「こども政策」の3つの壁 経済同友会がこども家庭庁で提言

 国会で議論が進むこども家庭庁の設置に関して、経済同友会は5月18日、こども家庭庁の役割として重視すべきポイントをまとめた提言を公表した。日本の「こども政策」には▽高校生の「壁」▽行政機関間の「壁」▽行政・学校とNPOの「壁」――の3つの壁が立ちはだかっていると指摘し、教育行政と福祉行政の連携や高校生の支援の強化、熱意のある人材確保策などを打ち出した。

 提言では、内閣府と厚労省の関連部門は移管されるものの、学校教育や幼稚園は従来通り文科省が所管することになる見通しなのを踏まえ、これによって同庁の総合的な政策立案機能を制約することがあってはならず、もしそうした事態になれば、将来的にさらに踏み込んだ制度の見直しを検討すべきだと強調。喫緊の重要課題として子どもの貧困対策を取り上げ、全ての子どもが将来の選択肢に制約のない社会の実現を求めた。

 その上で、▽日本では高校を中退すると再び教育を受ける機会や就労の選択肢が制約され、さらなる貧困の連鎖を生むが、小中学校と高校で設置者が異なるケースが一般的であることから、市区町村で高校生のフォローが難しいこと(高校生の「壁」)▽都道府県と市区町村、首長部局と教育委員会、文科省と厚労省など、こども政策を担当する行政機関や部署が縦割りであり、さまざまな連携に支障を来していること(行政機関間の「壁」)▽学校は個々の児童生徒の状況を把握しているものの、個々のキャリアパスをサポートするには教員の力だけでは不十分であり、NPOも強い問題意識を持って活動しているが、学校や行政と連携できているNPOは一部に限られ、困難を抱えている児童生徒へのアプローチや運営のノウハウが乏しいこと(行政・学校とNPOの「壁」)――を課題に挙げた。

 こうした課題を踏まえ、こども家庭庁のリーダーシップによるこども施策を強力に推進するため、教育行政と福祉行政の連携や高校生の支援の強化などを提言。同庁の創設を待たずに検討・実施すべきこととして、子どもの貧困対策などに取り組むNPOへの寄付の促進、NPOと企業の連携によるノウハウの提供などを掲げた。

 また、こども家庭庁が十分に総合調整機能を発揮するためには、財源の確保だけでなく人材の充実も不可欠だとして、幹部職員は他省庁からの出向や兼務ではなく、同庁内でキャリアを全うできるような体制を構築し、NPOや自治体、企業出身の人材をキャリア採用するなど、一定割合以上の外部人材を登用する必要性も強調した。

あなたへのお薦め

 
特集