教員採用試験 工夫を凝らした対応で志願者増加の自治体も

 2023年度採用の教員採用試験(22年度実施)志願状況の発表が各教委から続く中、6月10日現在、川崎市、さいたま市、熊本市、栃木県、長野県などにおいては志願者が増加していることが分かった。各教委では、新たに民間企業と同様の適性検査を導入したり、試験会場を都市部に増やしたり、受験資格の年齢の上限を引き上げるなど、柔軟な対応を取っており、そうしたことが志願者増につながっているとみられる。

 川崎市教委が発表した同市立学校教員採用選考試験の出願状況によると、今年度出願者の総数は1202人で前年比110人増となった。同市教委によると4年ぶりの増加で、担当者は「今年度より大学推薦選考の小学校の枠を撤廃したことも大きいのではないか。大学推薦選考だけで40人ほどの応募があった」と分析する。

 また、教員採用選考説明会も全国展開しており、「今年度の春にはコロナ禍で縮小していた対面開催が大幅に増え、学生に直接想いを届けられた」と手応えを話す。開設したものの更新頻度が低かった「川崎市教員採用」ツイッターも、この4月は80回以上更新するなど、採用試験についてだけでなく、市内の学校の様子などもきめ細やかに伝えている。

 さいたま市では、2年連続で志願者が増加。今年度出願者の総数は1208人で前年度比84人増だった。同市教委でも説明会に力を入れており、対面で行った説明会では細田眞由美教育長も登壇し、同市の教育活動や求める教師像を学生たちに直接訴えかけた。

 また、今年度から一次試験の筆答試験に替えて、SPI3(基礎能力検査)を受検できる外部試験利用特別選考を新設しており、同市教委担当者は「一般企業と教員を迷っている学生も多い。そうした学生にとって企業などの採用試験で使われているSPI3でも受検できることで、少しでも負担が軽減できれば」と導入理由を説明した。

 熊本市では今年度出願者の総数が735人で、前年比21人増と微増した。同市では今年度末に定年退職者のピークを迎えるため、採用予定者数を大幅に増加。そのため、倍率は低下したものの、7年ぶりに志願者増となった。同市でも今年度の採用選考試験についてさまざまな対応を取っているが、中でも志願者増につながったと考えられるのが、一次選考試験において大阪会場を拡充したことだ。担当者によると「735人の応募のうち、大阪会場に70人の申し込みがあった」といい、今後も状況を見ながら試験会場の拡充を検討していくとしている。

 長野県は今年度出願者の総数が2090人で前年比139人増となり、2年ぶりの増加となった。今年度は一次、二次ともに試験日程を1週間前倒しして、首都圏や近隣県の採用日程と重ならないようにした。また、特に高校では前年比増が大きく、同県教委担当者によると「高校は一次選考を1日実施に変更した。遠方から受験する学生に対して負担軽減を図ったことが、志願者増にもつながったのではないか」と分析している。

 栃木県では今年度出願者の総数が2081人で前年比88人増と、6年ぶりに増加に転じた。同県教委の担当者は「今年度から受験資格をこれまでの45歳未満から60歳未満に引き上げたことが大きく影響したのではないか。45歳から59歳で101人の応募があった」と話す。また、2月には合計3回のオンライン説明会を開催。コロナ禍で県をまたいだ移動が難しかった時期に、県外の大学に通う学生も多数参加できたという。

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