京都府調査でいじめ認知が減少 専門家が「見逃し」に警鐘

 公立の小中高校や特別支援学校を対象に、京都府教委が昨年度に実施したいじめ調査(2学期分)の結果がこのほど、まとまった。いじめの認知件数は合わせて9265件で、前年同期より210件、2.2%減少した。認知件数が減ったことについて、いじめ問題に詳しい専門家は「新型コロナウイルスの感染拡大で子ども同士が関わる機会が減ると同時に、教師と子どもの関わりも減ってしまい、問題が見逃されている可能性がある」と警鐘を鳴らしている。

 京都府では、いじめの未然防止や早期発見のため、1学期と2学期の年2回、いじめ調査を実施している。今回の調査は、公立学校356校の児童・生徒合わせて約11万8千人を対象に行った。その結果、学校別の認知件数は、小学校が8240件(前年同期比2.6%減)、中学校787件(同2.6%増)、高校162件(3.6%減)、特別支援学校76件(7.3%減)と減少が目立ち、全体では前年同期より2.2%減る結果となった。

 小学校で多かったいじめの内容は「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が4637件と最も多く、次いで「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたり、蹴られたりする」(2215件)、「パソコンや携帯電話、スマートフォンで誹謗中傷や嫌なことをされる」(205件)などだった。

 同府教委によると、同じ昨年度の1学期分の認知件数は1万368件で、前年同期に比べると1478件、14.3%増加していた。ところが2学期になって認知件数が一転して減少に転じた理由について、府教委では「把握し切れていない事例があるのかもしれない」(学校教育課)としている。

 この調査結果について、いじめ問題に詳しい立命館大学大学院の春日井敏之教授(臨床教育学)は「原因は2つ考えられる」と話す。いずれもコロナ禍がもたらした影響とみられるが、「1つには行事等が減るなどして、子ども同士が関わる意欲と機会が減ったこと。もう1つは、教師と子どもの関わりも減ってしまい、丁寧に子どもたちを見る機会が減ることで、見逃しが起きているのではないか」と指摘する。

 その上で春日井教授は「学校外で起きるネットの世界のいじめなどは、教師がなかなか把握できない。子どもの側も我慢して教師に言い出しづらくなっている。そうした意味で、いじめ調査の後も、引き続き子どもたちの心理的なケアをすることが大切」と警鐘を鳴らしている。

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