教師不足、教委に「特別免許状の積極活用」求める 文科省

 全国的に教師不足が問題となる中、末松信介文科相は4月21日、参議院文科委員会で、各都道府県教委に対して教師数確保のため、知識や経験の豊富な社会人に授与する特別免許状の積極的な活用などを求める事務連絡を行ったことを明らかにした。採用計画の数値目標などの公表で制度の透明化や、教師不足が深刻な小学校では複数教科の授与などの検討を促している。教師不足については昨年度の調査で大幅な欠員が明らかになっており、「今年度も厳しい状況が発生している」(文科省総合教育政策局教育人材政策課)という。22日には各都道府県教委の担当者を集めたオンライン会議を開催し、事務連絡の趣旨を徹底させる予定。

参院文科委で答弁する末松文科相(参院インターネット審議中継)

 文科省が昨年度に行った「教師不足」に関する実態調査では、同年度始業日時点で公立の小中学校で2086人(不足率0.35%)、高校で217人(同0.14%)、特別支援学校で255人(同0.32%)の計2558人(同0.31%)の欠員が生じていたことが分かった。影響は小学校の学級担任の教師不足などに及んでおり、主幹教諭、指導教諭のほか校長や副校長などの管理職が代替するケースもみられた。教師不足が生じた主な要因は、若手教諭が増えたことによる産休・育休取得者や病休者の増加、特別支援学級へのニーズの高まりがあり、各教委の見込みを上回ったことなど。さらに働き方改革の遅れで教員志望者が減少したという背景も指摘されている。

 教職の特別免許状は、教員免許状を持たずに、知識や経験豊富な社会人が教師として学校教育に関わる仕組みで、1988年に導入された。学校現場の多様化や活性化が期待されているが、実際には採用が伸び悩んでいる。例年、教員免許状のほとんどを普通免許状が占め、年約20万件授与される一方、特別免許状は年わずか200件程度。授与が高校や英語、看護などの科目に偏っている。このため現在、制度の在り方を含めて中教審の小委員会でも課題解決のための検討が進められている。

 4月20日に行った事務連絡では、昨年5月改訂の「特別免許状の授与に係る教育職員検定等に関する指針」を踏まえ各都道府県教委で、博士号取得や各種競技会、コンクール、展覧会などでの実績、教科に関する専門的な知識や経験、技能を持つと認められる者に積極的に授与が行えるよう基準を緩和することに加え、志望者に対して採用実績(校種・教科別)や数値目標などの採用計画を明示することで制度の透明化を図るよう求めている。

 特に教師不足が深刻化している小学校では、専門的な知識・経験に基づく複数教科の授与や、高学年の教科担任制の推進を見据えた専科指導の教科(外国語、理科、算数、体育など)についての積極的な採用検討も求めた。

 このほか、普通免許状を所持する中学校教諭に小学校の臨時免許状を、未更新のために免許状が失効・休眠状態となっている者に臨時免許状を授与することが考えられるとしている。

 21日の文科委で、末松文科相は片山大介議員(日本維新の会)の質問に、「任命権者である都道府県教育委員会等において、あらゆる手段を講じて教師の確保に取り組んでいただきたいと考えており、引き続き積極的に働き掛けていきたい」と答えた。

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