通常学級在籍の障害ある子の支援 文科省検討会議が初会合

 特別支援教育を必要とする児童生徒が増加し、大部分の授業を通常の学級で受けながら、障害に応じた特別の指導を特別な場で受ける「通級による指導」などの充実が求められていることを受け、こうした児童生徒への支援の在り方を検討する文科省の検討会議が6月14日、初会合を開いた。検討会議は今後、都道府県・市町村教育委員会へのヒアリングなどを通じ、今後の方策について年度内に報告を取りまとめる。

オンラインで行われた検討会議の初回会合(文科省YouTubeで取材)

 文科省が提案した主な検討事項は①通級による指導のさらなる充実に向けた取り組みなどの在り方(学校種、障害種、自校通級・巡回通級・他校通級など実施形態、学校間の引き継ぎなど)②特別支援学校に入学可能な「学校教育法施行令第22条の3」の障害の程度に該当する児童生徒の支援の在り方(合理的配慮の提供や特別支援学校によるセンター的機能を通じた支援、校内支援体制の整備や特別支援教育支援員の配置、知的障害のある児童生徒に対する指導や支援、国のさらなる支援方策など)。

 座長に選出された荒瀬克己委員(独立行政法人教職員支援機構理事長)は「通常の学級に在籍する障害のある児童生徒をはじめ、多様化する子供たちのニーズに対応して、個別最適な学びと協働的な学びを実現しながら、学校の多様性と包摂性を深めることにより、全ての子供たちが質の高い学びにアクセスできるようにすることが極めて大切」とあいさつした。

 初会合では、全ての委員が検討事項などに対して一言ずつ意見を述べた。喜多好一委員(全国特別支援学級・通級指導教室設置学校長協会会長)は「通常の学級に、障害のある子供たちがたくさん入っている。そうした子供たちの障害をどう理解して支援していくかは、すごく課題になっているところだ。通常学級の教員の、特別支援教育に関わる専門性の向上について、身に付けるべき資質能力を明らかにしつつ、支えていく仕組みをどう作るかが大事になってくる」と述べた。

 また池田彩乃委員(山形大学地域教育文化学部准教授)は、専門である肢体不自由児教育の見地から「肢体不自由児は運動動作の面以外にも、視覚認知面にも課題を抱えることが知られているが、運動動作の不自由という見えやすい障害に隠れて、なかなか担当の教員が気付かないという報告がある。体制整備とともに、教員に対する障害特性の理解と啓発が重要な取り組みになる」と指摘した。

 他にも「インクルーシブ教育システムを含めた権利条約や関連法令、対応指針などの、基本的な理論と妥当な解釈を現場の先生に平滑的に浸透させられるとよい」(氏間和仁委員)、「通常学級の在り方を、多様な子供がいることを前提としていかなければならない。通常学級における支援はどこまで実施すべきなのか、そのための環境整備をどこまですべきか、最低限するべきことは何かを整理する必要がある」(野口晃菜委員)といった意見が出た。

図:通級による指導を受けている児童生徒数の推移

 これまで、小中学校の通級による指導の担当教員の基礎定数化(2017年度)、高校における通級による指導の制度化(18年度)などの施策を通じ、通級による指導体制の充実が図られてきており、通級による指導を受ける児童生徒の数は増加している=図表。検討会議は今回の意見を踏まえ、次回以降の会合で論点整理を進める。

 検討会議の委員は次の通り(五十音順、敬称略)。

 ▽荒瀬克己(独立行政法人教職員支援機構理事長、座長)▽池田彩乃(山形大学地域教育文化学部准教授)▽市川宏伸(一般社団法人日本発達障害ネットワーク理事長)▽市川裕二(東京都立あきる野学園統括校長)▽氏間和仁(広島大学大学院人間社会科学研究科准教授)▽梅田真理(宮城学院女子大学教育学部教育学科児童教育専攻教授)▽奥住秀之(東京学芸大学教育学部特別支援科学講座教授・学長補佐、副座長)▽喜多好一(全国特別支援学級・通級指導教室設置学校長協会会長)▽小枝達也(国立研究開発法人国立成育医療研究センター副院長・こころの診療部統括部長)▽櫻井秀子(埼玉県川口市立戸塚北小学校長)▽笹森洋樹(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所発達障害教育推進センター上席総括研究員(兼)センター長)▽滝川国芳(京都女子大学発達教育学部教育学科教授)▽竹内哲哉(日本放送協会解説委員室解説委員)▽中田寛(鳥取県教育委員会教育次長)▽野口晃菜(一般社団法人UNIVA理事)▽平野真理子(平野卓球センター監督)▽藤井和子(上越教育大学臨床・健康教育学系教授)▽馬飼野光一(東京都立荻窪高等学校長)▽宮﨑英憲(全国特別支援教育推進連盟理事長)

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