通信制高校改革で論点整理 不登校経験者などに応える体制に

 通信制高校の在り方を検討している文科省の有識者会議は5月16日、第7回会合を開き、これまでの委員らの意見を踏まえ、取りまとめに向けた論点を整理した。現行の通信制課程の教育制度は、働きながら学ぶ青少年を前提としているが、近年は不登校経験者など多様なニーズを持つ生徒が増加し、そうした状況に応じた教育の体制作りが求められている。論点整理では、個別最適な学び・協働的な学びなど新たな学びに向けた指導や、教育の質の保証などが挙げられた。

 今回出された論点は、①添削指導・面接指導の在り方②指導体制の在り方③質保証の方策④通信教育連携協力施設(サテライト施設)の在り方⑤所轄庁の在り方――など。添削指導や面接指導での主体的・対話的で深い学び、オンラインの効果的な活用方法、特別な事情のある生徒を多く抱える現状での指導体制のほか、一部で不適切な学校運営が見られることを踏まえた、設置認可や指導監督の在り方などが盛り込まれた。

 この論点整理に対して、森田裕介委員(早稲田大学人間科学学術院教授)は「全日制でも通信制のようにオンラインを使った学びが導入されている。通信制はもともと個別最適な学びが中心だったが、それに対して協働的な学びをどう融合していくか、(全日制と通信制の)互いに良いところをうまく取り入れられるチャンスが来ている。実証的な研究を通じて、一つのモデルを示すことが重要ではないか」と、議論の取りまとめに向けて、具体的なモデルを示していくことの重要性を指摘した。

 また、一部で不適切な運営が指摘された広域通信制高校について、青木栄一委員(東北大学教授)は「ある種の成功事例もヒアリングで出ている。教職員の分業、校務運営システムを使った業務の効率化など、働き方改革の参考になる事例がある。公教育全体を考えていく際にも重要な知見が得られるのでは」と述べた。

 実際の通信制高校の関係者からは「添削指導を丁寧にしていこうとすれば、生徒数が多いほど教員の数もたくさん必要。出張やスクーリングなど教員の負担を考えても、生徒数に対する教員の数が十分でない」(光富祥委員=太平洋学園高校長)、「教員に全てをさせる時代ではない。キャリアカウンセラーなど高い専門性を持つ人材が、さまざま課題を抱える学校に入りやすい環境を作っていくべきだ」(時乗洋昭委員=山手学院中学校・高校長)といった、現場の負担感を訴える声も寄せられた。

オンラインで行われた会合を進行する荒瀬座長

 荒瀬克己座長(独立行政法人教職員支援機構理事長)は「高校の課題をどう克服するかについては、共通性の確保と多様性の尊重という言葉が使われるが、何をもって共通性と考え、それを確保しなければならないのか(を議論する)というところに来ている。多様性も、何であってもよいのではなく、どの範囲までを我が国の高校教育だとするかを考えていく必要がある。複数の委員が指摘する(通信制高校の)未来形を、実態を踏まえて具体的・実証的な部分まで考えていかなければならない」と結んだ。

 有識者会議は今後、今回出された論点に沿って議論を継続する。

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