世の中を変えるためのプレゼン 中学生にメソッドを指導

 なぜプレゼンをするのか?――。東京都文京区立第六中学校(佐藤勝也校長、生徒289人)でこのほど、「総合的な学習の時間」を使って、1年生の生徒を対象にしたプレゼンテーション能力の向上を目的としたプログラムが行われた。授業は学校現場などで「話す力」の育成に取り組む「アルバ・エデュ」がメソッドを提供。生徒は2時間のワークで、人前で自分の考えや思いを伝えることの楽しさを体験した。

生徒の発言に耳を傾ける竹内さん

 体育館に集まった生徒を前に、この日の授業で講師を務めたアルバ・エデュ代表理事の竹内明日香さんが最初に問い掛けたのは、人がプレゼンをする理由。竹内さんは、社会課題が改善されていった事例をクイズ形式で紹介しながら、「これらの問題を最初に言い出した人は、変人扱いされたかもしれないけれど、プレゼンで周りを巻き込んで、世の中を変えていったのではないか。世の中は変えられる。そのためにプレゼンがある」と強調。大きな声で一字一句間違えずに話せるようになることや、きれいな資料を作ることがプレゼンの本質ではなく、自分自身の気持ちや考えが大事であることを説明した。その上で、生徒らはチェックシートを使ってプレゼンに関する自分の意識傾向を確認した。

 次に竹内さんは、プレゼンは①考える②伝える③見せる――の順番でつくることが大切であり、特に土台となる「考える」では、自分の言いたいことを掘り下げるために①広げて②深めて③選ぶ――作業が必要だと解説。「これからの時代は、ただ広げて、それをまとめるだけならAIでできてしまう。だから深めないといけない。深めるとは『あなたはどう思うか』ということ。そして、全部を話そうとすると相手は何が言いたいのか分からなくなってしまう。だから、一番人が驚くものを選ぶ必要がある」とアドバイスをしつつ、生徒はペアワークなどでこれらの感覚をつかんでいった。

生徒はマインドマップを活用して、プレゼンの内容を広げ、深めていった

 発声練習を挟み、後半からはいよいよ「自分の好きなこと」をテーマにした1分間のプレゼンづくりに挑戦。3人1組になり、インタビューをしながら自分の好きなことをマインドマップに広げて、そこから連想するものを深めていき、さらに話したい内容を選んでいった。最後には全員の前で発表したい人を募ると、多くの手が挙がり、発表した生徒は旅行や好きなアニメなどについて、全体の前で熱く語った。

 授業を企画した同中の川島紀子主任教諭は「このプログラムは、話す力が高められるのはもちろん、それに伴って生徒が『自分はできる』と自信につながるのがよい。その生徒らしい自然体で自分の思いをその場で話せるようになる」と、自己肯定感の向上などでも効果があると説明。

 竹内さんは「音読や新聞づくりなどに代表されるように、日本の学校では正しく読んだり、きれいにまとめたりすることにこだわり過ぎていて、自分の言いたいことを見つけ、話す機会が少ない。中学生くらいになれば、『社会の役に立ちたい』『世の中を変えたい』という自分の思いをプレゼンしてほしい。そういう何でも話せる心理的安全性を学校や学級でつくっていくことも大事だ」と話す。

 プログラムは後日に後半が行われ、説得力のあるスライドづくりなど、「見せる」を中心に指導を受ける予定だという。

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