公立高校の再編統合進む 近畿各地それぞれの事情

 少子化が加速する中、大阪や京都など近畿各地で公立高校の再編が進んでいる。3年連続で定員割れした学校を統廃合する条例がある大阪府では3校を対象に統合作業が始まり、兵庫県でも15校を再編統合する計画が決まった。その一方で、京都府や滋賀県では当面は統廃合を避け、小規模化しても魅力化することで学校を残す方向で改革に乗り出すなど、それぞれ独自の取り組みが始まっている。

 大阪府では、松井一郎大阪市長が府知事だった2012年に府立学校条例が改正され、3年連続で定員割れし改善の見込みがないと判断された公立高校を統廃合することが決まった。現在の再編対象は16校。このうち島本高(島本町)、茨田高(大阪市鶴見区)、泉鳥取高(阪南市)の3校の廃校が今年3月に正式決定し、来年度から生徒の募集を停止して、近接する高校への機能統合が始まることになった。

 廃校が決まった地元の受け止め方は複雑だ。大阪府南部にある阪南市は人口約5万2000人。市内に私立高はなく高校は泉鳥取高だけ。同高が廃校になれば同府内33市の中で初めて高校がない自治体となる。「家庭の事情で遠方への通学は負担が増える」と訴える保護者もいて、今なお廃校の見直しを求める声が上がっている。

 兵庫県は今年3月、県内125校の全日制の県立高校のうち生徒数が減っている28校を統合し、13校に集約する再編計画を発表した。28年度までに15校がなくなる。同県教委によると、同県内の国公立中学校の卒業者数は約4万3000人で、ピークだった1989年に比べほぼ半減した。ところがこの間に減った県立高校はわずか3校。少子化の加速で各校の生徒数や教員数が減り、部活動などにも影響が出ているところが続出し、大規模な再編統合に踏み切ることになった。

 現時点のところ統廃合される校数だけが公表されており、具体的な学校名は決まっていない。保護者や教育関係者からは「希望する進学先の選択肢が狭まることで、入学競争の激化も予想される」などの不安の声が上がり始めている。

 一方、京都府や滋賀県では公立高校の統廃合に慎重で、現在のところ統廃合の計画はない。両府県はともに学校が小規模になっても、授業への取り組みを魅力化することなどよって乗り切ろうと新たな構想を打ち出している。

 京都府では今年3月、少子化や私立校との競合に苦しむ公立高校の魅力化を図ろうと、「府立高校の在り方ビジョン」を策定し公表した。同府は、私立高校の授業料無償化施策によって私立人気が高まり、府立高校で定員割れが続出するなどの問題を抱えている。こうした実態を改善しようと、府教委では昨年5月に大学や高校の教員、有識者らからなる検討会議を立ち上げた。府立高校が今後10年間に目指すべき将来像や方向性を話し合っており、順次実現させていく。

 今年度からは一部の府立高校で、京都府立大学や福知山公立大学で行われる大学生向けの講義を、高校生もオンラインで受講できるようにしたり、別の高校の授業をオンラインで遠隔受講したりできるようになった。

 滋賀県では昨年12月、今年度からの10年間の県立高の在り方を示した基本方針案を発表した。同案では具体的な統廃合には踏み込まず、高校ごとの特徴的な学科配置などを示す「魅力化プラン」のたたき台を作り、地域の実情にあった学校作りについて各校の教職員や地元自治体が協議していくという。

 来年度以降、高校ごとに実施計画が順次策定される予定。同県教委によると、学校が小規模化しても、複数校を1つの大学のキャンパスのようにして残すなど、新しい形の高校の在り方も模索されるという。

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