学校現場の教員不足の実態を報告 国会議員が教員と対話

 参院選を前に、学校現場の声をさまざまな形で発信している「School Voice Project」は6月17日、教員不足問題をテーマにした、現職の教員と国会議員らによる対話イベントをオンラインで開催した。出席した国会議員らは学校現場で起きている教員不足の実態に耳を傾けながら、原因や解決策を話し合い、問題への認識を深めた。

教員と国会議員が教員不足をテーマに意見交換した対話イベント(Zoomで取材)

 「School Voice Project」が4月26日~5月22日に、全国公立学校教頭会の協力で実施した小中学校の副校長・教頭向けのアンケートでは、昨年度を通じて4割弱の教頭が「教員不足は起きている」と回答。管理職が担任を代行したり、その教科の免許を持っていない教員が指導に当たらざるを得なかったりする深刻な状況が、各地で起きていることが明らかにされた。この日のイベントでは、この実態調査に加えて小、中、高校の教員から、勤務校などで起きている教員不足の事例が報告された。

 これらを踏まえ、高知県で中学校の教員をしていた公明党の山崎正恭衆院議員は「せっかく子どもたちにきめ細やかな、そして先生方の負担を少しでも減らして、少ない人数の子どもたちを見てもらおうと思っていたのに、今は教員不足問題の方が大きな波になってきて、35人学級すらも進んでいかないのではないのか、というのが現状ではないか。非常にもどかしい」と述べた。

 同じく横浜市で小学校の教員をしていた立憲民主党の那谷屋正義参院議員は、同市では20年ほど前から教員不足が起きていたと指摘。「それが今、横浜だけでなく全国的に広がっていて、本当に由々しき問題だ。入学式を迎えた1年生の子どもたちの担任がまだ決まらないでいる。そういう悲劇が本当にあちこちで起こっているので、これは本当に何とかしなければいけない」と話し、若い世代を中心に教員の魅力が低下しているとの認識を示した。

 日本維新の会の金村龍那衆院議員は、先の通常国会で成立したこども家庭庁を巡る議論で、教育と福祉の一体化を主張してきたことを強調。「家庭で気付けない問題をしっかりと学校で気付いていく。ただそれが、学校の先生だけにしわ寄せが行くと、つまるところ今の問題の改善につながらないので、スクールソーシャルワーカーやスクールロイヤーのような、さまざまなステークホルダーがしっかり関わっていく」とその狙いを説明した。

 国民民主党の礒﨑哲史参院議員は、教員の専門性が高く、代わりが簡単にきかない点を挙げ、「専門性が高い職種ほど、どうやって人材を育てていくのか。学校の先生を育む計画をきちんと立てていかないと、後で代わりの先生を探すということができなくなる。(学校現場の)お話を聞かせていただきながら、そういう課題認識が生まれた」と、計画的な教員養成の必要性を指摘した。

 日本共産党の宮本岳志衆院議員は「教員不足が発生して、残された教職員でカバーをしようとして、さらに多忙になる。疲弊してさらに離職する先生が増えて、そして教職を敬遠する学生や社会人が増える。そしてさらなる教員不足が生まれる。この悪循環がどんどん広まっている」と教員不足の負の連鎖を強調。教員を大幅に増やし、教員の業務を減らす抜本的な改革を訴えた。

 れいわ新選組の多ヶ谷亮衆院議員は「『先生だからこうあるべきだ』とか『先生だから立派でなければいけない』と、社会全体にそういう見方があることで、非常にプレッシャーを感じている」と指摘。教員の仕事量の多さや保護者対応の難しさ、教員同士のいじめなどで、教員が精神的に追い詰められている状態があり、既存の学校の在り方を根本的に変える必要があると強調した。

 神奈川県立高校で教員として勤めていた社民党神奈川県連合の佐々木克己代表代行は、自分自身の教員経験を踏まえ、「具体的には職員会議だが、ほとんど指示伝達の場になっている。学校教育に関わるのがこんなに楽しいことなんだ、面白いことなんだという実感を持ってもらえないところに課題がある」と、教員が主体的に学校づくりに参画できていない状況を指摘した。

 その後、国会議員らと参加した教員はグループに分かれ、教員不足の問題についてさらに意見交換を重ねた。

あなたへのお薦め

 
特集