夏休みの家庭学習を「協働的」に 端末活用した事例紹介

 GIGAスクール構想で整備された1人1台の端末を、長期休業中の家庭学習でどう活用するかを考えるオンラインセミナー(グーグル主催)が7月2日、開かれた。小中学校の教員が、5月の大型連休など長期休業中の家庭学習で端末を活用した事例を紹介。児童生徒がそれぞれの家庭にいながら、スライドの共有やコメント機能、ウェブ会議などでつながり、意見交流をするなど「協働的」な学びを実現した事例から、学校での授業での活動を家庭学習で補完したり、児童生徒が授業時間にとらわれることなく、自分のペースでじっくり学んだりできる可能性が見えてきた。

「学区の自慢をグーグルスライドにまとめる」という課題に対し、児童が作成したスライド

 静岡市立番町小学校の吉田康祐教諭(5年生担任)は5月の大型連休に、「学区の自慢をグーグルスライドにまとめる」という課題を出したことを紹介。10人程度でスライドを共同編集できるようにし、1人1枚以上、好きなタイミングで好きな枚数を作ってよいこととした。児童は実際に学区に出て、持ち帰った端末で写真撮影したり、地域の人にインタビューしたりといった工夫が見られたという。

 同時に、連休の合間の放課後にはグーグルミートを用いた「スライドの相談会」を実施し、スライドのまとめ方の相談や、各グループの進捗(しんちょく)状況の確認を行った。参加は任意とし、参加できない子のために記録を残すなど工夫も。「家庭学習でも友達と協働して学ぶことができる課題としたことで、学ぶ意欲の向上や、新たな気付きが生まれてくる」と話した。

 吉田教諭はまた「長期休みだからこそ家庭学習をより主体的なものとし、充実させていきたい。自分で課題を選択できること、友達の進捗状況を知ることができたり、協働で学ぶことができたりすること、ガチガチにルールで固めるのではなく、ある程度の自由度を持たせることがポイント。端末の持ち帰りにあたっては、事前に端末利用の約束を確認すること、目的意識を共有すること、事前に保護者の理解を得ることが大切になる」と話した。

家庭での「協働的な学び」を経て、記述が増えた生徒のスライド

 熊本県の高森町立高森中学校の日田湧大(ゆうだい)教諭(1年生担任)は、授業と家庭学習のつながりを意識した実践を行っていることを紹介。5月の大型連休では、授業で学習した「エネルギー変換の技術」をテーマに、家の中にあるエネルギー変換の技術を見つけ、写真を撮影する課題を出した。生徒は最初の段階では、1つの視点に対して1つの内容しか書くことができなかったが、生徒同士でコメント機能を使って議論した結果、考えが深まり、スライドの記述が増えたという。

 日田教諭は「グーグルスライドのコメント機能を使うことで、家庭でも生徒同士で意見交流ができた。教員側も生徒の家庭学習の様子を見取ることができ、生徒の学びを支援することができた」と振り返った。同時に「コメント機能を活用する際に、指示・質問・アドバイスの仕方など、コメントの質について、生徒への指導が必要だと感じた」と課題も語った。

 こうした事例について、中村学園大学教育学部の山本朋弘教授は「授業と家庭学習をつなぐ役割の一つに協働性が挙げられる。家庭にいながらにして、みんなで学べるのは心強い。ただ、どんな内容でもやればできるわけではなく、授業と家庭学習をつなぐ意味で、先生が教材をしっかり見ていることがとても大事だ」と述べた。

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