コロナ1年後の高等教育 遠隔教育進むも地域間格差残る

 国立大学協会はこのほど、同協会が加盟している国際大学協会(IAU)が行った、新型コロナウイルスの発生から1年後の世界の大学教育の状況をまとめた報告書を公表した。オンライン授業などの遠隔教育・学修を実施できている高等教育機関は9割近くに上ったものの、欧州とアフリカで10ポイント程度の差が見られるなど、遠隔教育・学修の環境が改善した一方で、地域間格差が指摘された。

 新型コロナウイルスが世界各国の高等教育機関に与えた影響についてのIAUによる調査は、今回で2回目。112カ国・地域から496件の回答があり、新型コロナウイルスの発生から1年が経過した段階での高等教育機関の対策や体制整備の状況を分析した。

 学生の入学・退学に関する影響を見ると、ほとんどの高等教育機関の学生は主に国内の学生であることから、多くの教育機関では国内学生の入学率は安定または増加している傾向にあった。一方で、留学生については全ての地域の教育機関で人数が減少。特に学位取得を目指す学生よりも、交換留学生でこの傾向が顕著だった。

遠隔教育を提供している高等教育機関の割合(IAU『COVID-19の発生から1年後の高等教育』を基に作成)

 遠隔教育・学修を実施している高等教育機関は、新型コロナウイルスが発生した直後の1回目の調査では67%だったのが、今回は89%に増加した。しかし、地域別に見るとアフリカでは第1回調査で29%だったのが82%と飛躍的に改善したものの、欧州の92%と比べると依然として地域間格差が残っている。さらに、欧州の高等教育機関の多くが100%の学生に遠隔教育を行っていると回答したのに対し、アフリカでは14%にとどまり、学生への遠隔教育の普及が50%未満と回答した高等教育機関も、欧州では2%だったのに対して、アフリカでは24%を占めていた。

 報告書では、こうした高等教育機関の新型コロナウイルスへの対策や改善を評価しつつ、遠隔教育への課題や財政面、研究面などへの影響が、地域や国、機関によって異なり、既存の不平等をさらに悪化させる傾向があると懸念している。

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