教員の質保証に重点 自民文科部会、研修ガイドラインの提言案を協議

 教員免許更新制の廃止に伴い、新たに導入される教員研修制度のガイドライン作成に向け、自民党文科部会は5月26日、教員研修の在り方を集中的に審議するプロジェクトチームの会合を開き、近くまとめる提言案について協議した。終了後、伊藤信太郎座長(衆院議員)は、提言案の内容について、「個別最適の研修制度をどうやって具現化するか。研修を受けた結果、全ての教員が教壇に立つのにふさわしい教育力の水準を確保したことを、どのようにチェックするのか。チェックした結果、教育力の水準を確保できない場合にどうするか。この3段階を書き込んでいる」と述べ、教員の質の保証に重点を置いていることを明らかにした。「提言案の最後には、免許更新制の廃止によって、教育力が不足した教員に当たったことで児童生徒が不利益を被ることがないように、教員力が不足した教員が教壇に立つことがないようにすべきである、と結んでいる」と説明している。

自民党文科部会プロジェクトチームの会合であいさつする伊藤座長(左)と山本部会長

 提言案の内容について、取りまとめに当たっている伊藤座長は「一番大きなポイントは、個別最適の研修制度をどうやって具現化するかということ。2番目の大きなポイントは、研修を受けた結果、全ての教員が教壇に立つのにふさわしい教育力を水準以上確保したことを、どのようにチェックするのか。3番目がチェックした結果、水準以上の教育力が確保できない場合に、どうするか。この3段階を10項目に分けて書き込んだ」と説明。提言の狙いは結びに明記してあるとして、「特に小学校、中学校の児童生徒には教員の選択権がない。だから、結びでは、教員免許更新制が廃止され、教育力が不足した教員に当たったことで、未来を嘱望される児童生徒が不利益を被ることがないように、教員力が不足した教員が教壇に立つことがないようにすべきである、と結んでいる」と明かした。

 教員一人一人に合わせた個別最適の研修制度を実現するために、伊藤座長は「まず教員がどういう研修を受けたらいいかを判断する上で、現在教員の教育力がどうなっているか認識する必要がある。その認識は、だいたい校長に委ねられている。A校長はいいと思った教員が、別の学校のB校長から見ると駄目だとなると困る。だから、なるべく客観的に教育力を評価することが必要だ」と指摘。

 教員の教育力を客観的に評価するための考え方について、「教育力は、大きく分ければ4つある。1つは、教員自身の倫理感、社会性、使命感。2つ目は担当科目の知識や理解があること。3つ目は教育方法の確立。4つ目は、非常に大きな問題だけれども、生徒との向き合い方。この4つのバランスがうまく取れて、ちゃんと一定水準にあることが、教育力が一定水準であるということだと考えている」と説明。「それが一定水準にあることをどうやってチェックするか。これは校長が1時間面談しても100%分かるものでもない。そういう評価には数値化できるものも、数値化できないものもある。だから、なるべくエビデンスベースで評価できるようなシステムを、早期に研究開発していこう、と最初に盛り込んでいる」と述べた。

 また、研修を受けようとしない教員や、研修を受けても水準以上の教育力が確保できない教員への対処について、「提言では3つの方法を示している」という。「1つは再研修。もう1つは、学校現場などで教員以外の仕事をやってもらうこと。それでも駄目な場合は、分限処分によって、教壇に立たせなくする。その判断は校長1人ではなかなかできないだろうから、校長、市町村の教育委員会、それから都道府県の教育委員会が緊密に連絡して、なるだけ客観的に判断してください、と書いてある」と、伊藤座長は説明した。

 こうした教員への対処について、文科省は「校長等管理職が研修の受講についての指導助言を繰り返し行ったにも関わらず、期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合など、やむを得ない場合には、職務命令として研修を受講させる必要もあると考えている。具体的にどのような場合に『期待される水準の研修を受けているとは到底認められない』と判断すべきかについては、教育委員会が適切に対応できるよう、文科省でガイドラインを策定する」(4月6日の衆議院文部科学委員会における藤原章夫・総合教育政策局長の答弁)と説明している。

 教員免許更新制の廃止と新たな教員研修制度の導入を巡っては、免許更新制を今年7月に廃止する教育職員免許法の改正案と、来年4月から教員一人一人の研修記録の作成を各教育委員会などの任命権者に義務付ける教育公務員特例法(教特法)の改正案が、開会中の国会で5月11日に成立。この法改正を受け、文科省は、教特法22条で定められた教員研修の指針を改訂し、特別な配慮を支援が必要な子供への対応やICTデータ利活用を教員の資質能力の新たな柱として盛り込むとともに、各教育委員会が教員研修の記録を作成する際のガイドラインを新たに策定することを明らかにしている。具体的な研修制度の運営方法を示すガイドラインは、月内に開催される中教審で審議を受け、パブリックコメントなどを経て公表される。

 こうしたガイドラインの作成作業に合わせ、自民党文科部会は3月に「教師の研修向上実行」プロジェクトチームを立ち上げ、教育委員会や有識者などからのヒアリングなどを続けてきた。自民党文科部会では、一連の審議を踏まえて提言案を作成。文科省が作成作業中のガイドラインに内容を反映するよう求める考えだ。提言案は党内手続きを経て6月上旬にまとめるとしている。

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