【GIGA2年目】オンライン授業への自信75%に 教育新聞調査

 教育新聞が今年3月に実施したウェブアンケートでは、回答した全国の教諭・学校管理職460人のうち、感染拡大や自然災害などの非常時にオンライン授業が「十分にできると思う」「まあできると思う」とした割合が75.2%となり、半年前のアンケートと比べて約10ポイント、1年前と比べると約20ポイント上昇した。またオンライン授業を経験した教員に、オンライン授業と対面授業のどちらが取り組みやすいかを複数の場面に分けて尋ねたところ、小学校より中学校でオンラインを評価する声が多いなど、校種による違いが見られた一方で、課題や資料を提示する場面は、校種を問わずオンラインに支持が集まった。とはいえ自由回答では、オンライン授業の難しさを訴える学校現場の声も多く寄せられた。

経験回数が自信を後押し、ただ負担は変わらず

 文科省が今年3月に公表した調査結果では、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染が急拡大した今年1~2月、臨時休校や学年・学級閉鎖を行った公立学校のうち、同時双方向型のオンライン授業を行った学校が69.6%に上ったことが分かった。2020年4月の一斉休校の時点では、「同時双方向型のオンライン指導を通じた家庭学習」を行っていると回答した学校設置者は5%にすぎなかったことを考えると、この2年間で、学校の対応力が急速に上がったことが分かる。

【グラフ1】非常時にオンライン授業に対応できるか(以前の教育新聞アンケートとの比較)

 教育新聞のアンケートでも、新型コロナウイルスの感染拡大や自然災害などで再び休校になった場合、同時双方向型などのオンライン授業に対応できるかを尋ねたところ、「十分にできる」「まあできる」を合わせた肯定的な答えは75.2%に上った。一方「どちらともいえない」は11.5%、「あまりできない」「ほとんどできない」を合わせた否定的な答えは13.2%にとどまった=グラフ1参照

【グラフ2】非常時にオンライン授業に対応できるか(経験回数別)

 こうしたオンライン授業への対応に自信がある教員の割合は、昨年度のアンケート結果から着実に上昇しており、昨年10月と比べて約10ポイント、同4月と比べると約20ポイント改善した。さらに、これまでにオンライン授業を経験した回数別にみると、経験回数が多い人で自信がある割合がおおむね高い傾向が見られ、これまでの知見の蓄積が、オンライン授業への自信を後押ししている状況がうかがえた=グラフ2参照

【グラフ3】オンライン授業の負担感

 ただ一方で、オンライン授業には機器や教材の準備などの手間も掛かる。アンケートでオンライン授業の負担感を尋ねたところ、「大いに負担がある」が11.3%、「まあ負担がある」が34.2%で、負担感のある教員の割合が45.5%と半数弱に上った=グラフ3参照。この負担感は経験回数による傾向は見られず、これまで20回以上経験している教員でも、負担を訴える人は少なくなかった。

「課題や資料を提示する」はオンライン授業に軍配

 さらに教育新聞のアンケートでは、「学習内容を理解させる」「集中して取り組ませる」「主体的に取り組ませる」「児童生徒の発言・質問を促す」「児童生徒同士が学び合う」「一人一人の学習状況を把握する」「課題や資料を提示する」の7つの場面について、オンライン授業と対面授業のどちらが対応しやすいかを尋ねた。

【グラフ4】対面授業とオンライン授業でどちらが対応しやすいか(小中学校)

 まず1人1台端末が整備されている小中学校段階についてみると、多くの項目でオンラインを評価する声がおおむね高かったが、小学校・中学校の学校種による差も目立った=グラフ4参照。例えば「学習内容を理解させる」は、小学校では対面授業を評価する声(「対面の方がよい」「どちらかといえば対面の方がよい」の合計)が41.7%である一方、オンライン授業を評価する声(「オンラインの方がよい」「どちらかといえばオンラインの方がよい」の合計)が36.2%と、対面授業に軍配。一方で中学校では対面授業を評価する声が25.2%、オンライン授業を評価する声が59.6%と、30ポイント以上の開きがあった。

 また「児童生徒同士が学び合う」でも、小学校では対面授業とオンライン授業への評価がそれぞれ4割前後で拮抗(きっこう)していたのに対し、中学校では対面授業と比べ、オンライン授業への評価が40ポイント以上高かった。ただし「課題や資料を提示する」は、中学校で82.8%、小学校でも66.1%がオンラインを支持。デジタルの利便性への実感がうかがえる結果となった。

【グラフ5】対面授業とオンライン授業でどちらが対応しやすいか(高校)

 それでは、1人1台端末の整備がまだ完了していない高校段階はどうか。小中学校と比べると多くの項目で「対面授業派」が多く、とりわけ「集中して取り組ませる」「児童生徒同士が学び合う」はオンライン授業と比べ、対面授業を評価する割合が高かった。一方「一人一人の学習状況を把握する」「課題や資料を提示する」はオンラインを評価する声の方が多く、とりわけ「課題や資料を提示する」は47.8ポイントもの開きがあった。

オンライン授業で心が折れた若手も

 オンライン授業への対応力は着実に向上しているとはいえ、自由回答に寄せられた意見からは、学校現場での苦労はまだまだ多いことが分かる。

 コロナ禍では対面授業をしながら、登校できない児童生徒のためにオンライン中継を併用するケースもあった。ただ「学級での対面授業とオンライン越しの児童への同時授業はかなり厳しい。特に低学年。学級閉鎖であれば一斉にオンラインとなるが、感染不安で欠席している児童は数人。学びの確保は必要であると承知の上だが、担任一人で対面授業とオンライン授業の同時進行は無理がある。1時間当たりの授業内容が半分、もしくは3分の1程度しか進められなくなる」(南関東/公立小教諭・30代)という声が上がる。

 また、設備面での課題も寄せられた。これまでも指摘されている通信環境の問題については「今年度、双方向のオンライン授業を実施することが多くあった。参加人数が多くなると回線が重くなってしまうため児童側のカメラやマイクを切るので、児童の活動の実態が見えないことが課題だと感じている」(南関東/公立小教諭・20代)といった声が聞かれた。

 またオンライン授業では、ウェブカメラやマイクなどの性能や使える台数が、授業の質を左右することもある。「校内において、密を避けるためにオンラインで授業を行った。学校備品のみで授業をできないこともないが、スムーズに授業を展開するために、私物を使いながら進めた」(北海道/特別支援学校高等部教諭・40代)と、教員が設備に私費を投じている例も見られた。

 文科省から通知が出されているオンライン授業の指導要録上の記録についても、さまざまな認識があるようだ。近畿地方の40代の公立小教諭は「不登校の子どもやコロナ関係で登校できない子が、1日数時間だけとはいえ、家庭から教室につながれるのは大きなメリット。ただ、指導要録にオンライン授業を実施した日数を記録するなどの件では、『1日2時間しか、つないでいないから』などの理由で書き残さないケースが目立つ。オンラインでつないだだけでは、登校して受けられる授業を完全に補完できるわけではなく、『授業を受けたとしてカウントできるとはいえない』という認識が多くの教職員にある。社会全体の中での認識と、そのあたりは食い違うところかな、と思う。どちらがよいとは、言えない」と記した。

 こうしたオンライン授業のさまざまな苦労から、「オンラインの授業への対応は若手教諭には負担が多過ぎる。このコロナ禍でオンラインが増え、心が折れてしまった若手が数多くいる」(東京都内/公立中教諭・40代)という声もあり、教員の負担への配慮や支援が引き続き重要であることがうかがえた。

今回のウェブアンケートは今年3月18~24日に、教育新聞の購読者のほか、教育新聞の公式SNSなどで回答を募り、全国の小学校・中学校・義務教育学校・高校・中等教育学校・特別支援学校の教諭・学校管理職460人から有効回答を得た。

●アンケート回答者の基本属性は次の通り。

 【学校種】小学校33.3%、中学校36.7%、義務教育学校7.8%、高校15.9%、中等教育学校・中高一貫校3.9%、特別支援学校2.0%、その他0.4%
 【学校設置者】国立3.0%、公立67.0%、私立30.0%
 【職位】教諭93.7%、教頭・副校長3.5%、校長2.4%、その他0.4%
 【学校所在地】北海道10.4%、東北8.1%、北関東5.5%、東京都内17.2%、南関東18.2%、甲信越2.9%、北陸13.0%、東海2.3%、近畿6.8%、中国4.2%、四国1.6%、九州・沖縄9.7%
 【性別】男性54.3%、女性43.3%、その他・答えたくない2.4%
 【年代】20代23.5%、30代28.3%、40代34.8%、50代12.4%、60歳以上1.1%

●学校教員統計調査などの公的統計と比較すると、今回の回答者には以下のような特徴があることに留意(5ポイント以上の差がある項目を記載)。

 【学校種】中学校、義務教育学校の割合が高く、小学校、高校、特別支援学校の割合が低い
 【学校所在地】北海道、東京都内、北陸の割合が高く、東海、近畿の割合が低い
 【性別】女性の割合が低い
 【年代】20代、40代の割合が高く、50代の割合が低い

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