新たな教員研修制度「校長の力量が問われる」 文科相会見

 来年4月から導入される新たな教員研修制度の指針案が提示されたことについて、末松信介文科相は6月28日の閣議後会見で、「校長には、教員ときちんと話し合いながら、その教員の資質や能力を把握する力が一層求められる。今回の研修制度は、校長の力量が非常に問われる」と述べ、新たな研修制度の円滑な運用に向け、校長の役割に期待を示した。また、指針案に研修成果の確認方法などが厳しく記述されており、管理強化につながる恐れはないか、との懸念が中教審の審議で出たことについては、「研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励は、管理強化を目的とするものではない」と語気を強め、「必要な学びを(教員が)主体的に行っていくことが基本と考えている」と改めて理解を求めた。

 文科省が6月27日の中教審合同会議に提示した教員研修の指針案では、新制度の狙いについて、教員の学びの姿として「誇りを持って主体的に研修に打ち込むこと」が求められると説明。同時に、研修成果の確認方法について、「テストの実施やレポート・実践報告書の作成」や「自らの実践内容の省察」などを例示しながら、明確に設定することを求めている。こうした内容について、中教審の委員からは「(教員研修を)厳格化していく方向性が見えてしまう。教育委員会や校長はとても真面目で、こうした指針をしっかり守ろうとする。教員の主体性や学びの自由度を想定していても、(各教委や学校現場では)非常に管理的な形で受け止めて制度設計しかねない」(貞廣斎子千葉大教授)などの懸念が示された。

閣議後会見で質疑に応じる末松文科相

 こうした管理強化につながるとの見方について、閣議後会見で質疑に応じた末松文科相は「研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励は、管理強化を目的とするものではない」と反論。「教員と学校管理職が、過去の研修履歴を活用しながら、対話を繰り返す中で、きちんとキャッチボールを行い、自らの研修ニーズと、自分の強みや弱み、今後伸ばすべき力や学校で果たすべき役割などを踏まえながら、教員が必要な学びを主体的に行っていくことを基本と考えている。今後、パブリックコメントを行い、教育委員会への説明会や意見交換などを通じて、その趣旨を丁寧に周知していきたい」と説明した。

 また、指針案では、校長に求められる資質能力として、データや情報を分析して共有する「アセスメント能力」や、学校内外の関係者と連携して学校の教育力を最大化する「ファシリテーション能力」を新たに盛り込んだ。

 校長に求められる資質能力が広がっていることについて、末松文科相は「校長には、教員ときちんと話し合いながら、その教員の資質や能力が十分にある側面と、足らざる側面をきちんと把握する力が一層求められる。要するに、(校長の)眼力。それがないと(新制度は)単に形だけになってしまう。今回の研修制度は、校長の力量が非常に問われる」との見方を示した。

 その上で、校長など学校管理職の「眼力」を養う道筋について、「そこは一番気になるところ。人間としての力量、幅のある人物かどうか。ユニークとか、やり手とか言われる校長は、異業種の人とよく話をするなど、時間の使い方、人との付き合い方、学び方が非常に多角的だと思う。学校の中に閉じこもっているわけではない」と説明。「今後は予測困難な時代になるのだから、いろいろなところに目を向け、これからの社会と向き合って、必要なことを学校現場におろしていけるような、そうした強い校長先生が求められているのかな、と私なりに思っている」と述べた。

 また、保護者など教員免許を持っていない人では、教員免許更新制の廃止に反対する意見が5割を超えているとする民間調査の結果についても問われ、末松文科相は「教員免許更新制を導入したときには、10年に一度リセットして、その時の社会の最新情報をきちんと学んでもらうことが大きな目的だった。今回は、教員免許更新制を廃止して、別のやり方で教員に学んでもらうことにして、研修に重きを置いた。教員免許更新制が廃止されたら、教員の質が良くなくなるのではないか、という批判に対しては、そうならないような仕組みを作りつつあると申し上げたい」と答えた。

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