初の学校教育情報化推進計画、6月公表へ 4つの基本方針示す

 学校教育の情報化の推進に関する法律に基づき、国が初めて策定する「学校教育情報化推進計画」の案が4月21日、文科省の専門家会議で示された。計画案では、基本方針として(1)ICTを活用した児童生徒の資質・能力の育成(2)教職員のICT活用指導力の向上と人材の確保(3)ICTを活用するための環境の整備(4)ICT推進体制の整備と校務の改善――の4点を挙げ、それぞれに目標を設定するとともに、効果測定を行うための指標例と具体的な施策を示した。文科省は、今回の計画案へのパブリック・コメントを5月20日まで募集する。

 同計画は学校教育の情報化に関して、今後5年間に取り組むべき施策の方向性を示しており、同法で各自治体の努力義務とされている推進計画を策定する際の参考となるもの。ただ、技術革新のスピードが速いICT分野の特性を踏まえ、必要に応じて随時更新を加えるとともに、3年をめどに見直す。今回の計画案で示された4つの基本方針は次の通り。

(1)ICTを活用した児童生徒の資質・能力の育成

 ここでは「ICTの活用により、児童生徒の情報活用能力などの資質・能力を高める」ことが目標とされた。効果測定のための指標の例として▽ICT活用による児童生徒の変容(ICTを使った勉強は役に立つと思うか、関心や意欲が高まるかなど)▽児童生徒の情報活用能力の変容▽情報化指導者養成研修など研修の実施状況――が示され、全国学力・学習状況調査など各種調査により進捗(しんちょく)を確認することが書き込まれた。

 その上で、基本方針を実現するための施策として▽効果的な利活用の推進▽情報モラル教育の充実▽健康面への配慮▽いじめ・自殺・不登校などの対応の充実▽プログラミング教育▽障害のある児童生徒の教育環境の整備▽相当の期間学校を欠席する児童生徒に対する教育の機会の確保▽日本語指導が必要な児童生徒の教育の充実――を盛り込んだ。

(2)教職員のICT活用指導力の向上と人材の確保

 ここでの目標は、「教師のICT活用指導力やICT支援員など指導体制の強化を図るとともに、ICT活用に関する地域間の差を縮小させる」こととされ、その指標例としては▽授業においてICTを活用して指導する能力の向上▽授業などにおけるICT機器の活用頻度の地域差の縮小▽端末を個別最適な学びや協働的な学びに活用しているか▽ICT支援員の配置状況、ICT活用教育アドバイザーの活動状況――が示された。

 具体的な施策としては、現職の教員への研修の充実のほか、教員養成段階では2022年度の入学生から小学校、中学校、高校の課程で「情報通信技術を活用した教育の理論及び方法」に関する科目の1単位以上の履修を必修化することなどを挙げた。併せて地域の民間企業や大学生、企業退職者などの多様な専門人材の参画や、高校の情報教員の確保と質の向上、ICT支援員の確保を進めることとした。

(3)ICTを活用するための環境の整備

 ここでは「端末やネットワーク環境、大型提示装置などの学校ICT環境の整備を一層推進する」「端末の持ち帰りを含め、家庭学習におけるICTの活用体制を整備する」ことを目標とし、指標例として▽高校も含む端末の整備状況、指導者用端末・カメラ・マイク・大型提示装置などの整備状況▽ネットワーク速度の実測値や、アセスメントの実施状況▽端末の持ち帰り状況や、臨時休業などの際のICT活用状況――を挙げた。

 具体的な施策としては、全国一斉の整備の更新期に向けた検討、ネットワーク環境や指導者用端末整備に関する課題の解決、学習系・校務系ネットワークの分離を必要としないアクセス制御による対策を講じたシステム構築、情報端末を活用しやすい新JIS規格の教室用机の整備などを進めるとした。

 加えて教育データの利活用の一環として、学習者IDとマイナンバーカードとのひも付け、転校時の教育データの持ち運びなどの方策を22年度までに検討し、23年度以降、希望する家庭・学校で活用を実現できるように取り組むとした。また、24年度の学習者用デジタル教科書の本格導入に向け、紙の教科書との関係、財政負担など制度上の位置付けを検討していくことなどを盛り込んだ。

(4)ICT推進体制の整備と校務の改善

 ここでは「ICTを活用した校務の効率化や働き方改革を推進する」を目標とし、指標例として▽ICTを活用した校務効率化(会議、出欠連絡、保護者との連絡、アンケート、書類作成など)の状況▽学習評価や成績処理について、ICTを活用して、事務作業の負担軽減を図っているか(校務支援システムの活用など)――を示した。

 具体的な施策としては、学校設置者により専門人材の配置や支援体制の強化を図ることや、特定の教職員に負担が偏ることがないよう、学校管理職により適切な校務分掌や校内の連携体制の構築が行われるよう支援することのほか、書類作成、情報共有、採点・集計作業などのデジタル化を進めるとともに、優良事例を広く周知することなどを盛り込んだ。

オンラインで行われた第2回会合(Zoomで取材)

 21日の第2回会合では、委員から「デジタル化によって何を目指しているのか、児童生徒や保護者が共感できるような将来のビジョンを見せていく必要がある」「全ての教員の能力の向上には、個人差に応じた研修の構築が大事ではないか」「学校設置者である自治体がしっかり環境整備に取り組むよう、国のリーダーシップにおいて書き込むべきではないか」といった意見が寄せられた。

 文科省は、今回の計画案に対するパブリック・コメントを5月20日まで募集する。第2回会合で委員から出た意見と、パブリック・コメントの結果を踏まえて調整を行い、今年6月中旬以降、学校教育情報化推進会議を経て計画を決定・公表する。

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