養護・栄養教諭の資質能力向上へ 文科省の協力者会議が初会合

 中教審答申などで養護教諭・栄養教諭の資質能力向上が盛り込まれたことを踏まえ、文科省は5月12日、新たに設置した調査協力者会議の初会合を開いた。専門的な知識を有する養護教諭・栄養教諭は校内で重要な役割を担うものの、学校規模などによって1校に1人のみの配置となる場合も多く、多忙化や孤立を招きやすい、日常的な研さんの機会を得づらいなどの課題が指摘されている。委員からは資質能力向上の機会の充実とともに、複数配置基準の見直しを求める声が多く挙がった。

オンラインで開かれた初会合(文科省YouTubeで取材)

 座長を務める坂越正樹広島文化学園大学・短期大学長は「学校教育を大きく改善・改革しようという流れの中で、『生涯を通じて心身ともに健康な生活を送るために必要な資質・能力の育成』が挙げられ、健康リテラシーや食育というキーワードも出ている。またチーム学校として、専門的な知識や能力を持つスタッフが課題に当たることも求められる中、養護教諭や栄養教諭は大事な人材であり、戦力になっている」と、設置の趣旨を説明した。

 文科省側は、同協力者会議の論点として▽「令和の日本型学校教育」において求められる役割▽教職生涯を通じた資質能力の向上に向けた方策▽ICT活用能力の向上のための方策▽各種資格制度による学びの成果のさらなる活用▽日常的な資質能力の向上機会の充実▽オンラインを活用した研修の充実方策――を挙げ、同会議を通じて現状の課題を把握するとともに、具体的な施策への提言を取りまとめることを要望した。

 これに対し、小林幸恵委員(群馬県伊勢崎市立宮郷小学校養護教諭、全国養護教諭連絡協議会会長)は「保健室に支援を求めてくる子供たちは非常に多く、健康問題も多様化・複雑化している上、コロナ禍で深刻化している。保健室登校への対応やスクールカウンセラーなどの専門スタッフとの連携も必要で、業務はひっ迫しており、複数配置基準の見直しを考えてはどうか。複数配置は養護教諭同士の資質能力向上を図ることにもつながるし、働き方改革にも有効だ」と指摘。他の委員からも、現状は小学校で851人以上、中学校で801人以上となっている、養護教諭の複数配置基準の見直しを求める声が相次いだ。

 栄養教諭の立場からは、長島美保子委員(全国学校栄養士協議会会長)が「1人の栄養教諭が複数校を担当し、対応が追い付いていない現状がある。栄養教諭の配置が増えることで子供たちへの指導や保護者への支援、給食時間の巡回や指導、担任教諭などと協働した食に関する指導を充実でき、全国の子供たちが一定水準の食育を受けることができるようになる。速やかな配置促進を希望している」と訴えた。

 栄養教諭の養成に携わる鈴木志保子委員(神奈川県立保健福祉大学栄養学科長)は「研修や自己研さんによる教諭としてのスキルアップと、管理栄養士という栄養のスペシャリストとしてのスキルアップ、両面での資質能力の向上が必要」と指摘。また「ICTの導入で給食管理業務を効率化し、栄養教諭の職務が十分にできる時間を取ることが重要」と述べた。

 これに対し坂越座長は「適正配置は大事な問題だが、制度化の実現にはいろいろなルートがあろうかと思う」と慎重な姿勢を示した。また貞廣斎子委員(千葉大学教育学部教授)は「適正配置がすぐに実現できないのであれば、次善の策として機能強化や効率化により、今の力をパワーアップさせる知恵を出していくことも必要」として、「独自の専門性をより高度にするだけでなく、他の専門職と互いに理解し合い、協働できるという専門性を伸ばしていく必要がある」と指摘した。

 同協力者会議の委員は次の通り(五十音順、敬称略)。

 ▽北中睦雄(兵庫県教育委員会体育保健課長)▽小林幸恵(群馬県伊勢崎市立宮郷小学校養護教諭/全国養護教諭連絡協議会会長)▽坂越正樹(広島文化学園大学・短期大学長)▽貞廣斎子(千葉大学教育学部教授)▽鈴木志保子(神奈川県立保健福祉大学栄養学科長)▽長島美保子(公益社団法人全国学校栄養士協議会会長)▽中村信子(公益財団法人学校給食研究改善協会副理事長、株式会社SN食品研究所相談役)▽三木とみ子(女子栄養大学名誉教授/日本養護教諭関係団体連絡会会長)▽弓倉整(公益財団法人日本学校保健会専務理事)

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