「運動部活動の地域移行」提言 近くスポーツ庁長官に報告へ

 中学校の運動部活動の地域移行に関する第8回検討会議が5月31日、オンラインを交えて行われ、これまでの議論や各関係団体からヒアリングした結果を基に修正を加えた提言案が示された。この日の議論を受け、新たな意見内容を加えた最終的な提言は友添秀則座長に一任となり、再修正の上で近く室伏広治スポーツ庁長官に報告される。これに沿って2023年度からの3年間を改革集中期間として、休日の運動部活動の移行が進められる見込み。学校から地域への実施主体の移行は運動部活動始まって以来の大改革となり、スポーツ庁では予算の確保も含め、保護者への周知徹底などを通じて、円滑な移行を目指すことにしている。

オンラインも交えて行われた運動部活動の地域移行に関する検討会議

 同検討会議は、少子化の進行による部活動の継続的な実施への懸念と教員の働き方改革の2つの視点から、運動部活動の中心を学校から地域へと移行することを目的に有識者や競技団体、自治体関係者らを構成委員として昨年8月に設置。土日の運動部活動について先行して移行の検討を進めてきた。外部指導者の質と量の確保、利用施設の確保、移行後の全国大会をはじめとした大会の在り方、生徒からの会費の徴収などの面から移行に伴うさまざまな課題を洗い出し、解消に向けた提言案としてまとめた。

 提言案では、多くの生徒にスポーツと親しんでもらえるよう、運動部員のほか運動部に所属していない生徒や障害のある生徒なども広く対象としており、実施主体としては総合型地域スポーツクラブやスポーツ少年団、クラブチーム、大学などを想定。外部指導者については各種指導者資格の取得を促進させて質を確保し、量の部分では部活動指導員の活用のほか、道府県単位でスポーツ団体と連携した人材バンクの設置を提案。希望する教師には兼職兼業の許可を与え、地域団体の指導を認めることも可能とした。

 使用する施設については、地域によっては足りないケースもあるとみられることから、公共施設のほかに中学校のグラウンドや体育館、そのほかの校種の施設の利用も考えられるとした。

 これまで学校単位だった大会参加資格についても、主催者に対して地域のスポーツ団体に所属する生徒も参加できるよう、国などからの要請も必要と指摘。すでに中体連では地域のスポーツ団体が全国大会に参加することを承認している。教師には大会時の生徒の引率や運営への参加も負担となっていたが、運用の改善を図って教師以外も引率できるようにする仕組み作りが必要とした。

 学校外のスポーツ団体に所属する場合に発生する会費については、保護者に大きな負担とならないように、国や地方自治体からの支援を行う体制作りを進めるとともに、保護者の理解を得ることも重要と指摘。経済的な困窮家庭に対しては、地方自治体による費用の援助や地元企業による基金の設立などの方策も考えられるとした。

 さらに休日の運動部活動の地域移行が早期に達成されるよう、23年度から3年間を改革集中期間と位置付けた。今後、平日の活動につなげていけるよう、地域移行の進捗(しんちょく)状況について検証する必要があるとしている。

 この日行われた会議では委員から提言案の字句の修正要望や、記述内容の趣旨の確認などがあったが、提言案は全体として了承された。その上で最終的な提言の文言の調整については、友添座長と事務局に任された。

 会議の進行にあたってきた友添座長は「10年くらい前には、まさか中学校の部活動が地域に移行していくということになるとは夢にも思っていなかった。この間、先生方が非常に疲弊しており、教職を志望する多くの学生が部活動のために、他の業種に移っていく現実を目の当たりにしたこともあり、部活動そのものの抜本的な改革が必要だということを感じてきた。今回の議論で部活動改革がようやく本当の意味でスタートをすると思っている」とあいさつ。

運動部活動の地域移行に関する検討会議であいさつする室伏スポーツ庁長官(中央)

 最後に室伏長官が「スポーツ庁としては、提言に基づいたガイドラインの改定や各種通知の発出、関係団体への要請、部活動の現状に関する調査、概算要求、全国への普及啓発などを通じて、子供たちがスポーツに親しむことのできる環境の確保にしっかりと取り組んでまいりたい」と締めくくった。

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