学科間連携授業で「6次産業化」を目指す 岡山県立高2校の挑戦

 学校を越え、商業系学科と農業系学科が連携した授業で「6次産業化」を目指す━━。岡山県立倉敷鷲羽高校(三村直子校長、生徒435人)のビジネス科と、同県立高梁城南高校(中畑里英校長、生徒326人)の環境科学科の3年生では、今年度から学科間連携授業を行っている。商業系の学科と農業系の学科がお互いの強みを生かしながら協働して課題を解決し、商品化などを目指す授業が進んでおり、生徒らからは「お互いの分野について知れて楽しい」「授業ごとに刺激を受けている」といった前向きな声が上がっている。

 両校の学科間連携は、昨年度にスタート。昨年度は課外活動として取り組んでいたが、今年度からは倉敷鷲羽高校では総合実践の授業として、高梁城南高校では課題研究の授業として行っている。

 倉敷鷲羽高校で授業を担当する大池淳一教諭は「本校のビジネス科の生徒は、売るのは得意だけれども、つくることに関しては分からない。対して、高梁城南高校の環境科学科の生徒は、つくるのは得意だけれど、売るのは苦手としている。それならば、それぞれの専門科の強みを生かせば、連携型6次産業化ができるのではないか」と、学科間連携に至った経緯を話す。

オンラインでつないで行われた学科間連携授業

 6月中旬には、オンラインで両校をつないだ3回目の学科間連携授業が行われた。両校からこれまでの活動報告や、今後の提案、課題などが出され、意見交換した。

 倉敷鷲羽高校の生徒からは、まず5月末に岡山市内で行われたマルシェでの売り上げ報告があった。マルシェでは高梁城南高校の環境科学科が育てたホワイトヒラタケや寄せ植えなどを、倉敷鷲羽高校ビジネス科の生徒が販売した。特にホワイトヒラタケは開始早々に完売し、市内の料理店が食材として購入したとの報告があると、高梁城南高校の生徒は笑顔を見せた。さらにホワイトヒラタケは1袋購入するパターンが多かったことや、寄せ植えの購入者からは保存方法や花の種類について質問があったことなど、販売時の様子が細かく報告された。

 高梁城南高校は、今後の商品開発案について回答した。同校では毎年、近くの幼稚園にサツマイモを植えている。今年は秋に両校の生徒と幼稚園児がサツマイモを収穫し、それをジェラートとして商品化することを確認。高梁城南高校の生徒からは「つくったジェラートを幼稚園児にも提供したい」とリクエストがあった。

 また、倉敷鷲羽高校は、昨年より近隣のブルーベリー農園と牧場と共に商品化しているブルーベリージェラートについての課題を相談。ブルーベリーの原価が高く、製造原価を圧迫しており、倉敷鷲羽高校では「収穫を手伝う」「いかに少量で強い味が出せるか、昨年とは違う作り方を考える」などの解決策を考えており、それに対する意見を求めた。

 すると高梁城南高校の生徒たちは「ブルーベリー農家としてはブランドを守りたい思いが強いと思う。だから原価はなかなか下げられないだろう」と指摘。その上で「ブルーベリーは収穫作業が大変なので、私たちがその作業を手伝うことで、安く分けてもらえるようにすればいいのではないか」とアドバイスを送り、この夏の収穫を両校の生徒が手伝う計画を進めていくことになった。

 こうした学科間連携授業について、倉敷鷲羽高校の生徒は「同じ活動をする中で、農業の考え方や知識が得られて面白い。多方面から考えて判断できることが、学科間連携の良さだと思う」と話す。また、高梁城南高校の生徒は「これまでまったく関わりのなかった学科の子たちと一緒にやってみて、お互いの分野を知ることができるのは楽しい。情報やパソコンについても詳しいので、いつも学ばせてもらっている」とメリットを述べた。

 高梁城南高校の松田風暉教諭は「倉敷鷲羽高校の生徒は、ビジネス科ということもあり、スライドの作り方もうまいし、発表もうまい。そうしたことに刺激されて、本校の生徒にもプレゼン能力がついてきたし、連携して活動することで人前に立つ機会も増えてきた」と生徒たちの成長に目を細める。

 大池教諭は「課題もまだまだあるが、この日も両校の生徒が協働して、課題に対する納得解を導くことができた」と手応えを話し、「進路実績のための取り組みではなく、地域産業の持続的な発展につながると思って取り組んでいる。両校の専門科の強みを生かして、これからも進めていきたい」と語った。

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