未解決ゼロ継続中 いじめ対策専従班、大阪府寝屋川市

 必ず解決します――。大阪市寝屋川市が、学校で起きているいじめの対策専従チームを市長部局に作って2年半。「いじめは人権侵害」と捉え、教育だけでなく行政や法律の問題として取り組むことで、早期発見と解決につなげている。現在のところ「未解決はゼロ」という。どのような取り組みをしているのか、担当者に聞いた。

 いじめ専従班は、弁護士資格やケースワーカーの資格をもつ職員ら総勢9人で構成。広瀬慶輔市長が2019年10月、市長部局の危機管理部に設けた監察課に所属している。教育委員会と密接に連携するが、組織上は切り離された格好だ。「監察」という名称は行政機関では、執行状況を調べる機能を意味することが多いが、同市では公立の小中学校の子どものいじめ対応が主任務。

 同課の担当者に尋ねると、「職員のハラスメント問題も一部担当するが、いじめ対応が主業務。いかめしい名称によって、いじめの抑止効果が高まることを期待して名付けた」という。

 同市の取り組みは、まずいじめを行政問題として解決するための条例作りから始まった。監察課を設置した19年、「子どもたちをいじめから守るための条例」を作り、市長が加害側の児童生徒の出席停止を学校に勧告できるようにするなど、市長の権限を強化。担当職員に強い調査権限を与えたほか、保護者だけでなく一般市民をも対象にして、いじめに関する情報の提供を義務付けているのも大きな特徴だ。

寝屋川市が市立小学校の低学年の児童に配ったチラシ(今年1月に配布)

 次いで初動対応の重視。スピーディーに把握できるよう月に一度、全小中学生に「いじめ通報促進チラシ」を配布し、フリーダイヤルやメール、市公式アプリ、LINEなど、たくさんの手段やルートを通じて、「いじめかもと思ったら、すぐに連絡してください」と呼び掛けている。

 その結果、監察課に直接、通報があった件数は19年度55件、20年度69件、21年度127件と年々増加。同課が対応した実績は、19年度172件、20年度169件、21年度183件に上る。同課によると、これまでに「認知したいじめは全て1カ月以内に停止させ、全件を解決した」としている。

 従来のいじめ問題への取り組みとの違いは、「私たちの前提は、教育的アプローチには限界があるという仮説に立っていること。学校へのカウンセラーの派遣や教育委員会の第三者委員会では、なかなか解決につながらない。そこで『いじめは人権侵害』と捉え、市民同士のトラブルとして解決に取り組んでいる」と担当者は話す。

 通報を受けると、職員が2人一組で原則、当日に学校の教師に連絡して出向くという。担当者によると、次のような手順で作業を進めている。

「放課後などの時間に教室で、教員や被害者の子どもたちにじっくりと話を聞く。そうやって事実関係を把握した上で、次に加害者の子どもからも事情を聞く。場合によっては保護者に加わってもらうことも。ほとんどのケースでは、『二度といじめはしないと約束してくださいね』と言って、加害側の子どもと約束をして終わる」

 いじめがエスカレートした場合に備えて、同市では弁護士の立ち会いや警察への告訴など、刑事・民事両面の法的対応も行うとしているが、現在のところそこまで発展したケースは起きていない。

 同市ではこうした実績をもとに、今年度に近隣の自治体の首長らを招いて「いじめサミット」(仮称)を開き、広域の地域が連携するいじめ防止運動を展開していくことにしている。

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