プログラミング教育は次のステップへ GIGA後の姿を議論

 プログラミング教育は「クラウドネーティブ」の子どもたちの可能性を伸ばす――。DMM.comが主催する「教育総合.オンライン展示会 vol.3」の2日目となる4月21日、小学校での必修化や「情報Ⅰ」の大学入学共通テストへの出題などで存在感を増している「プログラミング教育」についての対談が行われた。民間の立場から中高生向けにプログラミング教育を提供するライフイズテックの讃井康智取締役と、元小学校教員で、教育工学が専門の小林祐紀茨城大学准教授が、GIGAスクール構想の定着後を見据えた学校におけるプログラミング教育の次のステップについてのビジョンを語り合った。

プログラミング教育の現在地とこれからの方向性について語り合う讃井取締役(左)と小林准教授(オンラインで取材)

 小学校でのプログラミング教育の必修化や、高校の「情報Ⅰ」が2025年からの共通テストで出題される動きなどを解説しつつ、プログラミング教育のニーズの高まりをアピールした讃井取締役は、その一方で学習指導要領が目指す内容をすぐに現場の教員が教えられるわけではなく、ギャップが生じていると指摘。

 「情報Ⅰ」が受験科目になることについても、「受験があるのでモチベーションは上がるし、プログラミング教育を広げるエンジンにもなるが、受験による弊害もある。共通テストはマーク式で、実際にコードを書くわけではない。マークシートで答えられる内容にだけ対応した子どもを育てるのではなく、クリエーティブな発想で社会の問題を解決する子どもたちを育てたい。テスト対策に収束するような教育ではなく、クリエーティブな体験を学校現場の中でもやっていってほしい」とくぎを刺した。

 これに対して小林准教授は「子どもの能力向上を実現するためには、先生たちのスタンスを変えていく必要がある。授業観をアップデートして、物事を教える立場から伴走するような、学びの場をデザインしていくような立ち振る舞いが先生には求められている」と強調。

 特にさまざまな教科の中にプログラミング教育が入っている小学校では、カリキュラムマネジメントを意識しながら、子どもの興味や学習内容とプログラミング教育を有機的に連携させていくことや、小学生段階で「プログラミング嫌い」を生まないようにすることが重要だと呼び掛けた。

 対談の後半では、今後のプログラミング教育の姿が議論された。讃井取締役は、GIGAスクール構想で1人1台環境が実現したことにより「(GIGAスクール構想が始まる前の)2020年の子どもと今の子どもの基準は違う」とし、端末を文房具のように使うことでICTスキルが格段に上がり、クラウド環境での活用が当たり前になった「クラウドネーティブ」でもある子どもたちに対応して、例えば中学校段階でテキストコーディングの初歩を学ぶといったように、プログラミング教育の内容もバージョンアップをしながら、子どもたちがICTで社会課題を解決する当事者になれるようにすべきだと提言した。

 また、小林准教授は、学校や家庭で端末の使用を制限し過ぎると、文房具のような自由な使い方は広がらないというジレンマに触れ、「(端末を)フリーに使わせるという発想もあるが、怖いというのも分かる。かといって、がちがちに制限してしまえば、ただの『使わされている道具』になってしまう。その間のバランスをどうするか。個人的には、禁止することを一概にだめだとは思っていないが、どういうステップでその禁止が解除されるのかを、開示する必要はあると思う。子どもたちが、自分たちがここまで成長すれば、より豊かな学習体験ができると実感できるかどうか。先生と子どもの間でロードマップを共有するのが大事ではないか」と助言した。

 終盤に差し掛かると、讃井取締役は「子どもたちが、何でもいいから自分ののめり込める課題を見つけると、世界が広がることがある。昔はそれをやろうとすれば東京の一部の地域だけだったが、今ではオンラインで学校でも家庭でも学べる。子どもの可能性を引き出せる機会を大人が届けてくれたら、子どもたちの可能性がぐっと伸びる。大人が決めつけて、低い天井をつけないことが大切だ」と、大人の役割の重要性を強調。進学や就職でICTを駆使して課題を解決する力を評価するなど、社会全体の意識変革が求められていると語った。

 小林准教授は「学習指導要領が目指したのは学びの探究化であり、STEAM化だ。創造的な学びは、私たち教師が実現したいと思っていたことでもある。1人1台やプログラミングなど、さまざまな新しいものが入ってきているが、その本質を教師がどう見定められるかが問われている」と、学校現場にエールを送った。

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