【個別最適な学びに挑む】 基礎学力や学習意欲を伸ばす

 端末の導入から2年目を迎えたGIGAスクール構想。各地の学校では授業などでの活用にとどまらず、個別最適な学びの実現を視野に入れた模索が始まっている。東京都墨田区立錦糸中学校(和田浩二校長、生徒189人)では、EdTech企業のモノグサが提供する記憶定着のための学習プラットフォーム「Monoxer(モノグサ)」を活用し、基礎学力や学習意欲の向上につなげている。個別最適化した学びのファーストステップとして、基礎的な学習を1人でも取り組める力を身に付けさせることを狙った同校の取り組みを取材した。

やればやるだけ伸びる課題で意欲を高める
「Monoxer」の漢字の書き取りテストに挑む生徒

 取材日は、ちょうど国語、数学、社会、理科、英語の5教科で、各教科で年に1回、基礎的な内容を出題する「錦中コンテスト」の日。2年生と3年生が一斉に「Monoxer」を活用して国語の漢字の書き取り問題に取り組んでいた。出題範囲となる漢字はその学年に配当されるリストから90種類を教師があらかじめ指定。生徒は当日までに「Monoxer」を使って出題範囲となっている漢字の書き取りをトレーニングする。問題が提示され、タッチペンや指で画面上に答えとなる漢字を入力すると、間違えていればその箇所が赤く表示され、書き順が違えば茶色く表示されるようになっている。

 テストの開始時間になると、自動的に出題範囲の中から教師側で選んでおいた漢字の問題が配信される。10分間で50問を解くので、かなり大変そうに感じるが、生徒はスムーズに入力していく。最後の問題まで終わると、これまでの問題で入力した漢字に間違いがないかを確認して解答を送信。すると結果がすぐに表示され、得点と共に、どの漢字のどの部分が間違っているかが解説される。

 「『錦中コンテスト』では、漢字の書き取りなど、やればやるだけ伸びる課題を出している。小さな積み重ねが自信につながり、勉強を頑張ろうという気持ちや、面白みが分かってくれたら」と、和田校長は同コンテストの狙いを説明する。以前は紙のテストで行っていたが、昨年から一部の教科で「Monoxer」を使うことにした。テストの結果がその場で分かるのはもちろん、クラス内の得点分布や課題に対する個々の学習履歴も分析できる。

 通常の授業でも「Monoxer」は次第に活用場面が増えてきているという。国語では主に漢字の課題を「Monoxer」に置き換え、3日前に課題を配信し、テストで確認するというスタイルを定着させた。国語科の磯﨑健太教諭は「生徒は家庭だけでなく、休み時間や学校に来てから朝のうちに課題に取り組んでいるといった様子がデータから伺える。紙のテストでは印刷や採点などの作業があったが、『Monoxer』ではそうしたことがなく、授業でも漢字以外の活動に力を入れられる」と、生徒の学習習慣の定着につながっただけでなく、教員の負担軽減や授業改善にもメリットが大きいことを強調する。「Monoxer」で漢字の入力をするうちに、自然と「角」や「止めはね」を意識するようになり、字がうまくなる生徒も増えるといった思わぬ副産物もあったそうだ。

頑張っていることを教師が褒める

 GIGAスクール構想による1人1台の学習者用端末の導入を受け、昨年度から「Monoxer」を活用し始めた同校。和田校長は「個別最適化された学びをするには、1人で学びを進められる力や、探究しながら学び取る力が求められる。本校ではまずは基礎的な内容を生徒が自分で学べるようにしたいと考えた。そうした基礎をしっかり学べるツールはないかと探した結果、『Monoxer』を導入することにした」と、選んだ理由を説明する。

テストの得点分布などもすぐに教師にフィードバックされる

 その成果はデータとしてもしっかり表れている。モノグサが昨年末に、同校の1~3年生の生徒に対して英単語のテストで行った実証では、3週間かけて「Monoxer」を使って学年ごとに異なる約250種類の英単語を学習。事前テストと事後テストの結果を比較したところ、全体の平均点が50点満点中6.8点から24.9点に大幅に向上した。さらに、「Monoxer」の学習計画機能に基づいて提示された学習量を毎日こなし、この学習計画を達成した生徒ほど、事後テストの得点は伸びていることが示された。

 「Monoxer」による生徒の変化について、磯﨑教諭は「一番は学習習慣がついたこと。『Monoxer』で毎日漢字に取り組む生徒が増えていき、漢字テストの成績が真ん中くらいにいた生徒が上の方に移動していった。やればできるという意識が芽生えている」と手応えを話す。

 しかし、こうした生徒のモチベーションを維持するためには、「Monoxer」だけでは十分とは言えない。和田校長は「朝礼などで『Monoxer』のデータから見えてきた生徒の成長について触れたり、生徒が取り組む姿を先生たちがしっかり見ていることを伝えたりしている。ちゃんと頑張っていることを教師が褒めてあげないといけない」と、教師の役割の重要性を指摘する。

あなたへのお薦め

 
特集