いじめ見逃しゼロに 新システム試行、奈良県教委

 いじめ被害の兆候となる18の基準をもとに、担任教員が子どもたちを個別に観察し、そのデータを他の教員などがオンラインで共有できる独自のシステムを奈良県の協議会が考案し、6月から一部の小学校で本格的な運用試験に入る。名付けて「いじめモニタリングシステム」。経験が浅い教員が兆候を見逃すことがないよう、他の教員だけでなく自治体の教育委員会も閲覧できる仕掛けで、いじめの早期発見・解決につなげたいとしている。

 奈良県では、教育関係者13人からなる「いじめ対策連絡協議会」(会長・千原雅代天理大学大学院教授)がいじめ防止対策に取り組んでいる。会長代行の戸田有一大阪教育大学教授が、2020年からいじめの兆候を見逃さないためのモニタリングシステムの開発をスタートさせ、同県教委がそれを支援する格好で共同作業を重ねた。狙いは「年に数回程度のいじめの実態調査ではつかみきれない被害の兆候を、できるだけ早く見つけて深刻化する前に対応すること」(県教委)にあるという。

 3年間の開発では、いじめの認知や対応に精通したベテラン教員らにも協力を仰ぎ、子どもたちの日常生活を継続的に経過観察して兆候を早期発見できるモニタリングシステムとして完成させた。仕組みは、教員がパソコンやタブレット端末に入れたソフトを操作し、いじめの兆候がありそうな子どもについて18項目ある選択肢の該当部分にチェックをつけると、いじめに遭っているかどうかが「可能性」「可能性大」「深刻な可能性」の3段階で瞬時に表示される。

 18項目のリストには、「授業中にボーッとする」や「登校を渋る」「靴や持ち物がなくなる」などが列挙されている。システム自体は、学校のテストやアンケートで用いる「グーグルフォーム」を利用。得られた子どもたちのデータは蓄積して経年変化を調べることができるほか、学校全体で共有したり市町村の教育委員会が閲覧したりすることも可能。このため「いじめ対応について経験が深い浅いにかかわらず、大勢の教員が一律の基準で多角的にチェックでき、漏れや見逃しがなくなることを目指している」(県教委)という。

 県教委では、今年1月から先行させている五条市内の小学校に加え、6月からは河合町の2校を加えた計3校で本格的な試験運用を始める。現在は公立小学校が対象だが、将来は公立中学校も対象にする予定。担当者は「先行した学校では、システムの利用しやすさが評判になっている。今後はAIなども活用して、このシステムをより充実したものに発展させていきたいと考えている」と話す。

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