個別最適化した校内研修を目指す 埼玉県戸田市立美女木小の挑戦

 教員が学びたいことを学べる個別最適な校内研修へ━━。埼玉県戸田市立美女木小学校(山田一文校長、児童699人)では、昨年度より勝俣武俊教頭が中心となり、それぞれの教員が主体的に学びたいことを学ぶ、新しい校内研修に取り組んでいる。このほど、今年度学んでいきたいことを共有する「チャレンジシェアタイム」が行われ、各教員からは「自由進度学習」や「GBL(ゲーム・ベースド・ラーニング)」「哲学対話」などが発表された。

それぞれの学びについて、これからどうしていきたいのかを話し合う美女木小の教員ら

 勝俣教頭は「学校で毎年1つのテーマを決めて研究授業を行うといった、従来の校内研究や校内研修の在り方では、それぞれの教員が主体的に学びたいことを学べる環境にはならない」と、課題を感じていた。そこで同校に昨年度、教頭として着任後は、そうした校内研修の在り方を少しずつ変えてきたという。

 教員が主体的に学ぶために「教員の思いと、教員の学びを結び付けていきたい」と考え、昨年度はまず、それぞれの教育観を対話しながら共有していくことに力を注いだ。また、今年度からは職員会議を「教職員が対話する時間」とし、それぞれが大切にしている思いや教育観などを確認し合い、協働できる関係性を築いていくようにしている。勝俣教頭は「組織の共通言語となる最上位目的を共有した上で、そこまでのアプローチはそれぞれの教員に任せている」と話す。

 そうして5月中旬には、今年度学んでいきたいことを共有する「チャレンジシェアタイム」が行われ、各教員が簡単なスライドを準備し、発表していった。

 学びたい内容はさまざまだ。例えば、6年生の学年団では「自由進度学習」に取り組む。1年生の学年団では「SEL(社会性と情動の学習)」、2年生の学年団では「哲学対話」と「GWT(グループワーク・トレーニング)」、学年団とは別に個別に「PBL」や「GBL」にチャレンジする教員もいる。

 勝俣教頭によると、「学年団を本拠地として、他の学びにも入る教員もいる」そうで、各教員は自分の学びたいことを自由に学べるようになっている。また、前年度から引き続いて同じテーマを学ぶ教員もいれば、新たな学びにチャレンジする教員もいる。「まったく知らない状態からスタートします。ぜひこれについて学びたい人がいれば、一緒に学びましょう」と呼び掛けている姿も印象的だった。

 こうした校内研修は、外部ともつながりながら進められている。例えば「自由進度学習」に取り組む教員は、すでに6月に外部講師を呼んだ研修を企画している。「GBL」に取り組む教員は、昨年度から引き続き同じ講師に伴走してもらう予定だという。こうした外部講師についても、各教員が自ら探し出して交渉している。

 学校内での連携も活発だ。「哲学対話」に取り組む4年生の学年団では、すでに哲学対話を取り入れた授業を行っており、2年生の教員らがその授業を見にいくなど、異学年での交流も進んでいる。2年生の教員は「4年生とは発達段階が違うので、参考にしながらも2年生なりの哲学対話を進めていきたい」と話す。

 山田校長は「本校の校内研修が変わる前からいる教員が、『今の研修は自分たちがやりたいことをやれる。忙しくなったけれども、楽しくなった』と言っていた」と話す。「教員たちが主体的に動き出している。従来の校内研究の在り方では、世の中で起きているタイムリーなことを学ぶ機会がほとんどなかったが、今は教員自ら新しい情報をどんどん取り入れて、一人一人が自走している」と目を細める。勝俣教頭は「当たり前に学びたいことを学べる環境をつくっていくことが、人材育成につながっていく」と語る。

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