自然災害で自分の地域はどうなる? 専門家と学びを深める授業

 自分が住んでいるところは、自然災害が起こった時にどうなるのか――。静岡県富士宮市立富士宮第三中学校(佐野和雄校長、生徒347人)の1年生は、理科を中心にフィールドワークなども取り入れながら、自分たちの地域で実際に起こりうる自然災害について学んでいる。6月8日に1年1組で行われた授業では、これまで学習してきたことを専門家と対話しながら、自分たちが住んでいる土地について資料やデータをもとに理解を深めていった。

専門家と対話しながら学びを深めていった(静岡県富士宮市立富士宮第三中学校提供)

 これまでの授業で、生徒たちは同市で起きる可能性のある自然災害について考え、地震や火山についてグーグル・スライドでまとめたことを発表したり、「地震防災センター」や「ふじのくに地球環境史ミュージアム」に足を運んで学びを深めたり、学校周辺のフィールドワークを通して危険箇所を見つけるなどしてきた。授業を担当する田島優介教諭は「自然災害が起こった時に、自分たちが命を守るために何をすべきなのかについても深めていきたい」と話す。

 この日は、「ふじのくに地球環境史ミュージアム」で講師を務める中澤進さんを迎えて、自分たちの家周辺の地形や地盤などから、実際に自然災害が起こった時にどのような状況になりうるのかを考えていった。

 中澤さんが「自分たちの住んでいるところには、どんな自然災害が起こりうるか」と問うと、生徒らは「富士山の噴火」「洪水」「地震」といった災害を挙げた。さらに「そうした自然災害が起きたら、自分の住んでいる家にはどんな危険があるか」と質問すると、「大きな地震が起きると、うちは築年数がたっているので倒壊する危険がありそう」「家の隣が川なので、増水すると浸水してしまうかも」といった声が上がった。

 ここで中澤さんが、南海トラフ地震が起きたときの想定震度分布を示したデータを紹介。すると、同じ学区内でも震度6弱が想定されるエリアと震度6強が想定されているエリアがあった。さらに詳しく見ていくと、同校のすぐ近くを流れる潤井川沿いと震度6強が想定されるエリアが重なっており、潤井川の周辺は砂地のため、揺れやすいことが分かった。

 中澤さんは「地震が起こった時に揺れやすいとか、富士山が噴火したときの危険度などは、こうしたデータや資料に基づいて判断することが大事」と強調。そこで生徒たちは、静岡県GISマップで地形地質や南海トラフ地震の震度分布、液状化予測、土砂災害危険箇所などを確認しながら、それぞれの自宅周辺の土地について調べていった。

 「例えば『神田』という地名は、神社が所有する田を指す神田に由来している。だから、その地区はもともと田んぼだった可能性が高い。そういう地名からも見当がつく」と中澤さんが紹介すると、生徒らは驚きの表情を見せた。

 それぞれが調べた後は、班で発表し合い、この日の授業の振り返りを各自でまとめていった。生徒からは「自宅のあたりは『火山砕せつ物および泥流』という地質で、地震の時は揺れが強くなることが分かった。自分が将来家を建てるとしたら、揺れに強い土地に建てたい」「自分の家の近くは、南海トラフ地震の場合は震度5強と予想されていることが分かった。川の近くだから少し揺れやすいようだ」「私が住んでいるところは、昔は畑が多かったようだ。地震の時に揺れやすいことが分かったので、しっかり対策をしようと思った」といった振り返りがあった。

 田島教諭は生徒の様子を見ながら、「自分で調べてまとめたり、フィールドワークなどで実際に体験したり、専門家からアドバイスをもらったりすることで、学んだことを自分事として捉えていってほしい」と話した。

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