教員の生活時間侵害が問題 埼玉超勤訴訟で専門家が意見

 教員が勤務時間外に校内で長時間勤務をしている状態は労働基準法32条に違反しており、時間外労働に対する残業代を支払うべきだとして、埼玉県内の公立小学校に勤める教員が同県教委を訴えていた裁判(埼玉超勤訴訟)は5月26日、東京高裁で2回目の控訴審が行われ、結審した。判決は8月25日に言い渡される予定。この日の裁判では労働法学が専門の毛塚勝利・元法政大学大学院客員教授の意見書が原告側から提出され、勤務時間外の長時間労働によって、教員の生活時間が侵害されていると指摘。原告側の主張の正当性を現在の労働法の考え方に立って援護した。

 意見書では、公立学校の教員に対して、時間外労働に応じた残業代を支払わない代わりに給与の月額4%に当たる教職調整額を支給することを定めた「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)の下でも、管理者には個人の健康や生活時間の確保のためには法定労働時間を把握し、管理する義務があり、もし勤務時間を超えて働いた場合は、勤務時間の割り振りを行って時間外勤務を回避する必要があると指摘。

 校長の指揮命令の不在を理由に、教員の自主的な業務を労働時間として認めないことや、労働時間の管理が困難であるという考え方は、教員を無定量の残業に追いやる論理に他ならないと、一審判決の内容を批判した。

 さらに、意見書では労基法32条の今日的な意味は、長時間労働による肉体的・精神的な負荷の増大だけでなく、生活時間を浸食されることによって、家庭や市民としての生活が犠牲にされることにあるとし、特に教員の場合は、教育者として自己形成する時間すらも奪われることになると強調した。

 裁判後に開かれた原告側の会見にオンラインで参加した毛塚元教授は「教員の労働時間も調整給(教職調整額)によってお金の限度が決まっているところに問題があるわけではない。むしろ、先生の個人の時間がどんどん奪われていくことこそが一番の問題だということを強調して、意見書に書かせていただいた。今日の労基法32条の意味として、生活時間の確保というところに焦点を当てて、それが奪われていること自体を争っている。そのことは非常に重要だ」と説明した。

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