教育総合.オンライン展示会が開幕 VR教育テーマに講演

 学校教育の課題解決に向けて、教育界のイノベーターの講演や企業・団体の出展が見られるイベント「教育総合.オンライン展示会Vol.3」が4月20日、開幕した。主催のDMM.comによれば、約200社から出展の申し込みがあり、1000人を超える参加者が見込まれている。開催期間中、「教育現場を強くする!これからのアップデート術とは」をテーマにした4本の基調講演を配信。初日の20日には、角川ドワンゴ学園の吉村総一郎S高等学校校長が、同校と姉妹校のN高等学校で昨年度から導入しているVRを活用した教育の可能性と課題について語った。

 ネットの高校をうたい、2016年に通信制高校として開校したN高校の在籍者数の増加に伴い、21年度に茨城県つくば市に本校を開校したS高校。両校では現在、合わせて2万人を超える生徒が在籍し、オンラインコンテンツを活用した授業やインターネット上でつながった部活動など、さまざまなプログラムが大規模に展開されている。

 講演で吉村校長は、両校のオンライン教育について、▽ZoomやSlackを活用して生徒と教師のコミュニケーションができる▽通学や移動に要する時間が削減でき、時間を有効に使える▽日本一のクオリティーの教材を利用できる――といった利点を挙げる一方で、課題として▽小さな画面越しでは集中しづらい▽対面のコミュニケーション力がつきづらい▽運動不足になりがち――といった点も指摘。「VRはこうしたオンライン教育の弱点を補うことができる」と強調した。

 両校が21年度から導入を進めているVR学習コンテンツでは、最新のVRデバイスを生徒に貸与。生徒はアバターとなってVR空間につくられた教室で授業を受ける。教室には他の生徒のアバターが授業を受けている様子がログとして残っており、非同期でありながら一緒に学んでいるような感覚を味わえるだけでなく、目の前にある生物のモデルをつかんで大きさを調整したり、さまざまな角度から観察したりといった、VRならではの学習体験もできる。

 また、授業以外でもVRは活用されており、面接の練習や英会話など、リアルに近い非言語コミュニケーションの場面を再現したり、体を動かすオンラインゲームを使った運動会を企画したりしているという。

VR教育の可能性と課題を語る吉村校長(オンラインで取材)

 VRによる教育を1年間取り組んで見えてきた課題として、吉村校長は「一番大きいのはVRの技術普及。5%の人がセットアップを完了させていない。新しい技術なのでなかなか高い障壁だ。また、VR酔いへの対応も考えないといけない」と指摘。VR空間でも、相手が嫌がるような言動をしないといったコミュニケーションポリシーを作っていく必要性も挙げた。

 その上で「コミュニティーリーダーの育成がVRの普及には重要だ。生徒主体のイベント実行委員を募集するなどして、彼らがVRのコミュニティーを育てていくようにしていく。VRの経験値には、生徒同士でも差がある。先端的な生徒が他の生徒や教員を巻き込んでいく必要がある」と話し、新たに浮かび上がった課題への対応策なども紹介した。

 「教育総合.オンライン展示会Vol.3」は4月22日まで開催される。申し込みは同イベントホームページで受け付けている。

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