「子供法案は画期的」「子供コミッショナーを」 参考人意見陳述

 「こども家庭庁」設置法案など子供関連法案を審議している衆議院内閣委員会で4月28日、子供に関わる研究者やNPO法人関係者らによる意見陳述と質疑が行われた。出席した参考人からは「法案は画期的」「子供コミッショナーが必要」「子育てには財源の確保を」などと意見が出され、子供の人権保障を規定した法案への評価とともにそのための注文のほか、実践事例なども紹介された。

衆議院内閣委で開かれた子供法案を巡る参考人意見陳述(衆議院インターネット審議中継から)

 この日、参考人として出席したのは、中央大学教授の古賀正義氏、NPO法人わかもののまち事務局長の土肥潤也氏、日本弁護士連合会子どもの権利委員会幹事の野村武司氏、日本大学教授の末冨芳氏の4氏。

 最初に参考人による意見陳述が行われた。

 さまざまな立場の若者たちを調査研究している古賀氏は、子供や若者にとって「居場所」が必要とした上で、「子供から大人へという移行過程にある若者にどういうことが問題で、援助すべきかを常に検討していただきたい」と問題提起した。学校をやめてしまった人でも、友達や仲間の手助けがあったり、家庭の理解や協力があったりしたらやめなかったというアンケート結果を紹介。「今までの学校教師が行う支援だけでなく、学校という場で行う広がりのある支援が必要。いじめのような問題で法的な部分があれば、弁護士に入っていただくとか、就労する問題があればハローワークの方に入っていただくなどして、学校のプラットフォーム化というようなネットワークを構築して支援するという作業を進めている」と話した。

 続いて土肥氏は子供たちと一緒に街作りに関わっている立場から、こども家庭庁の創設について「国連の子どもの権利条約の理念にのっとり、子供まんなかの国作り、社会作りを掲げていることが画期的」とした上で、「これまでの子供や若者というのは、保護や支援の対象で意見表明する者ではなかった。積極的に子供が社会に参画する環境作りが行われていくことを期待したい」と同庁の設置を歓迎。

 さらに、実際に地元の自治体に対して若者たちの意見を集約した街作りの政策提言を行い、それが反映されて政治や社会に影響を与えたという成功体験が、仲間の自己肯定感や自己有用感につながっていったと振り返った。その上で審議中の法案に対しては、「こうした子供の意見表明や参画にも踏み込んだ議論が行われていることは、子供施策において重要な転換期にあると感じている」とした。

 子供の人権に詳しい野村氏も「政府および各党から提出されている法案は、子供の権利擁護を中心として、新組織の設置および基本法の制定に取り組んでいて、非常に意義がある」と評価。今国会での議論の中心の一つ、「子供コミッショナー」については、国連の「子どもの権利条約」を批准している国の「標準装備」とした上で、「一言で言えば、子供の思い考え、意見を届け、子供の最善の利益を図る、またそれを促す組織で、政府からはちゃんとした距離感を保った子供の代弁者。具体的な活動としては、個別救済、それから制度改善、そして広報啓発ということに分けることができる」と説明した。さらに現在、全国の地方自治体レベルでは、子供コミッショナーにあたる相談救済機関が設置されて活動していることを紹介した。

 文科省の各審議会の委員などを歴任してきた末冨氏は「教育や福祉をはじめ、子供に関わるさまざまな政策領域を、子どもの権利の基本法でつないでいく横串を通すことが大事」と強調。特に教育にかかる財源の問題に触れ、「財源が不足し、制度が不安定であるために、日本は子供を産み育てにくい国だと年々、若い世代が感じるようになっている。コロコロ変わってしまう支援制度では、若者世代が不安になる。子供給付の総合パッケージを取りまとめ、若い世代にしっかりと示していくことが今すぐ必要で、全ての所得階層が子供を産み育てやすい日本にならなければ、少子化の改善などあり得ない」と強調した。

 続いて質疑に移り、「こども家庭庁」設置法案に盛り込まれた「こども家庭審議会」と、「子供コミッショナー」との違いについて野村氏は「こども家庭審議会はこども家庭庁における諮問機関として、専門的な立場から総理、長官の諮問を受けて意見を述べるという仕組みで、縦割り行政を排す仕組みだと理解しているが、諮問がなければ意見が言えず、子供の意見やこれを踏まえた発意で活動する子供コミッショナーとは原理的に異なる」と述べた。

 子供の意見表明権に関連して問われた土肥氏は「子供たちは政治や社会に関心がないとか判断できないとは必ずしも思っておらず、むしろ関心はあるのだけれども、変えられると思っていないというのが実情ではないか。自分たちの声で何かが変わったという成功体験が積み重なって、最終的に政治や社会への関心につながっていくようなことが大切だ」と述べ、国会や国会議員に対して、「子供たちと直接対話をする機会を持っていただきたい。子供たちは意見を言えないとか参画ができないと思っているのは、大人側の思い込み」と指摘した。

 「こども家庭庁」に最も期待したいことを問われた末冨氏は「子供の権利を基盤とした政策や支援を拡充するための、財務省に対しての強い司令塔機能」として改めて強い財源確保を要望。そして、子供の意思を尊重するためにこれから社会が取り組んでいくこととして、「子供に関わる大人たちが安全で安心で信頼できる人であることが必須で、子供に関わるあらゆる場で一緒に考えていこうよという姿勢を当たり前にすることが重要」とした。

 質疑に立ったのは石原宏高(自民)▽河西宏一(公明)▽塩川鉄也(共産)▽浅野哲(国民)▽堤かなめ(立民)▽金村龍那(維新)▽緒方林太郎(有志)▽大石晃子(れいわ)――の各議員。

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