中学校の部活動指導員、20年度に5891人 予算想定の6割弱

 学校の働き方改革を進めるため、政策的に拡充されてきた公立中学校の部活動指導員の人数は、2020年度に5891人だったことが6月21日、政府が閣議決定した答弁書で分かった。前年度よりも1502人増えたものの、政府は20年度予算では中学校の部活動指導員として11億円を計上して1万200人の配置を見込んでおり、予算で想定した人数の6割弱の配置にとどまっていたことになる。この背景について、今年4月から学校の部活動改革について予算面を含めて一元的に所管することになったスポーツ庁では、「配置された人数が予算の見込みよりも少ないのは、自治体が人材確保に苦慮している面もあるが、部活動指導員が働く時間が想定よりも長くなっていることもある」と説明。休日の部活動の地域移行に向け、来年度から3年間が改革集中期間と位置付けられる中、実態を踏まえた国の支援策が求められている。

 文科省では「教員と多様な支援スタッフの連携により、学校教育活動の充実と働き方改革を実現する」ための政策の一つとして、教員に代わって顧問を担う部活動指導員の配置を支援。20年度に11億円(1万200人)、21年度に12億円(1万800人)、22年度に13億円(1万1250人)と、過去最高を更新する予算を毎年計上してきた。

 公立中学校の部活動指導員に対する予算は、1人当たり年間33万6000円で算出されている。時給1600円で、1日2時間の指導を週3回、年35週にわたって実施することを想定。この合計額を、国、都道府県、市町村がそれぞれ3分の1ずつ負担する。政令市の場合は、国が3分の1、政令市が3分の2の負担となる。支援対象になるのは「適切な練習時間や休養日の設定など部活動の適正化を進めている教育委員会」とされる。

グラフ=中学校に配置された部活動指導員の人数

 こうした国の支援策に応えて、都道府県や政令市が配置する公立中学校の部活動指導員は着実に増えてきた。スポーツ庁地域スポーツ課によると、公立中学校の部活動指導員は、18年度に2193人、19年度に4389人、20年度に5891人となっている=グラフ参照

 ただ、この人数は、20年度を例にすると、予算が想定する人数に対して6割弱にとどまっている。しかも、同課の説明では「確保されている予算に対して、実際に執行された金額はそんなに変わらない」という。予算はほぼ使われているのに、配置されている人数は予算想定の6割弱しかいない、という状態になっている。

 この理由について、同課では「予算上は1万人を配置できるはずなのに、実際には6000人に満たないのは、予算の想定よりも、部活動指導員が実際に指導する時間が長いから。働いた時間の実績に応じて報酬は支払われるので、結果として予算はほぼ執行されている」と話している。つまり、公立中学校で働いている部活動指導員の多くは、1日2時間・週3回・年35週の想定を超える時間を指導しているという実態が分かる。週末に競技大会や発表会があれば、おそらく1日2時間という想定時間では収まらない。

 しかも、現在の予算規模と部活動指導員の人数は、全国にほぼ1万校ある公立中学校のニーズを満たすには、ほど遠い状態であることも浮かび上がってくる、という。「計画段階では、国からの支援を求める自治体は、もっとある。けれども、部活動指導員を引き受けてくれる人材が見つからなくて、結局、『配置できませんでした』と予算補助を諦める自治体が多い。皮肉なことだが、人材が見つからないので、結果的に予算内で収まっている状況もある」と説明。予算があっても、教員に代わって顧問を担う部活動指導員の人材が見つからないために、改革が進まない現状が透けて見えてくる。

 公立中学校の部活動を巡っては、休日の運動部活動の地域移行を進めるため、来年度から3年間を改革集中期間とする「運動部活動の地域移行に関する検討会議」の提言が6月6日にまとまり、必要な予算の確保など国の支援が強く求められている。文科省では今年4月、スポーツ庁に新たな部署として地域スポーツ課を新設。これまで初等中等教育局財務課が担っていた部活動の予算関連業務を移管し、今年度から学校の部活動改革を一元的に推進する体制を整えた。

 地域スポーツ課では「検討会議の提言を踏まえ、地域移行をメインに部活動改革をやっていくことになるが、地域移行後の指導者は当然必要になる。改革集中期間の3年間には国の支援が強く求められているので、部活動指導員についても、そうした部活動改革全体との兼ね合いで考えていくことになる」と、今後の取り組みを説明している。
 
 この日閣議決定された政府の答弁書は、井坂信彦衆議院議員(立憲民主)の質問主意書に答えたもの。

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