成育こどもシンクタンクが創設シンポ 関係者ら期待の声

 子どもの心身の健康に関する政策提言や社会実装に向けて、「成育こどもシンクタンク」を今年度に設立した国立成育医療研究センターはこのほど、同シンクタンクのキックオフシンポジウムをオンラインで開催した。母子保健の専門家らが登壇し、シンクタンクが目指す理念や意義について期待を寄せた。

 「すべてのこどもたちが、笑顔になれる社会を創ります」という理念を掲げる同シンクタンクでは、▽こどもたちの声を大切にします(Advocacy)▽からだ・こころ・社会の視点からこどもたちの元気を考え続けます(Bio-Psycho-Social Wellbeing)▽確かな情報・考えをとどけ、社会実装にもこだわります(Dissemination and Implementation)▽こどもたちの成長を支えるすべての人たち「こども応援団」をつなぎ、育てます(Collaboration and Nurturing)――の4つの使命の下、組織や分野を横断したプロジェクトベースのチームを結成して、そこで得られた研究成果やエビデンスを基に、子どもの心身の健康や母子保健に関する政策提言をするほか、社会実装に向けた取り組みにつなげることを計画している。

シンクタンク創設の思いを語る梅澤所長

 シンポジウムでは、梅澤明弘同シンクタンク所長が「子どもたちやその家族にとっては、病院の外にも課題があり、もっとわれわれの方から社会に出ていく必要があるのではないか、子どもたちやその家族、支える方に向けた活動をすることも重要ではないかと考えた。2018年には成育基本法が成立し、来年4月にはこども家庭庁が新しく設置される。子どもたちを取り巻く環境について、社会に強い追い風が吹いている今、その一歩を踏み出し、成育こどもシンクタンクを設置した」とあいさつ。

 森崎菜穂同シンクタンク戦略支援室副室長は、近年の同センターが発信した子どもの心身の健康に関する活動を紹介しつつ、こうした取り組みをより組織的に強化していくためのシンクタンク創設である点を強調。「政策を提言し、その効果を検証し、またより良い政策を提言するということを、さまざまなプロジェクトでやっていきたいと思っている。一方で社会実装には数字的なデータだけではなく、『こういうようにやるといいよ』というお手本の提示が役に立つこともある」と、政策提言や社会実装に力を入れていく意義を説明した。

 また、基調講演に登壇した山縣然太朗山梨大学大学院総合研究部医学域社会医学講座教授は、母子保健や子どもの心身の健康に関する施策は、データや適切なアウトカム指標を踏まえた取り組みが重要になると指摘。「科学的エビデンスは重要だが、それをどうやって実装していくかというときには、科学的に正しいだけでなく、そこには個別性があり、そこの文化やこれまでのサービスを踏まえた形で実装されていく必要がある。これは非常に難しい。全ての子どもたちの手に届く支援が行われるためにはどうすればいいのかという視点が、必要だと思う」と述べ、シンクタンクの今後に期待を寄せた。

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