「こども家庭庁」設置法案が衆院通過 今国会で成立へ

 子供施策の司令塔となる「こども家庭庁」設置法案は5月17日、衆院本会議で自民、公明、国民民主などの賛成多数で可決された。併せて子供の人権保障を明文化したこども基本法案も、与野党の賛成多数で可決。これで両法案とも参院に送られ、今国会での成立が確実となった。

衆院本会議でこども家庭庁法案が可決され、頭を下げる野田こども政策担当相(衆議院インターネット審議中継より)

 採決を前に、政府提出の「こども家庭庁」設置法案のほか、与党提出の「こども基本法案」、立憲民主提出の「子ども総合基本法案」、日本維新の会提出の「子ども育成基本法案」について賛成・反対の討論が行われた。これまでの衆院内閣委での審議同様、「こども家庭庁の名称」「教育と福祉の一元化」「子供コミッショナーの設置」の各問題について言及があった。

 堤かなめ議員(立民)は「子育てにおいて家庭が大切であることに異論はないが、貧困、虐待に苦しむ子供たちにとって、家庭が安心できる場にはならず、家庭という言葉に否定的な感情を持つ方々もいる。あえて家庭という言葉は使わず、子供の最善の利益を図ることを正面に据えた方がいいのではないか」と指摘。

 その上で、「学校においていじめなどの重大な権利侵害事案が起きた際に、子供の権利擁護の状況を政府から独立した立場から監視し、原因を究明するために必要な調査および再発防止のための勧告を行うことができる子供コミッショナーを設置する必要があるが、政府案においてはその設置に関する規定はなく、委員会の審議でも政府から前向きな答弁はなかった」と政府案を批判した。

 掘井健智議員(維新)は「こども家庭庁の中身は、子供の生活にとっての基盤とも言える学校教育を所掌する文科省の組織権限にはほとんど手を触れることがなく、内閣府の子供関連担当部局に厚労省の子ども家庭局を移管させ、内閣府の外局として設置するというだけの組織改編だ。これでは、文科省とこども家庭庁との間の壁、教育と福祉の壁は残るということになり、岸田首相がいう省庁の縦割りの弊害など取り除くことはできない」と与党案では幼保など教育と福祉の行政の一元化が実現されないことに言及。

 「真の課題解決は子供真ん中社会を実現すべく、子供たちの学びと育ちを支えることのできる体制を作るということであり、教育と福祉を一体化することで、いじめや児童虐待などさまざまな課題を抱える全ての子供に対し、家庭環境の違いなどを超えて、切れ目のない適切な見守りと支援の実施が可能になってくる」と強調した。

 塩川鉄也議員(共産)は「貧困、虐待、いじめ、不登校、自殺など、子供の権利侵害は極めて深刻。この事態を放置してきた政府の責任は重大だ。今、必要なのは子供を権利の主体として明確に位置付け、憲法の基本的人権と子どもの権利条約の4原則を保障する政治への転換だ。そのために、子供が自由に意見を表明し、反映される権利を保障する仕組みが必要不可欠。独立した立場で政府を監視、評価するとともに、子供の意見表明を代弁し、個別の事案の相談、救済に対応する子供コミッショナーは欠かせない」として、子供コミッショナーの設置を重ねて求めた。

 また浅野哲議員(国民民主)は「与党案は評価できるが、子供の権利擁護の取り組みをより実効的に推進していくためには、会議室の中での議論だけでなく、何よりも現場に足を運び、子供たちの様子を確認し、子供たちの声をじかに聞く行動が求められる。子供コミッショナーの必要性について政府内で検討を重ねることを求めたい」と述べた。さらに「子供に関するデータや統計情報の活用が必要不可欠で、政府は子供のプライバシー保護に十分配慮した上で、各府省庁が連携してデータを収集、分析する環境を構築するとともに、収集したデータに基づいて各種施策の評価、改善策の検討を行い、その内容を国会に報告することなどを求めたい」と子供施策の推進にあたってデータ活用を促した。

 この後に採決が行われ、衆院を通過、法案は参院に送られた。こども家庭庁は参院での審議を経て法案が成立すると、来年4月に設置される予定となっている。

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