学校と福祉の連携で意見交換 ヤングケアラー支援でシンポ

 学校におけるヤングケアラーの発見と福祉分野の専門職などとの連携に向けて、「ケアラーアクションネットワーク協会」は4月30日、ヤングケアラーの支援に取り組む関係者らによるシンポジウムをオンラインで開いた。これに先立ち、同協会では、日本財団からの助成を受けて、ヤングケアラーについて学ぶ教員向けの研修動画を制作。シンポジウムでは、この研修動画を踏まえ、クラスに1人はいる可能性があるヤングケアラーの子どもたちに対し、教員が当事者の気持ちを大切にしながら、専門職と連携して適切な支援につなげるポイントについて、関係者らが意見交換した。

関係者が学校におけるヤングケアラー支援で意見交換したシンポジウム(YouTubeで取材)

 同協会の持田恭子代表理事はシンポジウムの席上、これまでも不登校傾向や虐待の疑いがあるケースなど、すでに学校では教職員が子どもの様子を観察して、支援につなげる体制があり、明らかなヤングケアラーの存在にも気が付いている、と説明。「(ヤングケアラーの中には)学校に登校していて成績もそれほど悪くないという児童生徒もいる。一見何の問題もないように見えるが、家族の見守りや感情面のサポートをしていることがある。将来に不安を抱き、友達に話しても分かってもらえないと感じている。そうした子たちは、自分から言わない限り教職員からは気付かれにくい」と指摘した。

 その上で、研修動画の狙いについて、教職員がそうしたヤングケアラーの立場を理解し、当事者がどんなサポートを必要としているかを考え、当事者が同じような立場のケアラーと出会いながら、自己実現する力を身に付けてもらうための支援の考え方を重視した、と説明した。

 後半のパネルディスカッションでは、スクールソーシャルワーカー(SSW)やスクールカウンセラー(SC)、精神保健福祉士など、ヤングケアラーの支援に関わる関係者が登壇。実際の支援事例を紹介した。

 横浜市で精神疾患のある親だけでなく、その子どもも含めた包括的な支援をしている「Omoshiro」の勝呂ちひろ代表理事は「例えば、ヘルパーが家事支援の一環で夕飯にハンバーグをつくるとき、大きいものと小さいものを用意しておく。小さいものは、中学生の子どもの明日のお弁当用だ。同じ家事支援でも、ヘルパーが親子のことを自分事としてみている。これが明日のお弁当になり、学校につながってくれる。こういうのを一つ一つ大事にしていきたい」と話した。

 この発言を受け、私立高校のSCとして活動し、ヨガを用いて自分を大切にするスキルを身に付けるプログラムを学校に展開している「がっこうヨガ推進委員会」の太田千瑞代表理事も「家庭に支援が入っていることを学校は何となく知っているが、そのお弁当のハンバーグを教職員が見掛ければ、家庭に支援が入っているという安心感につながる。担任の先生やSCが、そうした温かいまなざしを向けることにつながっていく。これこそ、全体的な支援、横につながる支援だと思う」と応じた。

 また、教員研修動画の監修を行った社会福祉士・社会教育士の土屋佳子・埼玉県子どもの権利擁護委員会委員長は「小中学校でヤングケアラーの子どもたちに対応できていても、高校には入試があり、細かな情報を事前に把握するのが難しいという構造的な課題がある。入学後に情報を集めないといけない状況で、先生は最初から生徒の細かな背景まで分からない」と、高校におけるヤングケアラー支援の課題を挙げ、ユースソーシャルワーカーなど、若者支援のための専門職の配置を促進していくべきだと提案した。

 同協会が制作した学校関係者向けの研修動画は、同協会ホームページで利用の申し込みを受け付けている。

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