中高生の英語力、自治体間の差が顕著に 文科省調査

 公立の小学校、中学校、高校における英語教育の実施状況について、文科省は5月18日、2021年度の調査結果をまとめた。それによると、国際的な語学力基準「CEFR」のA1レベル(英検3級)相当以上の英語力を持つ中学3年生の割合は47.0%、A2レベル(英検準2級)相当以上の高校3年生は46.1%だった。前回19年度に比べ、中学3年生が3.0ポイント、高校3年生が2.5ポイント増加し、過去最高になった。政府目標の50%を達成した自治体は、中学3年生が20都県・政令市、高校3年生が8都県で、自治体間の差が一段と顕著になっている。新学習指導要領が求めている英語のコミュニケーション力を育成する言語活動について、授業の半分以上で行っていると回答した学級数の割合は、小学校92.0%、中学校71.3%、高校50.3%と学齢が上がるほど小さくなり、コロナ禍の影響で前回よりも中学校で7.7ポイント、高校で3.8ポイント低下した。

 この調査は、全国全ての公立小学校、中学校、高校を対象に、13年度以降、コロナ禍のために見送った20年度を除き、毎年12月に行われている。今回は昨年12月1日現在の英語教育の実施状況を調べた。

 20年度から始まった小学校の外国語教育は、3年生から6年生まで14万6225学級で行われており、外国語教育を担当する教員数は16万273人だった。このうち、外国語教育を担当している学級担任は9万4484人で、全体のほぼ6割を占めた。当該小学校に所属する外国語の専科教員は3万8686人、他の小学校に所属する教員は9715人、中学・高校に所属する教員は2409人だった。小学校教員のうち中学・高校の英語免許状を所有しているのは2万3080人で、小学校教員30万6064人の7.5%に当たる。

 中学生と高校生の英語力をみると、着実に改善していることが分かる。中学3年生では英検3級など「CEFR」A1レベル相当のスコアを持つ生徒が27.2%、同等の英語力を持つと思われる生徒が19.8%で合わせて47.0%となり、19年度調査から3.0ポイント改善した。高校3年生では英検準2級などA2レベル相当のスコアを持つ生徒が31.2%と、19年度調査から4.5ポイント増えて初めて3割を超えた。同等の英語力を持つと思われる生徒14.9%と合わせると46.1%となり、19年度調査から3.0ポイント改善した。政府は第3期教育振興基本計画で22年度までに、それぞれの割合を50%にする目標を掲げており、ゴールまであと1年間でさらなる改善を目指している。

中学生・高校生の英語力

 ただ、こうした中学生と高校生の英語力は、自治体による差がこれまで以上にはっきりしてきている=表参照。中学3年生で「CEFR」A1レベルを50%とする政府目標を達成した都道府県・政令市は20自治体で、トップのさいたま市が前回調査よりも9.3ポイント改善して86.3%、2位の福井県が同じく24.4ポイントも改善して85.8%まで達するなど、政府目標を大きく上回る都道府県・政令市がある一方、40%にも届かない県や政令市が14自治体あった。こうした自治体の多くは前回調査に比べて改善幅が小さかったり、前回よりも悪化したりしている。

 高校3年生で「CEFR」A2レベルを50%とする政府目標を達成した都道府県は8自治体。福井県が59.6%でトップとなり、富山県が59.3%で2位に続いた。50%にわずかに及ばない府県が多く、40%に届かないのは4県だった。

グラフ1=児童生徒の英語による言語活動の状況

 学習指導要領では、外国語について「聞くこと、読むこと、話すこと、書くこと」の4技能による言語活動を通して、コミュニケーションを図る資質・能力を育成することを目指しているが、今回の調査では、小学校、中学校、高校と学齢が上がるとともに、授業で言語活動を行う学級数の割合が小さくなってくることが、小学校への調査を行ったことで、これまで以上に明確になった=グラフ1参照

 授業中「おおむね言語活動を行っている(75%程度以上)」と「半分以上の時間、言語活動を行っている(50%程度以上~75%程度未満)」と答えた学級数の割合の合計をみると、小学校は92.0%なのに対し、中学校は71.3%、高校では50.3%にまで減っていた。19年調査と比べると、中学校は7.7ポイント、高校は3.8ポイント低下している。

 この背景について、文科省は「学校現場にヒアリングしたところ、19年調査に比べて言語活動が減ったのは、コロナ禍の影響で発声を伴う会話などの授業ができなくなったから、との説明だった。一方、中学校から高校に上がると、授業での言語活動が減るのは、授業内容が高度になって知識を教えることに時間を取られてしまうため、との説明が多かった。これは、やはり大学入学者選抜で、英語によるコミュニケーション力よりも、知識を求められることが影響していることは否めないだろう」(初等中等教育局教育課程課)と、コロナ禍や大学入試との関連を指摘している。

 大学入試改革では、英語によるコミュニケーション力を重視した学習指導要領の改訂を踏まえ、英語4技能を入試で評価するため、大学入学共通テストでの英語民間試験の活用に向けた準備が進められたが、社会的な反発を受け、19年11月、当時の萩生田光一文科相が導入断念を表明。以降、大学入試における英語4技能の評価を巡る問題は、議論が見送られたままになっている。

英語担当教師の英語力

 今回の調査で、英語担当教員の英語力についても改善が確認されたが、前回の5カ年計画である第2期教育振興基本計画で設定された政府目標がいまだに達成されていないことも分かった=グラフ2参照。英検準1級程度以上に相当する「CEFR」B2レベルを取得した英語担当教員の割合は、中学校で40.8%、高校で74.9%となり、前回調査から中学校で2.7ポイント、高校で2.9ポイント改善した。第2期教育振興基本計画では、中学校は50%以上、高校は75%以上を目標としており、高校では目標に0.1ポイントまで達したが、中学校ではなお到達に時間がかかりそうだ。

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