指導が不適切な教員に対する人事管理のガイドライン 改定案公表

 文科省は、新たな教員研修制度を導入する教育公務員特例法(教特法)の一部改正などを受け、児童生徒に対する指導が不適切な教員に対する人事管理システムのガイドラインを改定するため6月30日、改定案を公表し、パブリックコメントの募集を始めた。

公表された「指導が不適切な教員に対する人事管理システムのガイドライン」改定案

 2007年の教特法の一部改正で、教育委員会は「児童生徒に対する指導が不適切」と認定した教員に対して指導改善研修の実施が義務付けられた。文科省は同法に沿った人事管理システムを整備し、運用にあたってのガイドラインを策定。その後、さらに法改正で校長と教員の資質の向上に関する教員育成指標の設定とその指標を踏まえて、研修を効果的に実施するための教員研修計画の策定が教委に対して義務付けられていた。今回の法改正では、研修に関する記録の作成や資質の向上に関する指導助言が教委に義務付けられることになるなど、研修を巡る制度設計が大きく変わったことで現行のガイドラインを改定することとなった。

 新たに書き加えられた主な改定内容として、「教員は、時代の変化に対応して求められる資質能力を身に付けるため、求められる知識・技能が変わっていくことを意識して、継続的に新しい知識・技能を学び続けていくことが求められるところであり、本ガイドラインでは、指導が不適切な状態に陥った後の対応策にとどまらず、 そういう状態に陥らないよう未然に防止することがより望ましいものであることから、 教員の指導力の維持・向上のための取組についても併せて記載する」と指導力不足に陥る以前の段階で対策をとる方向性を強調。

 教員として求められる資質能力には、「これまで教員として不易とされてきた資質能力のみならず、 新しい教育課程への対応やICT データの利活用、特別な支援を必要とする児童生徒等への対応など、時代の変化に対応して身に付けるべき資質能力も含まれ」とし、学校や児童生徒のニーズに合わせた資質を持ち合わせることが重要と指摘した。

 一方で、「これらの資質能力の有無については、教員の外部にあらわれた行動、態度に徴して判断され、個々の行為、態度につき、その性質、態様背景、状況等の諸般の事情に照らして評価すべきことはもちろん、それら一連の行動、態度について有機的に関連付けてこれを評価すべく、さらに当該教員の経歴や性格、社会環境等の一般的要素をも考慮し、これら諸般の要素を総合的に検討する必要があることに留意する必要がある」とした。

 また指導が不適切な教諭の把握と報告に関しては、「校長や教委は、申請の前に指導に課題がある教諭等に対して、研修履歴に基づき適切な研修の受講について情報提供や指導助言を行い、指導が不適切である状態に陥らないように努めることも重要である」として、日常的な観察や面談などを効果的に行うよう求めている。

 教員の資質を現場で判断する校長の負担軽減の観点からは、「早期に教委と情報共有を図るとともに、教委は学校任せにせず積極的に関与することが期待される。教委においては校長の不安や負担感の解消につながるよう弁護士など法律の専門家への相談体制を整備することなどが望まれる」としている。

 このほか、指導に課題がある教員に対する対応としては「教委として必要な支援策を講じるとともに、校長等の管理職や指導主事等から指導、助言を行い、指導の改善を図ることが求められ、実際に、学校内又は教育センターにおいて集中的に研修を行ったことにより、指導が不適切である教諭等の認定を回避することができたとする教委も多いことから、22年改正法を踏まえた研修等に関する記録の作成等や資質の向上に関する指導助言等を早期に、かつ、効果的に行い、指導が不適切である状態に陥らないよう、未然防止・早期対応に努めることが重要」と改めて早期の発見、対応に言及。

 その際、「当該教諭等の資質能力や、研修履歴を含めたこれまでの経験、適性等を自ら見つめ直すとともに、校長等からの指導助言も受けて、客観視することが重要と考えられる。このため、人事評価との趣旨の違いに十分留意しつつ、教員育成指標を踏まえて、自らの更に伸ばすべき分野・領域や、補い、改善すべき分野・領域について、自己評価及び校長等による評価を行い、これを踏まえた研修計画書を作成し、研修受講につなげることが考えられる」としている。

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