「子供支援で社会変わる」「第三者機関を」 参院内閣委で参考人質疑

 参院内閣委員会は6月7日、子供政策の司令塔となる「こども家庭庁設置法案」など子供関連法案について参考人質疑を行った。参考人として前東京都三鷹市長の清原慶子杏林大学客員教授、兵庫県明石市の泉房穂市長、中嶋哲彦名古屋大学名誉教授らが出席し、「子供の意見を施策に反映させる仕組みを」「子供を支援すると社会が変わる」「行政と離れた第三者機関が必要」などの意見が出された。

参院内閣委で意見陳述した(前列左から)中嶋哲彦氏、泉房穂氏、清原慶子氏(参議院インターネット審議中継から)

 「こども家庭庁設置法案」など子供関連法案は衆院を通過して現在は参院で審議されており、今国会での成立が見込まれている。冒頭、清原客員教授は「こども基本法が国権の最高機関である国会の議員立法によって提案されていること、政府から子供の人権の保障を任務の中核として位置付けるこども家庭庁の設置が提案されていることは、日本が国家として子供の最善の利益を追求するという意味の子供真ん中と、国の政策の真ん中に子供を置くという2つの意味での子供真ん中を、国内外に表明していると受け止める」として今回の法案を高く評価。

 自身の経験を基に、子供の声を施策に反映していくためには、子供たちが安心して語ることのできる場作りや意見聴取の手法の多様化、意見を引き出すためのコーディネーター、SNSやメール、オンライン会議の利用の促進などが必要だと指摘した。

 18歳までの医療費無料化や中学校給食無償化など、全国的に子育てしやすく住みたい町として知られる明石市の泉市長は「日本は少子化の加速や、経済の停滞を言われているが、その原因の一つはやはり私たちの社会が子供に冷た過ぎることが原因でないかと思えてならない。子供を本気で応援すれば、人口減少の問題に歯止めをかけられ、経済も良くなっていく」として、実際に子供施策を充実させることで人口増加につながり、税収もアップしたという好循環について語った。

 泉市長は「今大事なのは、せこいお金ではなく、思い切ったお金で子育て支援策をとること。子供は親の持ち物ではないので、支援にあたっての親の所得制限はやめてもらいたい。子供を応援すれば、みんな幸せ。それはお年寄りや幅広い人にとって、そして私たちの社会にとっていいことなのだという発想の転換をぜひお願いしたい」と強調した。

 中嶋名誉教授はこれまでの審議で何度も取り上げられた、行政から離れて子どもの権利に関する調査・勧告を行う第三者機関の問題に触れた。「政府には子どもの権利を擁護し、保障する責任がある。これは今回の立法に関わらずその責任があるわけで、こども家庭庁だけではなくて、他の省庁もそれぞれの所掌事務の管理執行を通じて、子供の権利保障に意を用いねばならない」とした上で、「行政機関が行う行政が全て正解なのかというと、そうではない。子どもの権利利益に対する無理解あるいは誤解に基づいて権利や利益を侵害してしまうということはありうる。そのような場面で、発達途上にある子供が声を上げる、その権利行使をサポートする仕組みが必要だ」と主張。さらに、「これは政府と戦おうという話ではなくて、政府の仕事を政府のパートナーとして支えていく一つの仕組みとして必要だ」と述べた。

 また子供の意見表明権についても、政府や地方自治体が行う子供施策の立案や実施、評価の場面でだけ適用するのではなく、「もっと広い範囲で子供に関する全ての事柄について、子供には意見を言う権利があるという趣旨として生かしてほしい」と注文した。

 委員による質疑では、教育に関する機能が文科省に残され、こども家庭庁で一元化されないことについて、清原客員教授は「教育分野の専門性というのは高度化しており、いじめ・虐待の問題、ヤングケアラーなどの問題については、教育委員会や学校教育の中ではとても解決できる課題ではなくなってきている。福祉の部門、保健医療部門との連携が重要となっている。が、まずはこども家庭庁という真ん中ができて、子供に関わる他の法務省や警察庁、総務省、経済産業省などにしっかりとした横串をさしてもらって司令塔となることが重要だ」と述べた。

 泉市長も「例えば幼稚園と保育所の予算が縦割りのために使いにくいということが実際にあるので、今後は例えば貧困や虐待などテーマごとに関係省庁が集まった協議をしっかりと行うなど、連携強化をお願いしたい」と話した。

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