安全確保と再開が第一 学校施設の水害対策で中間報告案

 全国各地で起きている豪雨被害に対応するため、学校施設の水害対策を協議している文科省の「学校施設等の防災・減災対策の推進に関する調査研究協力者会議」は5月30日、第2回会合をオンラインで開き、中間報告案について大筋で了承した。緊急時の児童生徒の安全確保と学校教育活動の早期再開を学校が第一に果たすべき役割として位置付け、幅広い水害を想定した対策を検討するよう求めている。

学校施設の水害対策について中間報告案を大筋で了承した調査研究協力者会議(YouTubeで取材)

 近年は台風や豪雨などによる大規模な水害が激甚化・頻発化しており、校舎や体育館が損壊・浸水したり、避難所となったりして学校の早期再開に支障が出ている事例が相次いでいる。文科省が2020年に実施した「浸水想定区域・土砂災害警戒区域に立地する学校に関する調査」では、浸水想定地域に立地している公立の幼稚園、認定こども園、小学校、中学校、義務教育学校、高校、中等教育学校、特別支援学校は合わせて7476校で、全体の20.0%を占めている。

 そのうち、避難確保計画を作成している学校は85.1%(6365校)、同計画に基づく避難訓練を実施している学校は71.9%(5375校)に上ったが、実際の想定浸水深を考慮して学校施設内への浸水対策を実施している学校は14.7%(1102校)、受変電設備の浸水対策を実施している学校は15.0%(1125校)にとどまった。

 こうした状況を踏まえ、中間報告案では、学校施設の水害対策の基本的な視点を整理。第一に果たすべき役割として、緊急時の児童生徒の安全確保と学校教育活動の早期再開を掲げるとともに、公共施設の一つとして、避難所・避難場所としての機能や治水の取り組みに対する積極的な参加などを挙げた。

 その上で、想定される浸水の深さや発生確率、浸水継続時間などのハザード情報を収集し、より頻度の高い浸水を想定した対策をする必要があると強調。人的被害(要配慮者の有無、避難経路・スペースの確保など)、社会的損失(教育活動の長期中断、避難所機能の喪失など)、経済的損失(復旧にかかる負担など)の観点から学校施設の脆弱(ぜいじゃく)性を確認し、ソフト・ハードの両面から優先順位を決めて検討を進めることを求めた。

 また、個々の学校施設の対策では、垂直避難のための避難路のバリアフリー化や浸水リスクの低い場所への受変電設備などの設置、浸水時に大きな被害が見込まれる職員室などの上階への配置などを示した。

 会合に出席した委員からは「学校の先生が大変だと言われる中で、負担を増やすようなことにはならないようにしたい。マニュアルや計画はすでに出ているので、そういったこととうまく連携しながら現場で検討できるものにしていきたい」「浸水した後、どんな状態になれば児童生徒の健康に関係なく学校を再開できるかなど、復旧に向けた目安を定め、診断する仕組みがないのは問題ではないか」などの指摘があり、中間報告案は座長と事務局で加筆修正を行った上で取りまとめられることになった。

 中間報告は6月上旬にも公表される見込みで、調査研究協力者会議では今後、ケーススタディーなどの検討も踏まえ、今年度末までに最終報告を取りまとめる予定。

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