勤務時間の把握「働き方改革のスタートライン」 文科相

 学校現場で勤務時間数の過少申告が当たり前のように行われているとの専門家の調査結果に関連し、末松信介文科相は5月17日の閣議後会見で、「勤務時間の正確な把握は、働き方改革を進めていく上で根本的なことであり、スタートラインである」と指摘。「万が一、校長が虚偽の記録を残させるようなことがあった場合には、信用失墜行為として懲戒処分の対象ともなり得る。これは重要なポイント」と改正給特法に基づく指針のQ&Aの内容に言及した上で、学校現場の働き方改革の進展に向けて「適正な勤務実態の把握が行われるように徹底していきたい」と強調した。

記者会見で質問に答える末松文科相

 末松文科相は専門家の調査結果に対するコメントは控えるとした上で「一般論」として質問に答え、「改正給特法に基づく指針において、休憩時間や休日の確保に関する労働基準法の規定を順守し、適切に対応いただくよう求めてきた。月45時間、年間360時間の規定は、絶対的なもの」と説明。

 続いて「勤務時間の正確な把握は、働き方改革を進めていく上で根本的なことであり、スタートラインだ。4月に改めて各教育委員会に注意喚起をしたが、指針においてもICTの活用やタイムカードなどによって客観的な勤務実態の把握を求めるとともに、虚偽の記録を残すことがあってはならないと示しており、これを徹底したい」と述べ、勤務時間数の正確な申告が必要だとの認識を改めて示した。

 2021年7月に施行された改正給特法7条に基づく指針のQ&Aでは、教職員による勤務時間の過少申告について、「仮に教職員が虚偽の記録を残している場合には、校長等はこうした管理運営に係る責任から適正な記録を残すように指導する必要」があると指摘。「万が一、校長等が虚偽の記録を残させるようなことがあった場合には、求められている責任を果たしているとは言えない上、状況によっては信用失墜行為として懲戒処分等の対象ともなり得る」と明示している。

 この内容について、末松文科相は「重要なポイント」とした上で、校長や教委に対し、「把握した勤務実態を踏まえ、業務や環境整備を改善し、在校等時間の長時間化を防いでいただきたい」と求めた。

 さらに、教員自身が「子供たちのため」との理由で長時間勤務を行い、その勤務時間を正確に申告していないのではないかと問われ、「7時50分に学校で執務を始めたことになっていても、実際には7時20分から学校に行っている。タイムカードでは帰ったことになっているのに、現実はやっぱり仕事を持って帰っている。そういう実態があることは、たくさん聞く」とした上で、「つじつまを合わせるような状況ではやっぱり駄目だと思う。学校内で長時間勤務することがないような体制に持っていく努力をし、働き方改革を進めていきたい」と述べた。

 学校現場で勤務時間数の過少申告が行われている実態は、内田良名古屋大学大学院教授らが5月13日に公表したアンケート調査の結果から鮮明に浮かび上がってきた。調査結果によると、小中学校の教員の6人に1人が書類上の勤務時間の書き換えを求められたことがあると回答。学内の勤務時間数を正確に申告するかという設問にも、土日の場合には小学校教員の43.0%、中学校教員の27.6%が「正確に申告しない」と答えた。内田教授は「学校現場では、勤務時間を過少申告することに対して、管理職にも教員本人にも罪の意識がない。総じて学校や教育委員会が把握している在校等時間は、勤務実態を反映しない不十分なものであると結論できる」と指摘している。

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