義務教育費の国庫負担見直し「相当の再整理が必要」 文科相

 義務教育費国庫負担制度によって公立学校教職員の給与費を国が負担する割合を、現行の3分の1から2分の1に戻すべきだとの有識者らの提言について、末松信介文科相は5月10日の閣議後会見で、「国と地方の役割分担や税源配分の在り方をどのように考えるのかという重要な課題であるために、政府全体としての検討が求められる課題と認識している」とした上で、「負担割合を2分の1に戻すことについては、相当の再整理が必要であると認識している。非常に時間を要する、しかも十分な検討を要する話」と慎重に言葉を選び、政府全体で時間をかけた議論が必要になるとの見方を示した。

 末松文科相は、教員不足への対処法をまとめた有識者らの提言について記者から質問を受け、まず「子供たちのために、教員不足の状況を改善したい、という思いで提言をいただいた」と謝意を表明した。

 義務教育費国庫負担制度については、「地方公共団体の財政力の差によって教育水準に格差を生じさせないために、教職員の給与費について、国が義務教育費国庫負担金として3分の1を、都道府県と政令市が地方財政措置を踏まえて3分の2をそれぞれ負担することで、教職員給与費の全額を保障する、極めて重要な制度」と指摘。

 提言を受けた国の負担割合の見直しについて、「国と地方の役割分担や税源配分の在り方をどのように考えるのかという重要な課題であるために、政府全体としての検討が求められる課題であると認識している」と述べるにとどまり、見直しの議論に対する評価や賛否の表明を避けた。

記者会見する末松文科相

 慎重な姿勢をみせる理由について、末松文科相は「2006年に義務教育費国庫負担金の国庫負担割合が2分の1から3分の1に引き下げられた際、地方分権の観点から国と地方の役割分担を整理し、国から地方への税源移譲が行われた。それはもう、自民党の文教部会で大論争があったことを記憶している。すごく長い時間をかけた、という記憶がある」と、国会議員としての体験を交えながら説明。「負担割合を2分の1に戻すということについては、相当の再整理が必要との認識がある」と話した。

 さらに「いろいろな意見、こうやったらどうかというご提案をいただくけれども、非常に時間を要する、しかも十分な検討を要する話。政府全体として受け止めなければならないテーマになってくる」と言葉を選び、踏み込んだ発言を避けることに理解を求めた。

 有識者の提言は、末冨芳日本大学教授や学校業務改善アドバイザーの妹尾昌俊氏、民間団体「School Voice Project」(武田緑Demo代表)が協力して立ち上げたプロジェクト「#教員不足をなくそう緊急アクション」が5月9日に公表したもの。

 義務教育費国庫負担制度で国が負担する割合を現行の3分の1から2分の1に戻すべきだと提言した理由について、「都道府県・政令市の財政事情により、国が定める標準より少ない正規教員しか雇用できていない地域もある。都道府県・政令市の財政負担を改善することで、正規教員を雇用しやすくなる」と説明している。

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