架け橋期の「教育の質保証」 議論深める必要から次回延期に

 中教審の「幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会」の第8回会合が5月23日、オンラインで開催された。この日は、幼保小の接続期における教育の質的向上について議論していた、同委内の検討チーム(第7回開催)での委員の意見要旨が公開された。次回開催は6月15日に予定されていたが、架け橋期の「教育の質の保証」について、より深く集中的な議論が必要とされ、同委は延期されることになった。

オンラインで開かれた幼児教育と小学校教育の架け橋特別委

 同委では、5歳から小学1年生にかけた幼児教育と小学校教育との円滑な継続を目指して、全ての子供に学びや生活の基盤を保障するための方策や、各地域において推進するための体制整備などの検討を重ねてきた。すでに文科省は5月17日、一連の議論などを基に、今年度からモデル地域としてカリキュラムの開発や研修の実施に取り組む調査研究事業の委託先に、計19自治体(6道県、13市町)を採択している。この事業では、各自治体それぞれが接続期のカリキュラムの実施に必要な教材の開発や研修の実施、指導計画や保育計画の作成と実施に取り組む。

 一方、接続期における教育の質的向上に関する部分については、これまで同委とは別に検討チームで集中的に議論されてきた。

 この日明らかにされた意見要旨は、「質の保証の意義」「質の保証の仕組み」「質の保証を支える体制の充実」「配慮すべき事項」の4つから構成。

 「質の保証の意義」では、「地域ぐるみ、町ぐるみで行うことで、保護者や市民たちが、先生たちの関わりの重要性を再認識することにつながる」「園の先生方が1年間の子供の育ちと保育の経過を見ながら、園の保育を振り返ることが基本であり、それを継続していくことによって、園の保育の特質や課題を確認できる」「日本は、保育がその後にどういう効果があるのかというのを社会的に明確にする長期縦断研究で精緻なものがほとんどなく、長期的には大事なこと」という意見があった。

 「質の保証の仕組み」では、「自治体で作成している質に関するガイドラインを整理し、自治体の多様性に応じつつ、共通性を捉えていくことも考えられる」「幼児教育では、子供たちの姿に寄り添いながら環境を作り直していくが、これは小学校の先生方には新鮮に感じるのではないか」「育てたい子供の姿を踏まえて保育の狙いを設定し、それに応じた環境の構成や再構成のエピソードを幼児教育の現場から接続する小学校と共有し、カリキュラムを作ることが考えられる」という指摘。

 「質の保証を支える体制の充実」では、「市町村全てに支援体制を整備しているとは限らないので都道府県のサポートも必要」「幼児教育アドバイザーも、経験を重ねることで、園についてより深く理解できたり、園の要望に応じた助言ができたりしていく」という声もあった。

 また「配慮すべき事項」では、「公私立、施設類型の特質が複雑に絡み合っており、議論の焦点を整理して検討する必要がある」「保育の質を捉える際には、監査的にならず、保育の質を豊かにできる仕組みとなることが大切」「外部からの評価は評価項目も多いので、園の過重負担とならないような配慮が必要である」など、さまざまな指摘があった。

 これらを受け、無藤隆委員長は「このように教育の質の保証というのはかなり多岐にわたり、非常に重要なことばかりでもあるので、さらに専門的な知見を有する有識者によって課題を整理し、議論を深めていく必要がある」と発言。当初は6月15日に同委でこの問題についてまとまった報告をする予定としていたが、延期を提案し、委員からの了承を得た。

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