好きなことに夢中になれる教育 未来人材ビジョンを公表

 2030年、2050年の産業構造の転換を見据えた今後の人材政策を検討してきた経産省の「未来人材会議」は5月31日、雇用・人材育成から教育システムまでの政策課題を整理し、今後取り組むべき具体策を描いた「未来人材ビジョン」を公表した。大きな方向性として「旧来の日本型雇用システムからの転換」と「好きなことに夢中になれる教育への転換」の2つの方向性を掲げ、学校における教育課程編成の弾力化の促進や、教員のリソースを探究力の鍛錬に集中させるべきだと提言した。

「未来人材ビジョン」で示された教育の目指すべき姿

 同ビジョンでは、生産年齢人口の減少やグローバル化、AIの普及などの社会構造の変化を踏まえ、雇用・人材育成と教育システムを一体的に議論していく必要性を強調。従来の日本型雇用システムの限界を指摘し、職種別やジョブ型の採用の普及によって、新卒一括採用が相対化されることから、学生の就業観をインターンシップによって早期に培う必要性があるとした。

 その上で、学校教育の課題として、日本の子どもたちは世界的に見ても高い数学的・科学的リテラシーがありながら、数学や理科を使う職業に就きたいと考えたり、社会への当事者意識が持てなかったりする傾向にあるとし、デジタルを生かして誰もがリアルな社会課題と向き合い、探究学習を始められる環境が必要だと指摘した。

 さらに、デジタル時代の教育を「知識の習得」と「探究力の鍛錬」という2つの機能に分け、レイヤー構造として捉え直すべきであるとし、「知識の習得」では、デジタルを基盤として企業や大学の教育プログラムを共通の知として整備し、誰もが年齢や居住地を問わずにアクセスできるようにして、個別最適な学びを実現。「探究力の鍛錬」では、社会課題の当事者として自分に足りない知恵を集め、異なる他者との対話を通じて協働的な学びが行われるべきだとして、起業家教育の知見を取り入れることなどを提案した。

 また、こうした教育の変革は、その責任を教育機関だけに押し付けるのではなく、企業が主体的に参画し、学校現場と二人三脚で取り組む必要があるとし、2040年にあるべき教育システムを実現するためには、20年代前半には大きな変化を起こさなければならないと、早急に着手することを促した。

 同ビジョンが打ち出した「好きなことに夢中になれる教育への転換」に関する具体策は次の通り。

  1. 教育課程編成のいっそうの弾力化や、多様な人材・社会人が学校教育に参画できる仕組みの整備など、時間・空間・教材・コーチの組み合わせの自由度を高める教育システムの変革に向けた議論の促進
  2. 高校は、全日制や通信制を問わず、必要に応じて対面とデジタルを組み合わせることができるように転換
  3. 公教育の外で才能育成・異能発掘を行おうとする民間プログラムの全国ネットワークを創設
  4. 「知識の習得」に関する企業の研修教材や大学講義資料などは、デジタルプラットフォーム上で開放を進め、誰でもアクセスできる形で体系化していくことにより、教員のリソースを「探究力の鍛錬」に集中
  5. 大学・高専などにおける企業による共同講座や、自社の人材育成に資するコース・学科などの設置を促進

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