「ソフトな時に気付いて」 ヤングケアラーと教員の関係づくりを講演

 見つけにくいヤングケアラーを学校でどう把握するか――。大阪大学は6月28日、ヤングケアラーをテーマにしたオンラインイベントを開き、日本におけるヤングケアラーの実態調査に取り組んでいる濱島淑恵大阪歯科大学教授が講演を行った。濱島教授は学校現場ができることとして、深刻になる前の段階から子どもが話しやすい関係を築くことが重要だとアドバイスし、「ソフトなヤングケアラー」の語りに耳を傾ける重要性を挙げた。

 このイベントは、一般的には大人が担うような家事や世話をしているヤングケアラーの存在が日本でも社会的に認知されるようになり、大阪府でも実態調査が進んでいることから開催され、学校現場でどのようにしてヤングケアラーに気付き、支援につなげるかに関する課題が話し合われた。

 講演で実態調査によって浮かび上がってきた日本のヤングケアラー像について解説した濱島教授は、国や自治体が行っている実態調査では、外国にルーツのある子どもが日本語の不慣れな親をサポートしている事例が見過ごされているといった課題を指摘。「子どもがしている手伝いというのが実はケアで、子どもたちにいろいろな負荷が掛かったり、時間が縛られたりしていることを、本人たちは気付いていない。まずはしっかり周囲が認識する。『実はそれはケアじゃないの?』『それによって負荷が掛かっているんじゃないの?』と感じ取る感覚が必要になってくる」と話した。

ヤングケアラーの子どもたちとの関係づくりについて話す濱島教授(Zoomで取材)

 その上で、こうしたヤングケアラーの子どもたちが行っているケアはさまざまなものがあり、今はまだ負担が大きくなくても、その後に状況が変化する場合もあると強調。「しんどくなってからキャッチしようというのではなく、まだソフトなヤングケアラーに気付いて、日常会話みたいな感じで『昨日はご飯何作ったの』や『最近おばあちゃんはどう』といったことを気軽に話せるような関係性をつくっておく。そうすると、だんだんしんどくなってきたときに子どもの方も相談しやすいし、聞きやすい。そういう早い段階からの見守りが重要になってくる」と助言した。

 また、学校の中でヤングケアラーの子どもたちは、遅刻や欠席、宿題忘れ、成績不振などの学業面での影響のほか、健康や友人関係の問題も抱えやすくなるとし、教師との関係も悪化しやすくなることを懸念。「子どもたちが自分の状況を説明するのはすごく難しい。お母さんの話し相手をしていて寝るのがすごく遅くなり朝寝坊したのに、『なんで遅刻したんだ』と聞かれたら『朝寝坊しました』と、『なぜ忘れ物したんだ』『なんか忘れました』と、その程度の説明になってしまい。この子はダメな子だという認識になってしまう。なかなか子どもが自分の状況を伝えるのは難しいということを理解してほしい」と呼び掛けた。

 イベントの後半では大阪府内の高校や小学校の校長、スクールカウンセラー(SC)、スクールソーシャルワーカー(SSW)によるパネルディスカッションも行われ、実態調査を活用したヤングケアラーの生徒との面談の工夫や、SCとSSWが連携して支援につなげる取り組みなどが紹介された。

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