いじめ対策 早期発見には教員が児童生徒と向き合う時間必要

 いじめの重大事態対応について議論している、文科省の「2022年度いじめ防止対策協議会」(座長・新井肇関西外国語大学外国語学部教授)は6月15日、今年度の初会合を開き、昨年度の同協議会での論点整理メモを巡って意見が交わされた。特に学校・学校設置者のいじめ防止対策推進法への理解の促進については、「いじめ防止対策推進法についての教員研修を必須にしてはどうか」といった意見が出たほか、「研修の充実も必要だが、いじめの早期発見が一番重要。そのためには担任が生徒一人一人と向き合う時間がもっと必要だ」との切実な声も上がった。

オンラインで行われた会合を進行する新井座長(Zoomで取材)

 会議の冒頭で新井座長は「子どもたちが理不尽ないじめがない社会をつくる担い手となるように、学校や地域、関係機関らが支援していく体制をつくる必要がある。いじめの未然防止のために何ができるかを具体的に考えていく、そうした協議会にしていきたい」と今年度の同協議会の方向性を示した。

 論点整理メモでは、①学校・学校の設置者のいじめ防止対策推進法等への理解の促進②学校と地域、家庭が組織的に連携・協働する体制構築の充実③いじめの重大事態調査における関係者間の相互理解や方向性の一致に向けた取り組みの促進④関係機関と連携した人材の確保等のための体制整備⑤いじめの重大事態調査における首長部局の関与⑥その他(調査中における児童生徒への指導支援等に関する留意点)――の6つの柱が示されている。

 この日は①から③について、各委員が意見を出し合った。①の「学校・学校の設置者のいじめ防止対策推進法等への理解の促進」については、文科省が各都道府県・政令市教委を対象に実施したアンケート調査において、約4割の自治体で依然、法などの学校現場への浸透が不十分であることが分かったことから、「いじめ防止対策推進法についての教員研修を必須にしてはどうか」といった意見が複数の委員から出た。

 そうした意見に対し、渡辺弘司委員(日本医師会常任理事)は「教員がやらなければいけないことは、どんどん増えてきている。研修についてもやみくもに増やすのではなく、例えば文科省が優先順位を決めて精査していくべきではないか」と述べた。

 遠藤哲也委員(東京都葛飾区立新宿中学校校長、全日中生徒指導部長)は「教員のいじめに関する意識はかなり高まっている。研修内容を充実させていくことはありがたいし大事だが、現場としてはいじめの発覚についてなんとかしたいと思っている」と話し、「目に見えていじめと分かるときでは、すでに事は大きくなってしまっている。いじめの早期発見が一番重要であって、そのためには時間が必要だ。担任が生徒一人一人と向き合う時間がもっとほしい」と現場の切実な思いを訴えた。

 また手島俊樹委員(山梨県教育長)からは「法の理解だけでなく、子ども理解が必要。その子が育ってきた過程でどういう経験をしてきたのか、共通理解を図りながら指導体制をつくっていくことが大事ではないか。小学校から中学校、中学校から高校への情報の連携といったことも、盛り込んでほしい」と要望した。

 同協議会では次回も論点整理メモについて協議しながら、今年度中に提言をまとめていく予定。

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