「失効」した教員免許状、再授与申請で生涯有効に 文科省

 教員免許更新制を廃止する教育職員免許法の改正法案が国会で成立したことを受け、文科省は5月13日、改正法の施行日となる今年7月1日以降の教員免許状の扱いを整理して公表した。施行日時点で有効な教員免許状は、手続き不要でそのまま有効期限がなくなり、生涯有効な免許状になる。2009年4月の免許更新制導入前に授与された旧免許状で、いわゆるペーパーティーチャーとして休眠状態になっている場合も、手続き不要で有効期限のない免許状となる。一方、免許更新制の下で授与された新免許状で、有効期限を越えたため失効している場合は、都道府県教育委員会に再授与申請手続きを行うことで、有効期限のない免許状の授与を受けることができる。文科省では、教員不足が広がる中、失効したり休眠状態になったりしている教員免許状の保持者に、学校現場での活躍を促したいとしている。

改正教育職員免許法施行後の教員免許状の扱いを説明する末松文科相

 末松信介文科相は同日の閣議後会見で、「7月1日より休眠状態のものを含め、現に有効な教員免許状については、手続きなく有効期間のない免許状となる。関係者に向け、周知と広報をしっかりと行っていきたい」と述べた。

 教員免許状は、教員免許更新制が導入された09年4月1日を境に、それ以前に授与された旧免許状と、導入以後の新免許状に分かれる。どちらの教員免許状であっても、改正法の施行日となる今年7月1日時点で有効な教員免許状であれば、何も手続きをしなくても、そのまま有効期限のない教員免許状として生涯有効になる。学校基本調査によると、学校種別の教員数は21年5月1日現在で、小学校42万2864人、中学校24万8253人、高校22万6721人、特別支援学校8万6141人などとなっており、これら教員のほとんどにとって、保有している教員免許は生涯の資格として有効であり続けることになる。

今年7月1日以降の教員免許状の扱い

 新免許状の場合、退職などによって失効した現職教員や、授与されてから10年の有効期限を越えたため失効したペーパーティーチャーなどの非現職教員がいる。こうした失効した教員免許状については、都道府県教委に再授与申請手続きを行うことで、有効期限のない免許状の授与を受けることができる。

 文科省によると、20年度で教員免許状が失効した現職教師は1716人。このうち教職員を退職した人が1133人。失効時点の年齢が65歳以上の人が1066人、65歳未満の人が67人だった。また、新免許状を授与されたペーパーティーチャーで10年の有効期限を越えたため失効した人は「はっきり分からないが、数十万人規模」(同省総合教育政策局教育人材政策課)という。
 
 再授与申請手続きに必要な書類は、それぞれの都道府県教委が定めている。国会は附帯決議で、再授与申請手続きを簡素化するよう求めており、文科省では各都道府県教委に働き掛ける方針。例えば、再授与に当たって教員養成課程での単位取得の証明書を提出するよう求めている教委に対して、文科省では「失効した免許状を見せれば、単位取得証明書の提出を省くといった手続きの簡素化を検討してもらいたい」(同課)としている。

 教員免許更新制の導入以前に教員免許状を取得し、そのまま教職に就かず、いわゆるペーパーティーチャーとなった旧免許状の保有者は、もともと有効期限のない教員免許状を授与されているので、失効ではなく、休眠として扱われる。こうした休眠の場合は、都道府県教委への再授与申請手続きは不要で、そのまま有効期限のない教員免許状となる。こうした休眠状態の教員免許状の保有者は数百万人単位で存在する計算になる。

 教員不足の中、過去に教職に就いた経験者やペーパーティーチャーで教員免許状が失効や休眠状態になっている保有者について、同課は「教員免許更新制の下では、30時間の講習を受けないと復活できなかったが、施行日以降は法的な義務はなくなる。そうした免許状保有者が教壇に立つチャンスは広がることになる」と説明。末松文科相は4月28日、全国の都道府県・政令市の教育長を集めたオンライン会議で、「すでに現役を退いた教員、育児介護など離職した教員、休眠状態の免許状を持つ社会人を任用しやすくなる」「ブランクのある教員には不安な面もあるかもしれない。文科省でオンラインの研修プログラムを開発して支援する」などと、教員確保につなげる考えを表明している。

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