については分からなくてもグラフは描けてしまうし、表の作成から取り組ませると学習内容以外の指導が増え、進度が遅れていくと思われる」と、九州・沖縄地方の40代の公立中教諭は難しさを語った。

 また「個人作業でスライド作成。グループを組ませて共同編集も試してみたが、いたずらをする子やそもそも学習についてこられない子への対応に苦慮した。1人でさせた方が責任感を持って臨めるし、操作スキルや情報活用能力も高められると感じた」(東北/公立小教諭・30代)と、試行錯誤の様子を語る教員もいた。

多忙な中で研究の時間を捻出
グラフ5=1人1台端末の活用方法について研究したり、情報収集したりするための時間が確保できているか

 こうした新しい学びの実現に向けて、教育新聞のアンケートでは普段、1人1台端末の活用方法について研究したり、情報収集したりするための時間は十分に確保できているかを尋ねた。すると、回答者の大半が日常的な多忙感を抱える中、69.2%もの教員が「十分にできている」「まあできている」と回答=グラフ5参照。忙しい中でも研究や情報収集の時間を捻出していることがうかがえた。

 ただ、自由回答では「せっかくあるICT機器を扱うための研修の時間が少なすぎる。新たなことを知るために時間外に自主的に学ぶしかない状況」(東北/公立中教諭・20代)、「働き方改革の名のもと、研修が実施できない。そのためICTの有効な活用方法を研修したり、学習に効果的な事例を相互交流したりする時間の確保が難しい」(甲信越/公立中教諭・40代)といった悩みも聞かれた。

今回のウェブアンケートは今年3月18~24日に、教育新聞の購読者のほか、教育新聞の公式SNSなどで回答を募り、全国の小学校・中学校・義務教育学校・高校・中等教育学校・特別支援学校の教諭・学校管理職460人から有効回答を得た。

●アンケート回答者の基本属性は次の通り。

 【学校種】小学校33.3%、中学校36.7%、義務教育学校7.8%、高校15.9%、中等教育学校・中高一貫校3.9%、特別支援学校2.0%、その他0.4%
 【学校設置者】国立3.0%、公立67.0%、私立30.0%
 【職位】教諭93.7%、教頭・副校長3.5%、校長2.4%、その他0.4%
 【学校所在地】北海道10.4%、東北8.1%、北関東5.5%、東京都内17.2%、南関東18.2%、甲信越2.9%、北陸13.0%、東海2.3%、近畿6.8%、中国4.2%、四国1.6%、九州・沖縄9.7%
 【性別】男性54.3%、女性43.3%、その他・答えたくない2.4%
 【年代】20代23.5%、30代28.3%、40代34.8%、50代12.4%、60歳以上1.1%

●学校教員統計調査などの公的統計と比較すると、今回の回答者には以下のような特徴があることに留意(5ポイント以上の差がある項目を記載)。

 【学校種】中学校、義務教育学校の割合が高く、小学校、高校、特別支援学校の割合が低い
 【学校所在地】北海道、東京都内、北陸の割合が高く、東海、近畿の割合が低い
 【性別】女性の割合が低い
 【年代】20代、40代の割合が高く、50代の割合が低い

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