デジタル教科書で「勉強楽しい」 小中学生の半数以上が回答

 文科省が昨年度から実施している、小中学校で学習者用デジタル教科書を試行的に活用する実証事業について、デジタル教科書を使った学びを体験した児童生徒・教員に対するアンケートの結果が4月25日、中教審の「教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループ(WG)」で報告された。「いろいろな情報を集めやすい」などの項目で、小学校中高学年や中学生からのデジタル教科書への支持は強く、デジタル教科書を使うようになって勉強が楽しいと回答した児童生徒も、全教科で半数以上に上った。

 アンケートは昨年10月以降、児童生徒(小学校低学年・中高学年・中学生)と教員を対象に行われ、児童生徒の回答者は▽小学校低学年80校(有効回答数7532件)▽小学校中高学年273校(同3万177件)▽中学生169校(同2万7399件)。教員の回答者は小学校など7225校、中学校など3720校(同3万5637件)。

文科省「令和3年度 学習者用デジタル教科書の効果・影響等に関する実証研究事業」より、児童生徒向け大規模アンケート調査結果

 小学校中高学年・中学生に対するアンケートで、紙とデジタルの使いやすさを尋ねたところ、「いろいろな情報を集めやすい」「図や写真が見やすい」「一度にいろいろな資料を見て比べやすい」の項目で、デジタル教科書が使いやすいと答えた割合が特に高かった。また中高学年・中学生のいずれも「教室の授業でデジタル教科書を使うようになって勉強が楽しいと感じるようになった」と回答した児童生徒が、全教科で半数以上に上った。

 小学校低学年では「べんきょうはたのしいですか」の質問に肯定的な回答をした児童が約9割おり、そのうち「デジタル教科書をつかうまえから(楽しい)」が50%、「デジタル教科書をつかうようになってから(楽しい)」が31%となった。

 教員向けアンケートでは、週に30分以上使用している教員が32.3%である一方で、 「使わない週もある」と回答した教員は54.4%となり、文科省は「導入期として試行段階の学校が多い」と推察する。よく使うデジタル教科書の機能は「画面の拡大」「ペンやマーカー等を使用した画面への書き込み」「デジタル教材にアクセス」が上位に並び、英語では「機械音声読み上げ」「朗読機能(肉声)」が多かった。

 紙よりデジタル教科書の方が適しているという回答が比較的多かった学習場面は「児童生徒が自分で見たい資料を選択する」「児童生徒の驚きや興味・関心の喚起を図る」「学習内容を視覚的に確認する」「必要な情報のみを見せたい」で、「児童生徒の習熟度に応じた学習を行う」「児童生徒の考えを発表・共有する」「学級全体で考察する際に、児童生徒の考えを分類・整理する」なども肯定的な回答が多かった。

 デジタル教科書を使用する際に不便な点は「フリーズ、またはエラー表示された時に対処が必要になる」「毎時間、ログイン(デジタル教科書の画面になるまで)に手間取る児童生徒が多い」などの回答が多かった。また導入時に困ったこととして「デジタル教科書を学校で円滑に利用するための環境整備の確保」「デジタル教科書を活用した教科指導方法の検討」などが挙がった。

アンケート結果が報告された中教審WGの会合(Zoomで取材)

 25日の中教審WGの会合で、神野元基委員(学校法人東明館学園理事・校長/宮崎市教育CIO)は「実証に参加した先生が使ったデジタル教科書が、単に紙をPDF化したデジタル教科書なのか、教材を付随させた形のデジタル教科書であるのかで、かなりの差が出るだろう。デジタル教科書がどんな教育環境の中でどう使われて、それによってデジタル教科書がどんな役割を担ったかまで見ていく必要がある」と述べた。中村めぐみ委員(茨城県つくば市教育委員会指導主事)は実証を行った立場として、「自治体として心配なのは、デジタル教材やデジタルノートを同時に開く場合のネットワーク負荷や、コンテンツが正常に稼働する端末のスペック。子供たちにとってタブの切り替えは、慣れればたやすい操作だが、画面をずっと見続ける場合の身体への影響も考えないといけない」と指摘した。

 昨年度の文科省の学習者用デジタル教科書実証事業への参加校は、全体の約40%に当たる小学校約8100校、中学校約4400校の計約1万2400校。小学校で選択した教科は算数(32%)が最も多く、次いで社会(17%)、国語(15%)だった。中学校では英語(30%)が最も多く、次いで数学(25%)、理科(23%)だった。

 今年度の実証事業は英語で、国公立のほぼ全校、私立の33%に当たる小学校約1万9000校、中学校約9900校の計約2万8900校が参加する。また英語以外では全体の約70%に当たる、小学校約1万5600校、中学校約7900校の計約2万3500校が参加し、選択した教科は小学校では算数(30%)、中学校では数学(23%)が最も多くなっている。

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